本文へスキップ

〒420-0886
静岡市葵区大岩3-29-13タウンスクエア102

離婚の基礎知識 5

スマートフォン版はこちらをクリック

婚姻費用と住宅ローン/光熱費/携帯電話代/生活保護費

   netu                   
1 妻に渡すべき婚姻費用から、住宅ローンや光熱費や携帯電話代は差し引いて渡してもいいのでしょうか。妻に幾ら払えばよいですか。
<住宅ローン>
 この点については、裁判所の基準はまだ固まっていないのですが、以下のような方法が提案されています。(1)の方法は、私が受任した事件で実際に裁判所が採用した方法です。参考にして下さい。
(1)夫の年収からローン年額(全部または一部)を差し引き、その残額を夫の年収として婚姻費用を計算する方法です。
(2)算定表で算出された婚姻費用から、妻(権利者)の収入に応じた標準的な住居関係費を差引いて、残額を婚姻費用とする方法です。

 ---年収別標準的住居関係費---
妻の年収        月額の標準的住居関係費
~1,999,999円以下    27,940円
~2,499,999円      32,354円
~2,999,999円      31,655円
~3,499,999円      32,590円
~3,999,999円      37,871円
~4,499,999円      42,652円
~4,999,999円      46,983円
~5,499,999円     45,354円
~5,999,999円     52,517円

<光熱費や携帯電話代>
 これらを妻が専用的に使用していた場合、婚姻費用から差し引かれます。

<義務者が生活保護を受けている場合>
 生活保護費は、憲法が定めた国民の最低限の生活を保障するため国が支給する費用であり、収入ではありません。従って、算定表上も収入はゼロとして扱います。

学資保険の支払と養育費             tomo

子供の学資保険の保険料は、養育費の支払いとはなりません。なぜなら学資保険は、将来に備えた積み立金であり、子供の日常の生活費にさらにプラスするつもりで積み立てるものです。日々発生する子供の生活費とは性格を異にします。

離婚事件-示談交渉・調停・本裁判との関係 

1 離婚事件を弁護士同士の「示談交渉」で解決できるでしょうか。もしできるのなら費用も安くて済みます。しかし、当事者間では解決がムリだから弁護士のところに来ているのです。弁護士は当事者の弁護に努めるが仕事です。裁判所のように真ん中に立って中立的な解決を図る仕事ではありません。実際にも、弁護士は依頼者を擁護し、相手方を非難する諸行動をとります。よって、弁護士同士による示談解決は基本的にムリと言って良いでしょう。例外は「できちゃった婚」などの若い婚姻事件で、弁護士が当事者の間に入って反省を促しやり直しを進言して、うまく行く場合があります。
2 「調停」は当事者の話し合いによる解決です。調停は、調停委員が当事者の間に入って意見の伝達・調整を行うに過ぎず、裁判官が法律要件に基づいて強制的に解決してくれる本裁判のようには行きません。要は、調停委員はメッセンジャーであり、行司役に過ぎないと言うことです。
 ですから、当事者が譲り合って話し合いで解決をしようという機運が見られるのなら、本裁判のように証拠を出し合って書面で議論し応酬し合うよりも、比較的短期間に円満な解決がもたらされる可能性があります。
 これに対し、当事者間の対立が激しく、調停委員の調整もうまく行っていない事件では、今後調停を続けても無意味です。そのような場合は、調停の回数に関係なく(極端な場合第1回調停期日であっても)、「調停は不調」にして、本訴を提起すべきです。
 この場合調停委員や審判官の意見は重視する必要はありません。彼らは何とかして調停内での解決を図ろうとする傾向があり、そのような態度は当事者の利益と対立するからです。そういう時当事者はもはや話し合いはしたくないとイライラしているからです。その利益を守る必要があります。しかし、なかなか当事者は裁判所の意向に逆らって方針を決めることは困難です。そこで弁護士に代弁して貰う必要があるのです。
3 「本裁判」 以上のように調停での話し合いによる解決が難しい時は、さっさと本訴(訴状提出)を提起しましょう。本裁判は、証拠に基づいて、主張も書面に基づいてしっかりとやっていきます。手続も人事訴訟法という法律に基づいて厳格に行われますから、民法に定められた離婚条件を法律に則って解決したいと思う時は、本裁判が適切です。調停が素人の調停委員による意見調整による解決に過ぎないことと比べ、本裁判は、法律に基づいた強制的解決であること、離婚事件の専門家である家事裁判が中心になって進行を仕切ってくれることが特徴で、裁判による解決は強力です。ただ、時間がかかるのが難点です。


受付時間は054-295-9766 am9.30ーpm6.00(月曜-金曜)

相談受付はお電話で

伊藤彰彦法律事務所
弁護士伊藤彰彦
静岡県弁護士会

〒420-0886
静岡市葵区大岩3-29-13
タウンスクエア102
駐車場あります
TEL.054-295-9766
FAX.054-295-9767
受付9.30-18.00(月-金)
場合により土曜や夜間相談もOK

メイルでのお問い合わせ

gr7a-itu@asahi-net.or.jp
メイル相談は受け付けていません


【離婚の基礎知識目次】


テーマごとに解説します
下線をクリックして下さい

離婚の基礎知識 1
弁護士をつけた方がいい場合
離婚事件の最重要ポイント
最近の離婚の傾向
離婚の基礎知識 2
調停委員とは
離婚原因-性格の不一致・別居
離婚事件を得意とする弁護士
離婚の基礎知識 3
養育費・婚姻費用
調停手続きのやり方
面接交渉とは
離婚の基礎知識 4
有責配偶者からの離婚請求
親権者の決定基準
財産分与
不倫と慰謝料請求  
離婚の基礎知識 5
婚姻費用と住宅ローン/光熱費/携帯電話代/生活保護費
学資保険と養育費
示談交渉・調停・本裁判の関係
離婚の基礎知識 6
離婚に関する男女感
子供の引渡し
離婚の基礎知識 7
離婚原因-概説
養育費-各論
離婚の基礎知識 8
養育費・婚姻費用に関するQ&A集
離婚の基礎知識 9
協議離婚・調停・裁判
婚姻費用と住宅ローン
面会交流その2
離婚の基礎知識 10
性格の不一致
破綻後の不倫と慰謝料
別居したら、鍵を変えられてしまった。
面会交流させないと離婚しないと言う夫