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離婚の基礎知識 2

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調停委員とは


1(調停委員とは)
 調停委員は,社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ,原則として40歳以上70歳未満の人の中から,弁護士,司法書士や行政書士など法律の専門家,医師,大学教授,公認会計士,不動産鑑定士,建築士,地域社会に密着して幅広く活動してきた学校の校長・教頭,地域の有識者・名士などから選ばれます。
 弁護士など法律の専門家が担当する場合もありますが,むしろ調停委員の多くは法律の素人です。それでも調停委員という立場で日々研鑽を重ねています。
 家事調停は夫婦・親族間の問題であるため,通常男女1人ずつ調停委員が指定されます。
調停委員は,非常勤の裁判所職員として,手当や旅費日当が支給されます(民事調停法第9条,家事審判法第22条の3)。

2(調停委員の任務と実際)
 調停委員は,中立的立場で,当事者の話を入れ替わりに聞いて相手方に伝えて,両者の意見調整を図りながら,合意を形成して紛争を解決するという任務を負っています。調停委員の第一次的任務は紛争を解決することにあります。
 元々裁判所の任務は,社会に生起する多数の紛争を解決して社会秩序を維持することにあります。当事者の権利や利益保護は裁判所にとっては二次的な任務に過ぎず,それらは本来弁護士の任務です。
 そのことは調停を経験してみるとただちに理解できます。調停委員は,とかく説得しやすい当事者の方を説得してきます。はっきりと主張して意見を譲らない当事者より,おとなしい当事者の方を説得してきます。また,一方にしか弁護士がついていない場合,弁護士のついていない当事者の方を説得してきます。なぜなら専門家の弁護士を説得するのはとても大変だからです。法律の素人である当事者を説得する方が遙かに簡単で早く解決します。仮に弁護士が無理難題を吹っかけている場合でも調停委員は弁護士に反駁することはあまりなく,法律に疎い素人当事者の方を説得してきます。これは裁判所の任務が当事者の権利保護よりも,紛争解決の方にウェイトがあるからです。
 このような経験をすると,当事者は裁判所に不信感を抱くようになります。調停委員に対する当事者の不満は,インターネットを検索するとたくさん出てきます。

3(弁護士を頼むときとは)
 裁判官や調停委員が相手の言い分ばかり聞いて自分の言うことを聞いてくれない,裁判官や調停委員が自分の納得できない解決策を押しつけてくる,このような体験をしたとき,皆さんは弁護士を頼むかどうか悩むことになるのでしょう。そんなとき,お気軽にご相談下さい。

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離婚原因-性格の不一致・別居期間・家庭内別居

1(性格の不一致)
 離婚するきっかけとなるのは夫婦の性格の不一致です。夫婦の考え方がお互いに違う,夫婦喧嘩をよくする,夫とは口をきかないなど。
 しかし性格の不一致だけでは離婚はできません。民法第770条は「婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」に離婚ができると規定しています。性格の不一致により別居が長期間続く「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当てはまる可能性が出てきます。
2(別居期間) 最低期間として2年くらいでしょうか。
 それでは何年くらい別居したら,右に該当するようになるのでしょうか。
 別居期間が何年かについては,学説上は5年説が多数説のようです。法制審議会の民法改正答申も5年説に立っています。しかしそれに則った民法の改正はまだなされてはおらず,現在別居期間を定めた法律もありませんので,裁判例を検討するしかありません。
 裁判では,別居期間の長さ以外に,別居の理由,夫婦間の会話・性行為の有無,夫婦喧嘩の内容程度,夫婦関係を改善する意思や努力の有無,未成熟子の有無などの諸事情が総合的に判断されて「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当てはまるかどうか決められています。
 右総合的判断の結果として,別居期間3年前後でも離婚を認める裁判例があります。
さらに和解からの経験的感覚ですが,別居期間が2年くらいになると,裁判官は離婚もやむなしとして,離婚を打診してくるケースが多々あります。なぜなら2年間も夫婦が何らの接触もなく別々の生活をしているケースでは,夫婦の修復は難しいと判断されるからです。よって,2年くらいの別居期間が見込まれる案件は,訴訟を開始してもよいと思われます。ということは,相談時別居が開始されている案件なら,その後の調停と訴訟とで2年近くは経過しますから,諦めないで裁判を検討する価値があるということになります。
 以下項を改めてそれらを検討します。

3(裁判例-他のHPから参考判例として引用させて頂きました)
①別居期間 2年11ヶ月
 同居5年2ヶ月,別居2年11ヶ月。4歳の女児を連れて家を出た妻に対して,夫からの離婚請求。夫は月10万円の生活費を妻に送金していた。
 判決は「夫婦は非難しあっているだけで,互いに真摯に話しあおうとする気持ちがなく,夫婦関係を調整することも,やりなおそうとする兆しもない。夫婦双方の性格の不一致が夫婦関係破綻の原因であり,これらは婚姻を継続しがたい重大な事由にあたる」としました。
②別居期間 3年2ヶ月
 同居4年7ヶ月,別居3年2ヶ月。男児6歳と女児4歳とがいて妻が監護。夫婦は日常茶飯事のように夫婦喧嘩。夫が飲んで深夜に帰宅すると妻は夫を非難。夫は物に八つ当たりして逃げる妻を追いかけて殴る蹴るの暴行を加える。この暴行を契機に二人は別居。夫の申立てた離婚調停に対して妻はやり直しを求め再び同居。しかし,妻が妊娠すると,夫は自分の子であることを疑い中絶を求める。以後完全に別居状態となる。
 判決は「原告被告双方何れも自己中心的で協調性がなく,円満な夫婦関係を築き上げる努力を何らしない。お互いに非難しあって夫婦喧嘩を繰り返し嫌悪憎悪しあうばかり。相互に相手方に対する信頼愛情を失っており,もはや婚姻の実をあげうる共同生活の回復は望めない。婚姻関係は破綻している」として離婚を認容しました。
③「家庭内別居」4年3ヶ月
 家庭内別居という珍しいケース。家庭内別居4年3ヶ月。11歳の娘が一人。夫から妻に対する離婚請求。夫は妻の経済観念に不満を持ちいさかいに。夫は酒の勢いで妻に暴力をふるう。娘の前でも喧嘩。夫は帰宅後自室にこもり夫婦間の会話や食事はなくなる。必要なことはノートに記載して連絡を取りあう関係に。カウンセリングを受けたが夫婦関係は修復に至らず。互いに相手を非難しあうばかり。
 判決は「原告及び被告の双方に婚姻関係が破綻したことについての責任がある。離婚により被る経済的不利益は,離婚と同時か,又は離婚後に請求できる財産分与又は慰謝料により解決されるべきである」として,夫からの離婚請求を認容しました。

※ここで「家庭内別居」について一言
「家庭内別居」とは、心は完全に離れてしまい夫婦は破綻しているのに、離婚せずに一緒に暮らしている夫婦関係をいいます。
一般に次の3要件があげられます。
①床が別。もちろんもはやSEXはない。
②相手方の食事を作らない。
③相手方が着るもの、特に相手方の下着の洗濯はしない。

4(裁判例のポイント)
 以上をまとめてみると,以下のようになります。
①別居期間は3年前後に過ぎないけれど
②夫婦双方自分のことを棚に上げて相手を非難するばかりである。
③夫婦喧嘩も絶えない。
④夫婦間には夫婦関係を改善しようとする意思が全く見られない。
⑤これでは信頼関係ある同居生活の復活は期待できない。よって夫婦関係は破綻した。
だから「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する。
といったところでしょう。
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離婚事件を得意とする弁護士

1 (序)
 離婚事件を得意とする弁護士は意外と少ないです。弁護士の多くは「離婚などの家裁事件はあまり受けたくない」と言います。なぜでしょうか。例をあげて説明してみます。【弁護士】コラムでも同じようなことを書きましたので,ここでは少し視点を変えて書いてみます。

2 (我が儘な依頼者)
 熟年夫婦裁判離婚期日での出来事です。依頼者は2回に渡って申し立てられた調停を一度も出廷しなかっため調停は何れも不調となりました。そうしたら3度目には離婚の本裁判を訴えられました。60代半ばの専業主婦の彼女曰く「私の老後はどうなるの?! 離婚させられたら私は路頭に迷ってしまう」の一点張りで,相手方の気持ちを全く考えようとはしていません。と言うか,彼女は不安ばかりが先に立って,冷静に現状把握が出来ないでいるのでした。

3 (弁護士が離婚事件受任を嫌がる理由)
 こういう依頼者に,現実に目を開かせ,冷静に相手の意向(本件では,夫は「復縁などあり得ない!絶対にイヤ。こども達が成人するまで待っていたのだ」と言っておりました)を理解させるのはとても難しいことなのです。本来裁判は事実と論理(理屈)から成り立っており,基本的には事実を踏まえた理屈をしっかりと主張展開していけば解決に向かうのが筋なのですが,家裁案件では,当事者の感情論に引きずられぱなしです。説得しても説得しても相変わらず依頼者は自分のことは棚に上げて,相手に対する不満ばかり訴えてきます。この繰り返しに,弁護士は嫌気がさしてしまうのです。

4 (相手方と裁判所の気持ちを掴むことが大切)
 しかし,私は,組んずほぐれつ,ぐちゃぐちゃに絡まっている感情の糸を,ほぐしつつ解決していく案件が好きで,感情的に絡まった事案の解決を得意としております。そのためには,依頼者の話をじっくりと聞く必要があります。
 ここで大切なことは,裁判では自分の意見をしっかり伝えることはもちろんですが,それ以上に相手方がどう考えているのか,特に裁判所が事案をどのように捕らえているかを的確に判断しながら,反論・意見を出すことが大切です。裁判官が事案をどう捕らえているのか見据えて行動しないと,最後に予想外の結論=敗訴の結論をたたきつけられることもあります。しかし法律に詳しくない依頼者には,その判断はなかなか容易ではありません。ここに弁護士に依頼する必要が出てくるのです。



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