神保町 昼食ニュース

2009年12月号

2009年12月7日記

ランチョン100年

(写真をクリックすると大きい写真が見られます。)

 別館に記したように,「ランチョン」が創業100周年を迎え,11月には1杯 100円の記念ビールの販売と,それに使った特製グラスの配布が行われた。しかし,11月が終わらないうちに「完売」となった(写真上)。
 神田では,淡路町の交差点から旧万世橋駅にかけての地域に,明治時代創業の飲食店が固まっているが,神保町ではランチョンが屈指の老舗であり,この変転きわまりない世の中で 100年というのはまことに慶賀に堪えない。一方で,考えてみるとその 100年のうち3分の1以上を一応自分が知っているというのは不思議な感覚であり,多少の感慨もある。ランチョンの店主はいま,創業者の曾孫,つまり4代目がつとめている(「先代」も元気で店に出ている)。
 書店などで配られている小冊子「神保町が好きだ!」第3号(10月20日刊)に,「食は神保町より」と題して,ランチョン,さぼうる,新世界菜館の店主(ランチョンは先代店主)による座談会が載っている。ランチョンのビールについては,うまいビールに出すコツや秘伝があるわけではないが,ビールが持っているうまさをそのまま届けるために神経を遣っている,といったことが語られている。

◆ 新 開 店・初 訪 問

  五十通り(千代田通りエーパン脇を入る道)を半分ぐらい行った右側,もと「海宝」というラーメン屋があった場所に,10月末ごろ,担々麺の「かつぎや」という店ができた。前と同じくカウンターだけで,中に食券の販売機がある。担々麺の「汁あり」と「汁なし」が各800円,排骨つき各980円というのが基本メニューである。辛さは5段階から選択するようになっていて,汁ありの2辛を食べてみたらけっこう辛かった。排骨がカレー味で,担々麺の辛さとよい取り合わせだった。
 その2週間後に「汁なし」を食べてみた。スパイスの組み合わせが汁ありよりさらに凝っているような感じがした。汁なし担々麺は,この地域では「辣椒漢」(神田警察通り)に続き2軒目である。

 さくら通りを白山通り側から入ってすぐの右側,もとブラジル料理の「ムイトボン」が9月末で閉店し,10月26日に「<シンガポール・レストラン>マカン」が開店した。
 ランチは,海南チキンライス,ナシゴレン,マレーシアカレー,カレーミン,ワンタンミン(「ミン」は「麺」)など。麺には,サラダセット(+100円),カレーセット(+300円)をつけることもできる。ワンタンミン・マレーシアカレーセット(1000円)を食べてみたところ,スパイシーだがなかなか上品ないろいろな味が楽しめた。

 靖国通り北側,ランチョンの並びの「ふらんす亭<神保町店>」が10月末で閉店し,「韓国居酒屋工事中」だったが,11月下旬,「<韓国伝統料理>韓(かん)の食楽」として開店した(神保町 1-8;写真中)。店内のいすの配置は前の店と変わらない。
 ランチは,プルコギ,石焼ビビンバ,石焼ユッケビビンバ,キムチチゲ,スンドゥプ,ユッケジャンなどで,ひとつが「日替り定食」に指定され,安くなる。食べてみたのは,キムチチゲ定食(820円)で,キムチチゲのほか小菜3点,キャベツのサラダ,キムチ,金属の器に詰め込まれたご飯がつき,内容は充実している。フロアの店員さんは1人で奮闘していたが,慣れなくて大変そうで,同じものを出すのに後から注文した人に先に出したりしていた。

 白山通りを水道橋方向へ3分の1ぐらい行った右側,前は「 <洋食>ムッシュ」だった場所(神保町 1-44)に,「麺屋33」というつけ麺・ラーメンの店ができた。9月下旬開店だったそうだが,気づいたのは10月末ごろで,その後もいつも行列でなかなか入れなかった。
 中は,カウンター6席と奥にテーブル2つ。メニューは,あっさりめの「丸鶏旨味そば」(700円)とこってりめの「濃厚豚骨魚介そば」「つけめん33」(各750円)で,それぞれ醤油と塩があり,並盛・中盛同じ値段である。つけめん33と小松菜(100円)を食べてみたところ,このごろのやたら量が多い店よりは少なめだった。麺は太く,魚介系の濃厚なスープとのバランス良好である。小松菜のトッピングはやや珍しい。こちらは100円にしては量がやや少ない感じがしたが,しゃきしゃきした季節の味を味わった。

◆その他の動き

 神保町駅の九段寄り入口を降りたところにあった「笑哈哈(ワハハ)飯店」が,9月ごろから閉まっている。 2008年4月開店だった(08年5月号参照)。
 今年6月に開店したばかりの「霞舫」(駿河台3丁目)が閉まっているのに気づいた(09年8月号参照)。
 密かにかなりひいきにしていた「<創作和風Bar>武蔵」(神保町 1-54)が閉店していることに,11月末に気づいた。バランスの良い定食でがんばっていたのだが。開店は2002年4月だった(02年5月号08年9月号参照)。

 靖国通り南側,ランチョン向かいの「上島珈琲店」(08年2月号参照)が閉店し,11月30日,auショップになった(写真下)。朝食をモデルチェンジしたばかりだった。このビルの「表札」を見たら,名は「源興號ビル」,つまり専修大学の交差点そばにあった中華の店(07年4月号参照)の名が引き継がれているのだった。

 白山通りを水道橋方向へほんの少し行った右側の「Subway」が,貼り紙を残して閉店した。
 前はさくら通りにあった「狐兎」が,千代田通りのトヨタの販売店のあったブロックの裏側に移転した。ただし,前の店で一時やっていた昼食は今のところやっていない(04年1月号参照)。


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