【山本一郎】コンシューマゲーム開発部隊がスマホアプリやソーシャルに何故適応できないか(メモ)を読んだ直後、ここで書かれている「悪い例」の半分くらいがそのまま当てはまる某版権ソーシャルゲームを、招待受けて始めてしまいました。
いやまあ、タイミングは偶然なんだけど、それにしてもひど過ぎて笑えるのだそれが。もう、このひどさが楽しくて(笑)。うわこいつらソーシャルゲームなんか作る気ないじゃん、版権で通せば何とかなると思ってないかこれ、ありえねー、てか全く遊べねー。たまらなく可笑しいです。可笑しいのでちょくちょくやってます(えー)。
開発者の方に申し訳ないので(自分も元ソーシャルゲーム開発者ですから…)、名前とかプラットフォームとか全部伏せます。ゲーム内の用語も適当に嘘つきます。
1.社会人が平日に遊べないタイムライン
1つのノーマルミッションに時間制限があって、それが数時間で。
社会人は、朝の通勤中にミッションスタートすると、次覗けるのは昼休みな訳で。でもその頃には時間切れちゃうレベルの数時間。でミッション失敗になっている。昼休みに始めると当然、仕事終わる時にならないと次に覗けない訳で、その頃にはミッション失敗以下略。
イベントボス戦とかならともかく、通常ミッションがそれなのだ。ボスに勝てなくなっちゃってもレベル上げさえも出来ない。
こらー(棒読み)。
コンシューマーゲームならいいのよ。じっくり腰据えて、生活時間のうちのその間はゲームをメインにする、とうやり方ならありだけど。だけどさ。
社会人が隙間時間に出来ないって。ソーシャルゲームの課金モデルは誰が主役だと思ってますか。社会人締め出してどーすんだよ。
で、平日は完全放置していると、初心者狩りの餌食にされてて12時間毎に誰かにアイテム持ってかれてる履歴とご対面なのよね。うふふ。いやまあ、これはゲームシステムが悪いわけじゃないですけど。こういう、他ユーザーを踏み台にして強くなる系のソーシャルゲームだけはやりたくないと思ってたので、こういう要素がアリだったのかぁとちょっとしょんぼり。
元の版権のストーリーがそういう世界なんだとしたらごめんなさい。私、「原作」知らないでやってます。
2.ソーシャルボスが全然ソーシャルじゃない件
仮に「ソーシャルボス」と呼んでますが、仲間とかに協力要請を送って、一緒に倒しましょうっていうやつですね。ノーマルミッションとは別枠にある強力なボス戦というか。
他ゲームとかだとソーシャルボスはたいてい、最初からアホみたいに強くて、1人でどうにか出来るレベルでは全くないのが当然で、だからこそソーシャルボスなのですが、どういう訳かこのゲームのソーシャルボスは、未だソロプレイ一直線の自分でもどうにかなっちゃうのよね。根気で。もちろん無課金で。
……いやまあ。私にとってはありがたいんだけど、この「仲間が作れないロンリィプレイヤーでも頑張れるゲームバランスにしてみました」みたいな気の遣い方はソーシャルゲームじゃないと思うのよ。優しいけど。そこで優しくするの意味ないでしょ。ソーシャルゲームなのに。
ソーシャルゲームはアイテム課金の世界なのだから、バイラルネットワークを使える所はもっとえげつなく使わないとダメなんちゃう?
新規会員なんて版権の魅力だけで引っ張れるワと思ってるんだとしたらソーシャルゲームにするなよ最初から、とか思っちゃうの。山本一郎センセ曰くの「稼ぐことに躊躇する」に似てるのかな。アイテム課金モデルはえげつなさがないと稼ぐコンテンツにはならない訳ですが、どこを「えげつなく」すべきか、という点に理解がない感じがする。バイラルネットワーク関連はもっとイヤらしくなっていい場所だと思いますですよ。
3.全体的な動線のヘタさ、と重さ
主にスマホでやってますが、ゲーム進行が8割方Flashで、Flashの画面を先に進めるための「進む」ボタン的なものの当たり判定が狭くて、おまけに、その「進む」ボタン的なものの位置が画面の中で一定していない。
ソーシャルゲームやってる人は残念ながらゲームを「集中して」やる文化があまりないと思う。私もだけど(笑)。だから、特に最近のガラケーの後発ゲームたちは、画面を「見ないで」5キー連打していてもゲームが進行する(本当に)。スマホの場合、Flashによる演出があって、そこから先に進むため「進む」ボタン的なものがあっても、Flash画面全体が当たり判定になっていて、ボタンにピンポイントに触らなくても画面の何処かにタッチすれば進むようになってたりするのが大半。
ただでさえ画面進行のFlash動画が重くて、演出で時間取られてうんざりなのに、次に進むためには画面の何処かにある「進む」ボタンを見て、探して、確実に、そこに、ピンポイントに、触んないとならないという仕組みだけで、ながらゲーマーはもうぐったりだよ(笑)。
1回ガラケーでもやってみたけど……ガラケーでこれやってる人尊敬する。重過ぎる。まさに「地下鉄でちょっとした停車時間にロードが完了」しない感じのテンポ。無茶言うな。トンネルに電波なんか飛んでる訳がない田舎の地下鉄ユーザーも排除する気だこいつ。田舎差別反対なのにゃー(※被害妄想)。
あと、Flashじゃない部分でも、ノーマルミッションの「次へ進む」系が常にファーストビューに「ない」っていうのが。恐ろしく誘導センスがない……ていうかどういう設計なのマジで。「常に」画面スクロールしないと次に進めないって、テストプレイしててめんどくさいって気づきませんかねえ……ガラケー専用ならアクセスキーがあるからいいでしょうけどさ。
ノーマルミッションのファーストビュー設計だけでもせめてやり直して欲しいですようわぁん。チョーめんどくさいっちゅーのよ。このレイアウトにこだわるなら、某内製ゲーのように、最初から「次へ」がファーストビューになる位置までオートスクロールしておくべきと思いますぜ。
あと、ノーマルミッションに対しても友達を呼んで助けて貰う機能があるのですが、その機能の誘導が、自分の体力に余裕がある時は常に出て来て、体力切れ画面で出て来ないっていうのも誘導下手だと思う。自分がピンチ(に見える)時こそバイラルネットワークの使いどころじゃないんでしょうかねえ。こういうゲームって。
つか、モバイルゲームの画面構成作る時、ファーストビューに何を入れるか、って物凄く大切な部分だと思うのですけれど、そこに無頓着過ぎませんかい。モバイル作り慣れてないってオチですね開発者様が。たぶん。きっと。コンシューマーゲームにはファーストビューなんて概念無いもんなぁ。
4.初心者放り出すのが早過ぎる
今のチュートリアルだと初心者は粘るモチベーションまで至れない気がします。ある程度は「お約束」の見えている私ですら、2つめのノーマルミッションボスで既にぎったんぎったんにやられて、他にやり方知らないからうんざりするレベル上げループに突入せざるを得なくなり、しかも、数レベル上がったくらいでは全く歯が立たないのでどうしようと思った。
コンシューマだってこんなゲームバランス見たことないよ……と苦笑してたのですが。ちょっとした「突破点」が1つ、ありました。超えれば一気に楽になった。
でも、これを初心者が自力で見つけろというのは無理がある(※最近のソーシャルゲーマーのリテラリシーでは)。この「突破点」部分までチュートリアルに入れてあげるべきかと。
あと、初心者特典が何もない。たいてい、回復アイテムの1つくらいは最初からもらえるものですが、それすらもない。それと、登録直後のユーザーを継続させるための、登録直後だけの特別なボーナス的なものがない。つまり、初心者をつなぎ止めよう、継続率上げよう、とする施策が何もない。
……いやまあ、この辺りは多分版権だからなんだよね。その版権が好きな人ならそんな「特典」には釣られないと思ってるんじゃないかと。だとするとやっぱり、ソーシャルゲームである必要があるのか、と思っちゃうんですよね。版権好きが、招待限定レアアイテムが欲しくて、版権を全然知らない友達を招待しまくるって可能性もあるのに。
※
いやまあ、このくらいにしておこう。
本気で、逆方向に面白いので変にテンション上がります。こういうのは「つまらない」「難しい」で放り投げられないのが元開発者のサガなのかも知れません。ただ、当然熱心にやり込む気にはなれないので、週末にたまーにひょっこり遊んでる、そか、そんな感じですけれども。
それにしても原作が判らないので、登場するアイテム名や人名が全く頭に入って来ないです……パラメータの数字しか見てないかも……。
※
これだけだとあれなので(?)、逆に、社会人が隙間プレイするのにいいタイムラインを持ってるゲームを紹介しておきますと。
「百神」です。公式だとGREE版が紹介されているから、GREEが「本家」なのかも知れないですが、私はmixiで招待されて何となく始めた。
イベントのタイムリミットが最低6時間くらいあるので、社会人にはやりやすい。あと、ミッションの構築の仕方も割と上手い感じがします。ちっちゃい目標をちょっとずつ達成させてゆく、そのやり方が。
でもオールクリアしようと思うと課金しないと無理で、そのえげつなさも、まぁ、よろしいんじゃないでしょうか。ゲーム内で鬼畜だとか言われてますけど、課金するやついなければ開発者の給料は出ないんだぜッ! 開発者の給料出ないとゲームそのものが存続出来ねーっつんですよッ!(実感)
あと……下乳?(意味はやってみると判る)
欠点は、社会人的にはエリクサー(=行動力回復)要らない子なのに何かにつけて降って来るのでうざいことと(笑)、サーバーが貧弱過ぎるよハニィ、ってとこですかね…。もう500番台のエラーメッセージ見飽きましたのですよ。頑張れサーバ。
出来ればスマホでやりたいんだけどなぁ。どういう訳かmixiアプリSAPはスマホに消極的なのが多い気がする。気のせいか(……儲からないから、かも知れない。mixiは招待特典を禁じているから)。
もう1つ、ポケッツ☆ポケッツ(※既にサービス終了)。これも招待で始めて、あまり熱心にはやってないのですが、スマホ版のゲーム進行が超速なので社会人向け。
ガラケー向けだと、アイテムゲットや戦闘などにFlashの効果(?)が必ず入るのですが、スマホ版はそれが全部すっ飛ばされて、ほぼHTMLのみの進行なので、ゲームの進み方が物凄く速いです。行動力使い果たすまでクリックするタイプのゲームですが、スマホ版だと使い果たすまでものの数分とかからない。
楽です。どんなに忙しくても、ちょっとやってから寝よっか、って感じになり易い。ソーシャルゲームはこういう風に「日常化」するって割と大切なファクターだと私は思います。
欠点…は、あるとすれば、ゲームバランス超甘なことでしょうか。無課金でもボス戦負けたことないし(ソーシャルボスも)、カード合成レシピも自力で探すタイプじゃないし。初心者特典もテンコ盛り。特に登録直後のみの連続ログインボーナス等、登録初日から続けることで有利になる仕組が物凄く大量にあって、友達に誘われたから登録だけしとこうかと思っても、これクリアするまではまぁ続けておこうかなみたいな、継続させるための施策がしっかりしてるのはえらいなぁと思った。
画面の誘導も文句なくうまいし(動線で困ったことがホントに1度もない)、デザインもゲームシステムも女子向け。ボスが喋る言葉もいちいち可愛いしなー。バトルなんてしょせん飾りなのですよ、えらい人にもそれが判ってるよこの会社。
ただ、元開発者からすると、これ、事業として続けて行けるの? と心配になるレベルの甘さ(笑)。何処で儲けるつもりなのかよく判らない感じ。
あと、カードのテイストに統一感があり過ぎるかな。私は、ちょっと女子向け過ぎてピンと来ない。お気に入りって感じにはならない。ただ(上でも書いたけど)、ボスが喋る言葉は時々ツボに入ります。言葉方面は割と楽しい。
固定リンク / 2011.12.31
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