アメリカ皆既日食 in Victor  2017年8月21日
それは、空前絶後の最高の体験だった!

  公開:2017年8月29日〜
更新:
2017年9月12日  *ベイリービーズとプロミネンス を追加

皆既日食4回目にして、初の日食撮影 (撮影・現像については、下記をご参照下さい。)

 何という偶然! たまたま地球が誕生して間もない頃、程よい大きさの天体がちょうど良い角度で衝突して月が生まれ、その大きさは太陽の1/400になり、そしてちょうど太陽の1/400の距離で留まり、視直径がほぼ同じ。 そして、たまたま月が太陽の前をピン・ポイントでぴたりと通り過ぎた時に起こる皆既日食。
 前回は北硫黄島海域で6分40秒もの長さの皆既日食を体験したけれど、あれからはや8年。今度はアメリカ大陸を横断する。しかも8月21日となると気象条件も良く、夏休みとも絡められるので、これはいい! では、どこで見るか?

場所選び
 いつも、日食は観測地を選ぶところから始まっている、等と言っているけれど、やはりこれが肝心。今回の日食はアメリカ大陸を横断。西側は天候に期待できるけれど、皆既の時間は朝10時で太陽高度も高くないので、雲の影響も受け易い。また、皆既の持続時間も2分と短い。逆に東側は皆既の時間は長くなるけれど、降水量が多いので、天候は不利。

 皆既の中心は地図上にポイントで示されているが、それでも2分40秒と短い。Google Maps で地形を見ると、青々と緑豊かな場所は降水量が多い所。茶色の砂漠地帯は、晴天が見込める。まず考えなければならないのは、交通渋滞。1995年にタイで体験した時は、普段2時間もかからない、という道が9時間以上かかり、交通事故も加わってドイツの観測隊は間に合わなかった、と聞いた。アメリカなら、皆車で移動するだろうから、相当な渋滞が予想される。だから、滞在先は皆既日食帯の中が望ましく、天候がダメそうだったら、主幹線道路で、移動に便利な場所がいい。さんざん地図や各種資料とにらめっこして選んだ場所は、ワイオミング州とアイダホ州の境にあるVictorという田舎町のモーテル。

 ここは、皆既日食の時間が11時34分からで、太陽の高度も高く、皆既の持続時間も2分23秒と長め。気象条件も良く、高度は1885m。これだけ高い標高だと、コロナの見え方が違うのではないか。そして、このモーテルは皆既の中心線の真下! 駐車場も広そうだ。イエローストーン国立公園も近いので、観光もできる。隣町、Jacksonも候補に上がったが、山に囲まれた谷にあるので、天候が読めない。
 次なる問題は、どう予約を取るかだ。予約はすんなり取れないだろうし、日食料金で2〜3倍に跳ね上がるだろうし、予約を入れておいても、ある日突然キャンセルされたり、いつの間にか急に値上げされていたり... 周到に調べたら、このモーテルが1年半前に予約できるsiteを一つだけ見つけたので、滞在日数を長めにして予約を入れた。長めに予約を入れると、向こうの都合でキャンセルされることは、まず無いだろう。予約の時点では、5泊で$754だったけれど、2週後には90数万円という価格の提示もあったらしい。何だそれ。その後も、度々予約の確認は続けた。
 次は飛行機。これは、マイレージも組み合わせて、意外な程、すんなりと取れた。最近、立て続けにアメリカでトランクを壊されたり、ロスト・バゲージになったりしていて、こんな調子なら、日食の時には沢山の機材が集結するだろうから、より 、このトラブルが多発するのではないか? 少々ゆとりを持ってスケジュールを組んだ。レンタカーも、日食がらみでの混乱、勝手なキャンセル、高騰等々考えられたので、これも1年前からしっかり予約を入れた。あとは、観光をどうしようか? こうなったら宇宙漬けだ、とヒューストン宇宙センター、ケネディ宇宙センターを見学、そしてイエローストーン&グランドティートン国立公園観光とプランを立てた。

 さて、出発2ヶ月前だったかな? utoさんから、「夏の山火事に気をつけよ」、とアドヴァイスがあった。アメリカの山火事が規模が全く違っていて、煙も物凄いらしい。これは全く想定外だった。オマケに交通規制も入り、移動もままならない場合もあるという。調べてみると、こんな地図が。まるで、北朝鮮のミサイルが攻撃したあとみたい。さらに友人が紹介してくれたsiteでは、右下のような調子。

 これでは煙でダメではないか。しかし、私は個人的なイベントでは超晴れ男なので、その運を信じた。青ヶ島では台風が見事に逸れていったし、ハワイでの観望の時は、私が来る前日まで 何日か曇っていて、観望の3日間は快晴、最終日は望遠鏡を片付け始めたら、空が雲に覆われていった。皆既日食は快晴3連勝だったし、曇った日の皆既日食は経験が無いので、 まあそれでもいいか、と楽観的に構えていた。

機材
 前回の日食では、ハイランダーとCanonの10×防振双眼鏡 10×42 L IS WP で観望した。ハイランダーで見るコロナの流線は見事だった。今回の日食は125SD双眼望遠鏡で見るぞ! と相当前から準備していたが、アメリカでの粗雑な荷物の扱いに辟易してしまって、今回の観望はKowa TSN-883+ズーム・アイピース+金属フィルターをメインとした。Canonの10×防振双眼鏡は必須。

 日食は、全身で体験するものだ。写真は、いくらでも名人がいてネットにも溢れるので、これに時間を取られるのは、あまりにももったいない。写真に3秒でも時間を取られるなら、絶対見た方が良い。という訳で、前回の6分40秒の時も眼視に徹し、写真は撮らなかった。しかし、少々意地を張りすぎたか、と反省し、今回は写真にチャレンジすることにした。といっても、PC制御による自動撮影と広角動画だ。通常、500-600mmの望遠(カメラはフルサイズ)+簡易赤道儀の組み合わせが一般的だが、それだけでも機材は重く大きくなってしまう。舞台撮影用に使っている300mm F2.8 の極めて優秀なレンズがあるので、これに1.4×コンバータを装着し420mmにして月を固定撮影してみたら、8分はファインダー内に留まっているのが確認できた。今回の日食は2分20秒だから余裕だ。これならレンズもスコープも手持ちのトート・バッグに入れて飛行機に乗れる。

 日食自動撮影ソフトは、きっといい日本語ソフトが発売されるに違いない、と待っていたら、アストロアーツ社から、上げ膳据え膳のような素晴らしいソフト/エクリプス・ナビゲーター3が発売となり、以前、使うかもしれない、と買っておいたステライメージ7(一度も使っていなかった)のアップデート価格で購入した。

 部分日食は自在に段階露光で設定、ダイヤモンド・リングは、15秒間の連続速射(107枚)、皆既の時は7段階露光×7セットで自動撮影できるだけでなく、本影錐の移動、日食の状態も表示され、おまけにカウントダウンまでしてくれる。ステライメージには自動位置合わせ機能もあるので、Zitzo のカーボン三脚に梅本の自由雲台(大)での固定撮影に決定。私は雑誌に応募するつもりは全く無いので、これでいいや、と割り切った。動画+静止画撮影は、一眼デジカメ+14mm F2.8での固定とした。

ヒューストン・自然科学博物館
 ヒューストンでは、まず自然科学博物館へ行った。ニューヨークでも自然史博物館は大変素晴らしく見応え十分。ここヒューストンのも同様だった。丸1日で も足りない位。

 定番の巨大なフーコーの振り子や恐竜の骨格標本(もの凄い数)はもちろんなのだけれど、豚くらい大きいアルマジロの祖先の骨格標本など、大変珍しいものまで展示されている。


写真では小さく見えるかもしれないが、けっこう大きい。ARMADILL-O-ZILLA という名で、ゴジラの後に発見されたのかな?
写真右は、アクアマリン。これ、30cm以上あります。売りに出たら、いったいいくらの値がつくやら。

 面白かったのは、蝶の博物館。巨大な温室に無数の蝶が乱舞している。アメリカの博物館は、見せるのが上手い。


ヒューストン宇宙センター

 我々世代には、「こちらヒューストン」という言葉には格別なものがある。いつかは行ってみたい、と思っていたが、あっという間に40数年経ってしまった。ロケットの打ち上げは、地球の遠心力を使って上げた方が効率が良いので、できるだけ赤道寄り(そして海側、つまりは東海岸側)ということで、フロリダ半島のケネディ宇宙センターで行われ、ここヒューストンには、管制塔や宇宙飛行士の訓練施設等がある。広大なジョンソン宇宙センター内にヒューストン宇宙センター(ビジター・センター)があり、英語読みでは、スペース・センター・ヒューストンとなり、行くまで自分の頭の中で混乱していた。


入り口から見えるスペース・シャトルに、いきなりテンションは上がりまくる。

 普通に見学もできるが、我々が参加したのは、1日限定12人×2セットというLevel 9 ツアー。普通はガラス張りの高台でしか見られない施設も間近で見学でき、「立入禁止」と書かれた所へも立ち入ってつぶさに見られる。ツアーは10時45分スタートで、ツアー終了は閉館時間間近、ということなので、それまで一般公開の所を見て回った。


 火星探査機:キュリオシティや探査船、宇宙服(宇宙遊泳のように展示したりするセンスは流石)、宇宙の暮らしの紹介や、アトラクションなど盛り沢山。スペース・デブリの危険さの展示には、驚きと納得。売店には、宇宙に行ったNikon F とハッセルが展示してあった。昔、カタログで見て随分憧れたなあ。



宇宙へ行った “本当の” エリート達

 さて、Level 9ツアー。黒いバンに乗り込んで、まず施設内の建物の紹介。日本人は我々2人で、あとはスペイン人5人、イタリア人4人だった。最初に見学したのは、SONNY CARTIER TRAINING FACILITYと書かれた大きな建物で宇宙飛行士のトレーニング施設。NBLと書かれてあって?と思ったが、ご覧の略だった。

 巨大な水槽/プールにISSのモジュールが沈んでいて、宇宙飛行士が実際に訓練していた。写真右下は、TV画面より。


 続いては、SPACE VEHICLE MOCKUP FACILITY へ。TVで見た火星基地、探査車、ORION 宇宙船などを間近で見学。


 個人的には、車のサスペンションと4輪独立に動く車MRV (3方向にぴったりと囲まれたスペースから、楽々と車庫出しし、自在に方向を変えての動きに驚き)が受けた。その他、二足歩行ロボットの研究コーナーや、学生の作ったロボット(コンクールで常勝)のコーナーなどを見学。


 

 感激したのは、ISS脱出用ソユーズ宇宙船(本物)。映画 ゼロ・グラヴィティを思い出した。ドアの厚みが凄い。


 宇宙飛行士も食事をする、というレストランで昼食を取った後、コントロール・センターを見学した。写真はISSのコントロール・ルーム。ディスプレイは丸見え。

 さて、次なるは、アポロで活躍した時のコントロール・ルームの見学。これには大感激! 写真右奥(実際には中央)に赤電話のある所が、あのジーン・クランツが座っていたデスク。


 アポロ13という映画があったけれど、全く描写できていなくて大いに腹が立った。あれでは、ただの安っぽいヒーロー物語ではないか。全くの勉強情報不足で、ただ制作しただけの駄作。いつもいい映画に出ているトム・ハンクスが気の毒だ。

 ディスプレイには、当時のコンピュータが映されていた。メモリー64K! 思い出せば、88の時代のメモリーは1K程。昔の単位はKだった。マッキントッシュがクワドラを出した時のハードディスクが500M。そんな大容量にいったい何を入れるのだろう、と驚いたが、あっとう間にGとなりTとなってしまった。当時のコンピュータは、今の家電より遙かに幼稚だけれど月まで行って帰ってきた。今のスパコンだって、プログラムを間違えれば一桁の足し算だって間違える。要は人間がどう使いこなすかだ。写真右上は、フライト・マニュアル(当然本物)。

 その後、サターンVロケットにご対面! これがどれだけ大きいかというと、それはケネディ宇宙センターの項をご覧いただきたい

 「あの管1本違っても、ダメなの?」と家内。当然、飛びません! 司令船の後ろの機械船の姿勢制御ノズル(4方向のラッパ)は、当時、模型を作った時の記憶をくすぐる。

 外には、マーキュリー・ロケットが展示されていた。

これが、どれ程凄いかというと...

 ソ連のスプートニク衛星がアメリカ上空を周回し、ガガーリンが地球を周回した。アメリカは宇宙開発で完全にソ連から遅れを取っていて、パニックとなった。アメリカは、満足に衛星も周回軌道に乗せられなかったのだ。

 アメリカは何が何でも人を宇宙に送ろうと、このロケットに人を乗せて上空100Kmめがけて打ち上げた。ただぶっぱなして自然落下するだけ。宇宙船には窓も無い。宇宙ロケットというよりは、巨大なミサイルの頭に人を乗せて打ち放っただけの代物。

 ほとんど意地だけの無謀な発射は、今なら到底許されないと思うが、それだけアメリカは焦っていたのだろう。

 これに乗っていたのが、アラン・シェパード宇宙飛行士。こんな命知らずの冒険野郎は、外にいないだろう。

 だって彼は、アポロ13号のあんな恐ろしい事故の後、14号に乗って月へ行き、地球に帰ってきてさえいる!

オーランドへ

 続いては、オーランドへ移り、ケネディ宇宙センターへ。せっかくオーランドなのに、ディズニー・ワールドへは行けないの? と家内は不満を言っている。空港でのトラブル、レンタカーのトラブル、ホテルのチェックインのトラブルが続き、オーランドの印象がかなり悪い。泊まったホテルは、オールド・タウンのすぐ近く。オールド・タウンは、まるで東京ディズニー・ランド。

 ここには、絶叫マシーンだらけ。木製のジェット・コースター、写真左上のタワーから放たれる巨大ブランコ・バンジー、写真右の ただ回る強大なグルグル(これは怖くて乗れないなあ)、恐ろしいスピードで坂道のコーナーを走り抜けるゴーカート等々、その筋の方々には大受け間違いなし。

ケネディ宇宙センター

 ケネディ宇宙センターの見学は、VELTRAの送迎付き日本語ツアーを申し込んだ。3000回を越えるツアーをしている、というガイドさんの説明はありがたい。個人で行っていたら、理解度がまるで違っただろう。入り口を入ると、アポロの打ち上げで使われたカウントダウン表示計とロケットの林。少し行くと、スペース・シャトルのモックアップがあった。

 でかい! 短い映画を2本見た後、エンデバーと感動的な対面となる。


             

 実際に宇宙を往復していた実機! 貨物室の展示は、実際に宇宙空間で見ているような感じで、センスが光る。シャトルのタイヤはミシュラン。

 地上に滑空して降りてくる角度は、滑り台で体験できる。ハッブル望遠鏡は、鏡の単純な口径のイメージとは裏腹に、相等大きくて驚いた。

 バスに乗って施設内を見学(ノン・ストップ)。写真左は、ロケット製作棟。つまりは、とんでもなく巨大な平屋建ての建物。アメリカ国旗も最大の大きさ、との事。打ち上げ場は、かなりある。シャトルの打ち上げ場はご用済みなので、解体、と。今は、民間のSpace X が使用している。

 先日、ロケットが打ち上げられたばかりだったので、ロケット運搬車が移動していた! 確か時速3Kmなので、まだ移動中という。燃費3m/Lだったと思う(ギネス記録)。


 砂利は、深さ1.8mだったか2mだったかの深さで敷き詰められていて、火花も散らない玉砂利との事(遠方から運搬、採取場所は忘れてしまった)。写真左は運搬車のキャタピラーで、1個1トン! これが37個繋がって一つのキャタピラーとなる、との事。写真右は、ロケット制作棟から発射台への道。

 写真左上は、打ち上げロケットの炎を受け止めて反射させていた板。写真右上は、家族だけが立入りを許された発射見学場(ここで、サターンVの打ち上げを見たかったなあ....)。サターンVロケットは、ここにもあった。このロケットが、どれだけ大きいかというと..... 上のシャトルの見上げた写真。この全長と国産H2型ロケットの全長とは、そんない差は無い。ロケットを横にして見ると、こんな感じ。写真はH2型ロケット(2015年の打ち上げの時の写真)。


 で、写真の右の矢印がシャトル(隠れていているので、長さがわかりにくい)、写真の真ん中にあるロケット群が、上に横たわっているロケット、矢印左がサターンV型。破格の大きさであるのがおわかりいただけるだろうか。アポロ棟には、月着陸とアポロ14号司令船( 地球へ戻ってきた実機!)があった。司令船は、ハニカム構造。


  宇宙服を展示しているコーナーに、一つだけ別扱いなのが...

 胸元には、シェパードと書かれている。そう、あの命知らずの冒険野郎アラン・シェパード宇宙飛行士の宇宙服 (アポロ14号で使用)だった。ほかには、例の不思議な形をした月面用スコップや、スーパーバイザーのログブックの展示、実際に触れる月の石(ただし平坦に研磨されている)、卵1個位の大きさなのに重量110gの月の石、その他、盛り沢山の展示。

 最後に、2枚だけ追加。

 何でこんなに公開しているかというと、一般への普及、教育、利益獲得のみならず、予算を得るための議会へのアピールもあるのではないか。「火星探査だって、こんなに具体化して研究しているのですよ」とでも言いたげだ。でも、何で火星に人が行かなければならないのだろうか? 今は、ロボットだってカメラの類だってこれだけ進化しているのだから、わざわざ危険を冒して人が行く必要があるのだろうか? 地球は永遠ではない。50億年後は、太陽も地球も無くなっている。そのための外の惑星への移住の布石は、もう始まっているのだ。

観測地、ヴィクターへ

 旅慣れた人は、飛行機では通路側を選択するという。私は雲を見るのが大好きなので、いつも窓際。CAに、「雲しか見えませんよ」とか言われることがあるが、雲を見ている私としては返答に困る場合もある。円形の畑が無数に広がっていて、円グラフのようなものもあり、面白い。この円、着陸の時気付いたのだけれど、相等巨大なのであった。

 観測地ヴィクターへは、ジャクソンホール空港から入る。アメリカ唯一の国定公園内にあり、空港の窓にはティートン山の大パノラマが広がる。 欲望が渦巻いているオーランドからここに着くと、心が洗われるようだ。空港はワイオミング州だが、ヴィクターはワイオミング州から少し西にあなり、アイダホ州だ。レンタカーのナンバー・プレートには、"IDAHO" と"FAMOUS POTATOS"とあり、CMで散々聞いていた「アイダホ・ポテト!」というのは、というのは有名だったんだ、と納得。


 ヴィクターは、人口1900人少々のご覧の通りの田舎町。信号は、一つしか無い。モーテルの裏には、大きなテントが張られてあった。


 行ってみると日食観測用広場で、食事も供給する、との事。当日は$35の入場料が必要、食事は$25。ただ、周囲にいくらでも空き地があるのに 、けっこうな値段なので、大丈夫かな、と心配してしまう。

イエローストン&グランドティートン国立公園 〜雄大過ぎて、絶句〜

 

 いつかは行ってみたい、と思っていたイエローストーン。今回、日食絡みで行くとこが出来た。我々は、2日間観光したが、とても回りきれるものではなかった。以下は、2日間のエッセンスで、ジャクソンから北上するルートで順に紹介。ジャクソンの街の中心の広場にはアーチがある。何とエルク(へら鹿)の角でできている(空港の入り口にもあり)。ここから空港に向かって、国道191号線を北上して行くと、右側は、ナショナル・エルク保護区。朝、出発したら、朝靄が美しかった。

 もう少し北上すると、右側にティートン国立公園入り口の看板が見えてくる。こういったポイントには、沢山車が駐車しているので、見つけ易い(逆に言うと、車が沢山停まっている所がヴュー・ポイント) 。空港を過ぎて、少し行くと、左側に雄大なティートン山脈が見えてくる。映画シェーンの舞台で有名だ。一旦Albright View Overlook というポイントで車を停止し、見ると良い。さらに少し進むと、右側に ←Moose の看板が見えてくるので、ここを左折、ティートン・パーク・ロードを進み、ティートン国立公園のゲートをくぐる。ここで車1台につき$50かかるが、1度支払うと、イエローストーンも含め1週間出入り自由なので、レシートは大切に保管を。右側にぐるりと回った突き当たりに無人の教会がある。ここからの眺めは 絶景!正面の祭壇には大きな窓になっていて、この山々が神々しく姿を見せている。テカポの善き羊飼いの教会と同じだ。
 
Google Maps には観光ポイントがしっかり掲載されているので、これを携帯でハード・コピーしておくと便利(カーナビ、ダメ今一使えません)。

 さらに少し北上すると、右側にアンテロープ・フラッツ・ロードがあり、ここを進む。先には古い民家があり、絵葉書で有名との事。写真のポイントも多数ある。こんな美しい所で育ったら、どんな人になるのだろうか。

 このアンテロープ・フラッツ・ロードの入口の反対側には、Blacktail Ponds Overlook という所があって、動物が沢山見られるようだ。フィールド・スコープや双眼鏡を持ったグループが熱心に観察していた。


 さらに北上して行くと、左側に氷河が見えるポイントがある。次々と繰り広げられる雄大な風景に圧倒された。さらにしばらく北上して行くと、左側に入る道がある。途中砂利道になるが、かまわず突き進んだ先が、Schwabacher's Landing という所。車から降りて小道を進んでいくと、ため息が出るような美しい風景に出会えた。



  いくら何でも、凄すぎ! まだまだ写真はあるけと、割愛。さらに北上すると、Snake Liver Overlook というポイントが左側にある。名前の通り、川がうねっていて、川下りの様子が見れたりする。そういえば、空港には、この川の巨大なジオラマが壁一面に展示してあった。空から見ると、こんな感じ。

  しばらく北上し、大きく左カーヴのところに、Elk Ranch Flats Turnout という所があって、アメリカ・バイソンの群れが見れた。

  しばらく行った先が左右に分かれるが、ここを左折して公園ゲートを通り抜け、イエローストーンへ向かう。Oxbow Bend、Willow Flats Overlook という景観ポイントがあり、ここも美しい。

 その先に、Jackson Lake Lodge がある。 このロッジのロビーは必見。一面の大パノラマが広がっている。ここでお昼を食べた(ロビーでサンドイッチ。しかし、ハンバーガーなんて日本では食べることはほとんど無いし、食べたくもない。アメリカの超ウルトラ・ワンパターンの食事メニューは、本当に毎度げんなり。メニューを見て食欲が減退する数少ない国だ。ハンバーガーとサンドイッチとステーキがのっていないメニューを見せてくれ、と言いたくなる)。

 さて、ここからは、イエローストーン国立公園。道が8の字になっていて(といっても広さは四国位)、まずは下の○(lower loop)の一番南側から West Thumb Geyser Basin。

 
左側の地図は、ワイオミング州政府観光局のsiteより引用


イエローストーンといえば、まずここ、オールド・フェイスフル・ガイザー。熱水と蒸気を50mはあろうか、という高さまで吹き上げる。また、ロッジのロビーがいい。ホテルも有名(行けなかった)。

 
 

 半時計回りに行くと、次は、Midway Geyser Basin。ちなみにやたらと出てくるGeyser とは間欠泉、Basin は たらい、洗面器。ここは、カラフルな温泉がいたる所にある。最初はBiscuit Basin。




 山火事で残った木は、実に芸術的。この先には、イエローストンの顔とも言えるGrand Prismatic Spring がある。

 
 

 昼間、太陽の光が入ると、実に鮮やかな色彩を放つ。 ここを上から見る場合には、少し手前の道を左に入り、山道を登った先へ行く。途中、ハート型のSpring があり、メディアで取り上げたら一気に人気が出そう。

 近くでこれを見ると、ご覧の通り。これはこれで、興味深い。

 Madisonを越えて、8の時の合わさった所にあるのが、Norris Geyser Basin。

  その先、時計で言えば1時あたりにあるのが、キャニオン。くまなく見ようとしたら、ここだけでも1日では足りない。この調子でsiteに報告していると肝心の日食にたどり着けないので、ちょっと簡単に写真だけ。



イエロー・ストーンと名付けられたのは、ここから。

 2時の方向には、Hayden Valley。


 

 車が動いていないので、何だろうと思ったら、これでした。

 3時の方向には、Mud Volcano。


 

 

 Upper Loop は、次回だなあ。

Teton Village

  日食前日は、渋滞を想定して隣街の観光だけにした。Teton Village は、アメリカでも有数のスキー・リゾート地らしい。ロープウェイが何本もあって、一番高い所へは、山頂3185mへ行ける。


  行ってみたら、強風とすごい寒さで、早々に退却した。ここで日食を見る人もいるだろうけれど、いざ日食が始まるとロープウェイは止る、と書いてあった。軽装で上がった人はどうするのだろう。山々の地肌には断層がくっきりと出ていて、地殻変動の凄さを感じる。


  リフトの中には、バイク専用のものがあり、コースもきちんと整備されていた。駆け下りたら、かなり爽快だろうなあ。

 昼食は、日食専用メニュー(といってもバーガー。ほんと、もう飽き飽き!)を食べた。

  午後はジャクソンの街で、お土産探し。意外な事に、基本的に渋滞は無かった。たまに遭遇するのは、とんでもなく遅い車が譲らないでとうせんぼしているためだった。以下は、街で見かけた日食グッズ(一部)。







 

  日食当日の朝3時の空。連日快晴で、空も物凄く良い。日本で、こんな空だったら、もう最高レヴェルだけれど、あっけなく毎晩こうだった。これで庭に大口径ドブを置かれちゃあ、もう全く敵いませんねえ。 連日観光に忙しく、星空は双眼鏡で流して楽しんだ。

2017年8月21日 日食当日

 天気予報も、晴れ/曇りから晴れとなり、山火事の煙も免れ、朝9時には雲一つ無い快晴、日食日よりとなった。朝7時から機材を広げ、セッティング。友人達4人も合流した。


機材の傍らにはEclipse ガム。

 Kowa のフィールド・スコープ TSN-883/4は凄い。口径約9cmのフローライト屈折望遠鏡、正立 プリズム、架台、ヴィデオ雲台、三脚込みで総重量わずか3.2s。片手でラクラク、トート・バッグに入れて持ち歩ける驚異の望遠鏡だ。これにズーム・アイピース TE-11WZ を装着すると、25×(実視野2.4°)〜60×(実視野1.3°)まで自在で、コロナからプロミネンスの観望まで網羅できる。当日は、盛大に黒点が出ていた。こりゃあ、部分日食も楽しい。月による黒点食もあるから。
 10時16分、第1接触 日食が始まった。欠け始めは、なかなか可愛い。以下は、5分おきに撮ったもの(エクリプス・ナビゲーター任せ)。



 食が進んでくると、光に照らされているのに光が足りない不思議な風景になってくる。濃いサングラスをかけたような、でも全く違う部分食の太陽の光。木漏れ日は、ピンホール・カメラの原理で、欠けた太陽を写す。 友人が持ってきたZeiss APQ 10cm望遠鏡は、圧倒的なコントラストとシャープな像で引きつける。惜しむらくは鏡像(天頂ミラー)。日食は正立像で観察したい。

 *右側は、指で作った隙間。

 食も半分くらいになってくと、気温が下がってくるのがわかる。独特の光と気温、そして晴天の空の太陽は、肉眼チラ見で太陽が欠けているのがわかる。あと2分ともなると、血が逆流してくるような興奮で盛り上がってくる。金星が天頂付近に眩く輝いている。ここVictor は、標高約1900mなので、夜は10℃以下になる。だから食による気温の下がり方も顕著だ。北の空は、もう夕焼けだ。スコープと望遠レンズのフィルターを外した。

 あと1分、という時に、近くをトラックが通っていった。え〜、興味無いの??? 子供達が、“Oh, My God !!” と叫んでいる。 ここはアメリカだ。リアクションがいい。いよいよ皆既だ! ここでダイヤモンド・リングを見るとコロナの微細構造が見えなくなるので、ここはそらし目。「きゃー」という悲鳴がいくつも上がる。黒い太陽が頭上に輝いた瞬間、「お〜、お、おおおおお〜〜。」と思わず声が出た。やっぱり皆既日食は物凄い! 今回の日食は空が暗い。こんなに暗くなったのは、全4回の中でも一番だ。


  流線強調像

 プロミネンスが顔を出している。何という美しさだろう。あのエネルギーが生命の源だ。コロナの流線が凄い! こんな見事なコロナを見たのは初めてだ。天文雑誌に、これでもか、と流線を強調した写真があって、「やり過ぎじゃないの?」等と思っていたが、そんなものではない。もっと凄い。やっぱり標高1885m、快晴という条件で空が暗いので、コロナのコントラストの次元が違うのか。写真は、皆既日食の最後の方に撮った6枚をコンポジットしたものだけれど、実際のコロナの美しさが出ていない。やっぱり赤道儀使わないと、このあたりが限界かなのかなあ? 現像テクニックも、まだ幼稚だしなあ..... 8時方向、太陽のすぐそばに、レグルスが輝いている。しかも、普通に夜見るより、遙かに明るい。まるでシリウスのような、でも、もっとくっきりとコントラストがある。黒い太陽とレグルス、凄い眺めだ。
 一番圧巻だったのは、実はCANON の10×防振双眼鏡だった。コロナの流線が、太い毛がピョンピョン出ているみたいに強烈に飛び出している。磁力線そのものか。2時、7時方向は、コロナが限りなく広がっていて、双眼鏡の実視野は6.8°だけれど、視野っぱいに広がっている。 ため息! 見渡せば、全周夕焼けだ。終わり際、友人の望遠鏡で見せてもらった。さすがAPQ、ショッキング・ピンクのプロミネンスの美しさは絶品だ。 彩層は、本当に美しい。核融合反応の炎が肉眼で見えるのは、この時しかない。2分23秒は切ない程の短さ.... もう残り8秒。ここからは、どこまで望遠鏡/双眼鏡で見るか、目を離すかの瀬戸際だけれど、やはりここは安全第一。非常なカウントダウン。そしてダイヤモンド・リング! これがまた、とんでもなく美しい。これも過去最高のコントラストで頭上に輝いている。でも、ほんの一瞬の出来事。あっという間に光が強くなり、我々を照らしていく。そして、再び暖かくなってきた。太陽の有り難みを体で感じる。14mm + 一眼フルサイズでの動画はYouTubeにupした。自分の声が入っているのは恥ずかしいが、雰囲気は伝わるかと思う。 また、本影錐の移動もわかる。


ベイリービーズとプロミネンス、そしてダイヤモンドリングへ

 第3接触-ダイヤモンドリングの連続写真から抜粋。月の谷間から、光が漏れ始める。きれいな○に見えるが、やっぱり山谷がある。プロミネンスと彩層と太陽の光の競演。それからダイヤモンド・リング 。第3接触のダイヤモンド・リングは、あと1秒長く撮れれば良かった(これについては、以下の反省点をご参照下さい)。ダイヤモンド・リングは、写真・右下の第2接触の方が綺麗(月の山谷も関係する)。

静止画像から作成した動画はこちら

 皆既は終わったけれど、まだまだ部分日食は楽しめるというのに、もう終わったとばかり、観客が減っていく。そして、例のテントには、けっこうなお客さんが入っていたようで、そこから出る車も相まって、もう渋滞している。


 エクリプス・ナビゲーターは、従順に撮影を続けていた。しかし、途中でPC(HP EliteBook G1)のバッテリー切れ。最大11.5時間使用できるとあるが、とんでもない。ディスプレイの輝度を落としてもバッテリーがみるみる減っていって、今回も3時間程度だった(これについては、以下の「反省と対策」をご覧下さい)。従って、途中から撮影はマニュアルでの適当な時間間隔でのもの。


 ところで、友人が持ってきたZeiss APQ。これがどれだけ凄いかというと、手持ち・コリメート撮影のアップ(アイピースは、Leica 32×WW/26×WW 焦点距離 13.75mm。従って観望は47倍。トリミングのみのカメラのjpeg画像。無加工・無修正)。粒状斑も月の凸凹もしっかり見えている。


左:元画像(jpeg)  右:トリミングして拡大したもの

 部分日食では、影が左右違って見えるという。左側の影はくっきりしているが、右側のは辺縁がぼやけている。これなのかな? さて、日食が終わった後、友人達と乾杯した。何でって? 当然、“コロナ・ビール”


* 私は写っていません。

 さて、今回の空前絶後の皆既日食。今まで4回の中でも最高だった。やはり高度1885m+快晴は、コロナの見え方に絶大なる影響があったと思う。次の皆既日食はいつになるはわからないが、日本の場合2035年9月2日だ。その時、私は78歳。生きているだろうか? 生きていても、「日食は、まだかね?」、「おじいちゃん、さっき見たでしょ!」なんてことになっているかもしれない。という事は、今後も海外遠征が主だ。部分日食については今回のKowaのスコープが手軽で良いと思うが、できるなら125SD双眼望遠鏡を持ち込みたい。しかし、この望遠鏡の場合、最大実視野は3.6°だ。アイピースを交換している時間など無い。やはり、皆既の時は望遠鏡ではもっと倍率を上げての観察し、コロナは双眼鏡というところに落ち着くだろう。双眼鏡は、できるならEMS対空双眼鏡で見たいところだが、ちょっと海外に持って行くには大変だ。市販品なら、Nikon WX 10×50 IF で是非見てみたいものだ。
 観望に関しての今後の課題。今回は、シャドウバンドがわからなかった。あまりにも快晴+標高1885mだったからかもしれないが、やはり白いシーツ等用意できれば良かった。また、部分食のピンホールは、前もって用意しておいた方が良かった。毎回成り行きだったけれど、今度は用意しておこう。皆既の前・後の本影錐の移動については、もっと注意を払う必要があった。写真・動画だとわかりやすいが、もっと実体験したい。

 さて、今回初挑戦だった撮影だが、これには反省点、改善点がいろいろ。

 自動撮影のモバイル・ノートPC: HP EliteBook G1 は、11.5時間使えるような事がsiteに書かれているが、とんでもない。普段使いで4時間持つか? 1/3であり、まるで詐欺にあったようだ。誇大広告もいいかげんにしてもらいたい。そして予備バッテリーは無いし、何らかのバッテリーも接続できないし、車のアクセサリーからもバッテリー供給できないし、要するにAC電源が無いとダメなPC。パッドの操作性も悪く、返品も受け付けない。今回は、ディスプレイの輝度を限りなく落として(写真でわかるように、遮光板で囲んでいる)も第4接触途中で失神した。あとは、日食当日は、エクリプス・ナビゲーターのカウントダウンと撮影表だけの表示にしてPCの負荷を軽くするか。あるいは可能性は低いが、外部バッテリーの発売を待つか。

 撮影モード: エクリプス・ナビゲーターでは、マニュアルには例として F8、1/2000 1/1000, 1/500、ISO:200、RAW+JPEG(FINE) と設定している。晴れた日の事前のテスト撮影では、私のシステムでは、やや露出不足と感じだ。そこで、絞りF8はそのままとしてISOを400とし、シャッター・スピードを1/4000、1/2000、1/1000、1/500、1/250としてみた。今回はベストの空だったが、1/4000、1/2000は露出不足、1/250は露出オーヴァーだった。ただし、薄雲等も考えられるので、次回のシャッターの設定は、1/1000と1/500のみとし、やや薄雲がかかった時は、部分日食はマニュアル撮影、ダイヤモンド・リング前から自動撮影にしようと思う。なお部分日食は、今回は5分間隔で撮影し、ダイヤモンド・リングの3分半前までとした。

 ダイヤモンド・リングの撮影は、マニュアルには例として F8、1/500、ISO:200、JPEG(FINE) で、第2、3接触10秒前から15秒のバースト連続撮影となっていたが、それはそのまま踏襲した。しかし、第3接触の時間がわずかに狂っていて、第3接触のダイヤモンド・リングの撮影が今一の結果となった。原因としては、GPSを接続して時間、場所を入れると、どうしても1時間早くなってしまったので、当日、場所はGoogle Mapsで得ていた位置情報をマニュアルで入力して動作させた。実は、GPSでの位置情報は、観測地は少し南側に表示されていた。再度、GPSでの動作確認と(アメリカは4つの標準時があるので大変だ。時間が変わる州の境に済んでいる人達はどうしているのだろうか)、バースト撮影は、20秒に設定しておくと、第2、3接触のダイヤモンド・リングの撮影には良いかもしれない。

 皆既日食/コロナの撮影は、マニュアルには例として F8、1/1000 からのブラケット撮影(4秒までの7枚)、ISO:200としている。これは、ISOを400にして1/2000からのブラケット撮影(2秒までの7枚)とし、撮影時間の短縮を図った。各セットは3秒空け、計7セット撮るように設定した。撮影結果を見ると、2秒は明らかに露出オーヴァーのように見えるが、コロナの広がりをコンポジットで出すには必要なのかもしれない。同じ露出を7セットとしたが、ここは1/3ずつ露出を変え、段階露出にした方が良かったようにも思う。これから現像に習熟してきたら、またこの設定は変わりそうだ。

 今後、固定撮影でやるか、赤道儀を使うかは検討中。

 動画: EF14mm F2.8は、フルサイズ一眼で動画撮影をしたが、静止画で撮影画角を決め、本番で動画撮影をした。動画の場合、画角が変わるのを失念していて、撮れた動画は地上風景が寂しくなってしまった。普段動画を撮らないので、ミスってしまった。

 現像: 私は天文写真は初心者だけれど、これだけは避けなければ、という点はわかる。一般的な写真の初心者は、風景を撮る時にPLフィルターを付けて、やたらとコントラストを上げた像を得たがる。しかし、適応を考えて使わないと不自然な一本調子の写真に、すぐに嫌気がさされてしてしまう。オーロラの写真も、やたらと濃いのがネットに溢れているが、映って嬉しいのはわかるけれど、とにかく変。不思議なのは、天文業界で撮っている人(仕事は写真では無い)のブログで、極端に濃い不自然な写真を掲載している人もいる。よほど変な(壊れた?)モニターを使っているのかな?と心配になってしまうが、まあ人のことは言っていられない。日食の写真で多いのは、これ。これは避けたいところだ。

コロナが濃く、いかにも皆既という感じだが、白飛びしている。

一般受けはするかもしれないが、実際に見れば、決してこのようには見えない。コロナは白飛びしないよう、現像しなければならない。

 スピード違反: 毎日、いくつもパトカーが捕まえているのを目撃した。物凄い数なのだ。日食で車が増えるので、大々的に取り締まっていたのであろうか。国体開催県は、取り締まりを強化し、資金をかせぐのを思い出した。後ろの車の挙動に注意して運転するのは日本でも外国でも同じ。注意してそれなりに走行していた。
 さて、イエローストーンから帰ってくる時、夜11時過ぎ。ど田舎の道なので、前にも後ろにも車はいない。対向車もいない。ワイオミングとアイダホの州の境、アメリカでは対向車がライトを上向きにしたまま走行する車が多くて頭にきていたので、遠くに見えてきた対向車に対しても上向きのまま走っていた。制限速度は55マイル(アメリカは、未だにマイル、ヤード、インチ、ポンド、F°など、ローカルな単位を使い続けていて国際化から大きく取り残されている。アメリカは世界の中心だ、などという奢れたかぶった意識を捨て、標準化せよ! その脇にローカルな単位を表記すれば良い。抵抗があるのは今の世代だけで、次世代から普通になる)だが、こんな田舎道で車もなければ、スピードそこそこ出るでしょう。そして州の境なので、パトカーいないでしょう。対向車のライトがぴくっとした瞬間、あのど派手なライト 全開でUターン!

あ〜あ、やっちゃった! ここは大人しく従わないと、えらい事になる。

ハワイのガイドさんから、対向車の取り締まりに気をつけよ、と聞いていたが、これかあ。スピードは19マイルオーヴァーとか。測定なんかしていない。フィーリングだ(測定結果を見せろ、というと、もう消した、とか言うらしい)。

はい、従いますよ〜。罰金$155なり。

ネットでカード決済できる、と説明があった。「便利ですね〜」と全く捨てゼリフにもならない言葉を残し、「いいです。素晴らしい国立公園の整備費に充てて下さい」と心に言い聞かせ、その場を後にした。

 日本の交通取締は、高速道路なのに制限速度60Kmの所で取り締まったり(取り締まる前に標識替えなさい)、落とし穴を掘って待っているような陰険なものも多いが(未だに納得できないもの多数)、海外でも似たような状況かもしれない。ハワイでは、制限速度が町の近くになって速度指示が遅くなっている所で待ち構えている、というし、スイスのルガーノ音楽祭に行った時には、深夜、音楽家の方々をホテルに送り届けていた時、信号を0.6秒守っていなかっ たと後日手紙が来た(イタリア語で何やら沢山書かれていたが、封筒が警察署からだったので、捨てないで読んだ。罰金を払わないと、次にスイスに入国した時には犯罪者として扱うぞ、と書かれていた。罰金何と3万数千円!)。交通違反は凹みます。みなさん、注意しましょうね。

 バックミラーのボタン: レンタカーは走れば良いという感覚なので、いつも小型車だ。ただ、Victorでは悪天候の時の観測地移動も考え、チェロキーを借りた。バックミラーには、いろいろスイッチがある。上に書いた通り、アメリカではライト上向きで走る車ばかりで、後ろからのライトも眩しくて仕方が無い。防眩が効いていないのだろうか、とバックミラーのスイッチを押していたら、 突然電話が自動発信となった。スイッチを良く見ると、赤字で911と書いてあった。911って、アメリカの110、つまりは警察への電話だ。まずい、警察直通スイッチだった! アメリカは治安が悪いので、こんな装備が付いていたのか。あわててあちこちスイッチを押しまくったが、ダメ。繋がってしまった。「どうしたんですか?」、「いや、間違って押してしまったんです。」、「いえ、もう少し詳しい状況を教えて下さい。」、「旅行客で、レンタカーに慣れてなくて.... 本当に大丈夫ですから! どうもすみません!」、もうすこしやりとりがあってから、やっと終了。冷や汗、どばっ。これってTVで良く見る「事件の時の実際の通報-録音」そのままだった。とスピード違反に続き、またまた警察に縁があった。もう十分です!

 帰国

 怒濤の遠征だった。ヴィクターからジャクソン・ホール空港へ向かう時の写真。ジャクソンは、人も良かった。街の人に何か聞こうとすると、まず “にこっ” と笑顔から始まるのだ。女性に聞いた時が多かったこともあるけれど、大変に心が温まった。容姿にコンプレックスのある私としては、なかなか見習うのは難しいところもあるが、教えられた。写真・右上は、飛行機から見たジャクソンの街。右側の斜面はゲレンデ。

 次は?

 皆既日食は、これで4回体験したが、どれも違う。微妙に太陽と月の視直径だって異なる。そしてあの荘厳な眺め。もう頭は次回の皆既日食のことを考えている。次は2019年7月2日。南太平洋〜チリで4分33秒。船で見られれば、洋上の星空も最高だろう。日数がかかり、金額も高そうだ。その次は、2020年12月14日。同じく南太平洋からチリ、アルゼンチンで2分10秒。長旅で2分はちょっと悲しいし、このあたりは休めない。続いて2021年12月4日。南極付近で1分54秒。こりゃあ無理だ。その次は2023年4月20日。パプアニューギニアで1分16秒。これは短すぎる。2024年4月8日はメキシコ〜アメリカ南部で4分28秒。休むのは大変だが、これは行きたいところだ。2026年8月12日はグリーンランドで2分18秒。これは行けそうだ。オーロラは白夜で無理かな? 2027年8月2日はアフリカ〜サウジで6分23秒。これは行けそうだ。2028年7月22日はオーストラリアで5分10秒。これはいい! 2030年11月25日は南太平洋で3分44秒。もう仕事はしていないので、お金と健康があれば行ける。2031年11月14日は太平洋・赤道直下で1分8秒、短い。2033年3月30日はベーリング海〜北極海で2分37秒、無理だなあ。2034年3月20日アフリカ〜サウジで2分58秒。健康とお金次第。そして2035年9月2日日本で2分54秒! 2037年7月13日オーストラリアで3分58秒。2038年12月26日はオーストラリア〜ニュージーランドで2分18秒。条件は良い。

 以上、あと20年の日食の予定空けれど、20年後、私は80歳。生きているだろうか。仮に80歳まで健康であったとして、候補を挙げると
  △2019年 7月 2日 南太平洋 4分33秒 (船旅は時間、金銭的な面で厳しい)
  ◎2024年 4月 8日 アメリカ南部 4分28秒 (これは行くでしょう)
  ◎2026年 8月12日 グリーンランド 2分18秒 (観光兼ねて行きたい)
  ○2027年 8月 2日 サウジ 6分23秒 (翌年のオーストラリアがあるからなあ。でも絶対晴れそう)
  ◎2028年 7月22日 オーストラリア 5分10秒 (これは行くでしょう)
  ○2030年11月25日 南太平洋 3分44秒 (船旅は時間、金銭的な面で厳しい。でも、もう仕事してないか)
  ○2034年 3月20日 サウジで2分58秒 (絶対晴れそう。癌で余命いくつ、とかだったら行くかも)
  ◎2035年 9月2日 日本 2分54秒 (生きてたら見る)
  ◎2037年 7月13日 オーストラリア 3分58秒 (生きてて体・頭が元気だったら、行きたい)
  ◎2038年12月26日 オーストラリア〜ニュージーランド 2分18秒 (生きてて体・頭が元気だったら、行きたい)

 と考えると、頑張れば死ぬまでに3〜4回体験できそうだ。不思議なのは、アメリカの皆既日食やイエローストーンをネットで検索すると、 この日食で人類が滅びるとかの世紀末思想がけっこう候補にあがってくる。内容は見ていないけれど、この先20年で皆既日食は15回、金環日食は31回もあるのに。ハレー彗星は76年に1度で、前回はあまりに も天文情報不足だったとしても(洗面器に顔を入れて、少しでも無酸素状態に耐えようとする映像は相等受ける)、現代で、何で?? いや、現代だからこそなのかな?


動画からの切り出し

 部分日食も金環日食も興味深いが、皆既日食は全くの別物だ。全身、六感で受ける感動が、あまりにも強烈。宇宙に無数にある惑星。地球のような幸運な惑星は、どの位あるのだろう。昔は地球のような惑星は無数にあり、当然地球外生命も無数にあると思っていたが、宇宙を知れば知る程、地球は奇跡の惑星だと思う。それなのに、世界の政治が悪すぎて、地球をダメにする。ああ.... 

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