△ 「背中のイジン」シーン9


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南浅草署前。浜崎警部がうろうろしている。そこへ後藤が入って来る。

後藤 「すいません、警部。」舞台写真
浜崎 「遅い!」
後藤 「勘弁して下さいよ。午前休潰して来たんですから。」
浜崎 「早く乗れ!」

二人、車に乗り込み走り出す。

後藤 「また例の天星会ですか。」
浜崎 「あぁ、かなり被害が広がってる。本庁が腰を上げるのも時間の問題だな。」
後藤 「やっかいですよね。被害者から被害届が出ないってパターンは。」
浜崎 「やくざでも宗教団体でもない。新種の悪徳霊感商法の中でも奴らの手口はかなり巧妙だ。」
後藤 「あ、そうだ。霊感商法っていえば、さっき面白い事あったんですよ、いきつけの病院で。」
浜崎 「病院?心霊治療かなんかか?」
後藤 「いやいや、普通の町医者なんですけどね。そこで、どう見ても三十前後なのに自分はその家の御先祖様だって言い切ってる男がいたんですよ。」
浜崎 「ふん。あほらしい。」
後藤 「でしょ?なのにそこにいた何人かは信じちゃってんですよ、その男の話を。」
浜崎 「新手の詐欺師ってとこか。」
後藤 「しかもそれが、あの瀬名周作だって言うんですよ、笑っちゃいますよね。」
浜崎 「瀬名周作?!!」
後藤 「警部、前!前!」
浜崎 「おぉっと…」
後藤 「あっぶねぇ〜。なんすか今のリアクションは?」
浜崎 「すまん…瀬名周作…」
後藤 「なんすか。」
浜崎 「いや…とにかく今はこっちのヤマだ。」
後藤 「はい。」

二人ハケる。

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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