△ 「背中のイジン」シーン7


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天星会の一室。霊媒師の美香子と月子が登場。
その後ろから一組のカップルが追いてくる。

「おかげさまで私達、来月結婚することになりました。」舞台写真
美香子 「それは良かった。」
月子 「良かった良かった!」
レイ 「ありがとうございます。」
「全て美香子様のおかげです。」
美香子 「いえ、私もまた貝塚様に導かれて、あなた方へ幸せを運んだにすぎません。」
「美香子様。今月のフォーチュン・クリスタルを…」
美香子 「わかりました。」

美香子、小さな水晶玉のようなものを取り出して呪文を唱えはじめる。

美香子 「マービー、アー、マージュ、サタウラ、ネプル、
   マービー、アー、マージュ、サタウラ、ネプル、
   マービー、アー、マージュ、サタウラ、ネプル、サンッ!!」
美香子 「(水晶玉を差し出し)お二人の幸せな結婚生活に。」
潤・レ 「ありがとうございます。」
「これ、いつものでございます。(茶封筒を差し出す。)」
美香子 「(受け取り、中身を確認し)確かに。」
「では、失礼します。」
美香子 「あっ、ちょっと待って。(茶封筒から1万円を取り出し)少ないけど、これ、御祝儀。」
「ありがとうございます!」
美香子 「お幸せに。」

潤、レイ、美香子に深々と頭を下げ、ハケる。

月子 「さすがぁ!お姉ちゃまは素敵〜っ!」
美香子 「えぇ。」
月子 「ファッションも素敵!」
美香子 「えぇ。」
月子 「呪文も素敵!」
美香子 「えぇ。」
月子 「しかも、御祝儀だなんて優しくて素敵〜っ!」
美香子 「えぇ。」
月子 「お姉ちゃまのおかげで幸せな人達がどんどん増えていくのね。」
美香子 「ええ。でも、私も月子のお陰でいつも気分爽快元気ハツラツだわ。ありがとうね、月子。」
月子 「お姉ちゃま〜。」

奥から貝塚と黒服の男が登場。

貝塚 「さすがですね。美香子さん。」舞台写真
美香子 「貝塚様。」
貝塚 「あなたが来てから、この天星会は本当に沢山の迷い人を救えるようになりました。素晴らしい。」
美香子 「もったいないお言葉です。」
貝塚 「そこでどうでしょう。あなた、天星人(てんせいびと)になってみる気は?」
美香子 「天星人?!」
月子 「お姉ちゃま!」
美香子 「本当ですか?」
貝塚 「もちろんです。」
月子 「お姉ちゃま、すごいよ!」
貝塚 「あなた程の力があれば、当然かと。」
美香子 「ありがとうございます!」
貝塚 「ただし、天星人になるには少なくとも五年の修行が必要。まだ三年目のあなたがなるということは異例中の異例。そこで、一つ条件を。」
美香子 「どのような…まさか…」
貝塚 「その通り。あなたのお兄様の事です。」
美香子 「ですが、兄には何度声を掛けても…」
貝塚 「大丈夫。あなたならきっと、いや、彼を連れて来られるのはあなたしかいないのです。」
美香子 「…はい。」
貝塚 「お願いしますよ。美香子さん。」
美香子 「必ずや。」

貝塚、ゆっくりと立ち去る。

月子 「お姉ちゃま!天星人よ天星人!もう素敵すぎて背中から羽が生えちゃいそうですぅ!」
美香子 「でも、あの人を連れてくるのは、ちょっと…」
月子 「大丈夫。お姉ちゃまにしか出来ないって貝塚様もおっしゃってたわ。頑張りましょう。お姉ちゃま。」
美香子 「えぇ。」舞台写真

二人ハケる。
探し物をしている男、三度登場。今度は走って来る。
辺りを見回しがっかりして膝をつく。
が、はっと何かに気付き追うように走り去る。暗転。

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

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