トップページ > ページシアター > 背中のイジン > シーン3|再演版 【公演データ】
また先ほどの男、辺りをうろうろしながらため息をつき、ハケる。
仁志家。仁志満(にしみつる)が電話をしている。
満 「何度も言ってるだろ、僕はやらないって。お前こそもうやめたらどうだ…」
奥から花音の声がする。
花音 「こんにちは。」
満 「じゃ、忙しいから切るよ。」
満、電話を切り、ドアを開ける。
満 「いらっしゃい。」
花音 「あの、電話…」
満 「あぁ、全然大丈夫。どうぞ。」
花音 「すみません、無理言っちゃって。」
満 「いやいや…で、例のモノは?」
花音 「はい。」
花音、ポケットから古いロケットを取り出す。
満 「ロケットペンダント。」
花音 「はい。蓋は錆び付いちゃって開かないんですけど。」
満 「なるほど…やってみましょう。」
花音 「あの。」
満 「はい?」
花音 「どうしてそんな凄い力があるのに、商売になさらないんですか?」
満 「あぁ…うん…」
花音 「あ、ごめんなさい。余計な事…」
満 「いや…気持ち悪いでしょ、霊媒体質なんて…じゃ、どうぞこちらへ。」
花音 「はい。」
二人ハケる。
(作:松本仁也/写真:広安正敬)