△ 「背中のイジン(再演)」シーン3


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照明が変わり仁志家。仁志満(にしみつる)が携帯で話しながら出て来る。

「何度も言ってるだろ、俺はやらないって。お前こそもうやめたらどうだ…」写真

玄関チャイムの音。

「じゃ、忙しいから切るよ。」

満、電話を切る。

「どうぞ、入って下さい。」

花村秋星(はなむらあきほ)入って来る。

あきほ 「おじゃまします。先生。」
「え?!あれ?!花村さん?!なんで?!」
あきほ 「なんでって、先生が入って下さいって言ったんでしょ?」
「いや、それは、今、ちょうど別のお客さんが…」
あきほ 「原稿頂きに来ました。」
「そう…だったよね…」
あきほ 「まさか、できてないなんて事…」
「いや、あと少しで…」
あきほ 「じゃ、待たせて頂きますね。」
「あの、今ちょっとお客さんが来るので…」
あきほ 「締め切り3日過ぎてますよね?」
「ん?あれ?そうだっけ…?」
あきほ 「今時データじゃなくて原稿用紙で出したいって言うからワザワザ足運んで来たんですよ?」
「うん…はい。」
あきほ 「それを、お客さんが来るとか適当な事言って追い返せるとでも…」

玄関チャイムの音。

「…ほら。(玄関に)どうぞ入って下さい。」

花音が入って来る。

花音 「失礼します…」

花音とあきほ、目が合い暫しフリーズ。お互い指をさして満に

花音・あきほ 「彼女さん?」
「両方違います。こちら雑誌記者の…」
あきほ 「(名刺を出して)『月刊レムリア』の花村秋星です。」
花音 「(名刺を受け取り)あ、レムリアってあの…」
あきほ 「オカルトやミステリー系の三流雑誌です。」
「三流って自分で言った。」
花音 「みっちゃんさんのオカルト小説を連載している…」
あきほ 「みっちゃんさん?」
「古い付き合いのご近所さんなんで。」
花音 「三波花音です。あ、もしかして取材のお邪魔でしたか?」
あきほ 「いえ、今日は原稿の取り立てです。あなたは?」
花音 「霊媒のお願いで。」
あきほ 「れ、霊媒?!え?先生そんな面白い事できるなんて聞いてませんけど?!」
「いや、霊媒はホントにたまにしか…」
あきほ 「何で黙ってたんですか?!そんないいいネタ!」
「ところで花音さん、例のものは…」
花音 「あ、はい。」
あきほ 「うわ、ガン無視と来たか。」

花音、古いペンダントを取り出す。

「ロケットペンダント。」
花音 「はい。蓋は錆びついちゃって開かないんですけど。」写真
「なるほど。とにかくやってみましょう。ってことで花村さんは…」
あきほ 「ご一緒します。」
「いやいやいやいや…」
花音 「私は構いませんが…」
「え?」
あきほ 「って事で。」
「いや、しかし。」
あきほ 「原稿受け取るまでは帰って来るなと言われてますんで。」
「(溜息)…。わかりました。こちらへどうぞ。」

満、花音、ハケる。

あきほ 「こりゃこっちの方がいいネタになるかも…」

あきほハケる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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