△ 「背中のイジン」シーン2


トップページ > ページシアター > 背中のイジン > シーン2 【公演データ

<前一覧次>

男が一人、何かを探しているようなそぶりで登場し、
辺りを見回し、ため息をつき立ち去る。
周人と森島、会話をしながら入ってくる。

森島 「そういや、潤ってどうしてる?」舞台写真
周人 「それが全然大学出て来なくて。」

二人の後ろから、典子が出てくる。

典子 「周人。」

二人、とっさにファイティングポーズ。

周人 「なんだよ。」

典子、素早くハガキを振りかざし、周人に渡す。

典子 「あんたに。さっき渡し忘れた。」
周人 「脅かすなよ。(ハガキを見る)あ、これ潤からじゃん。」
森島 「お、ウワサをすればってか?」
周人 「なになに…」

周人と森島、声をそろえて、ハガキを読む。

周人・森島 「私達、結婚します…」

沈黙。二人同時に叫ぶ。

周人・森島 「なんだとぉっ!?」
周人 「顔見せないと思ったら、女かよ!」
森島 「何だかとっても許せんな。」

反対側から美波花音(みなみかのん)が走ってくる。

花音 「あ〜〜っ!それそれ!」
典子 「あ、花音ちゃん、おはよう。」
花音 「おはようございます。」
周人・森島 「はよっ。」
花音 「それウチにも着てた。」
周人 「なぁ、これマジかよ。」
花音 「わかんないけど、ヘンよね。」
周人 「何が?」
花音 「よく見て。『私達、結婚します』って書いてあるのに、潤しか写ってないでしょ。」
周人 「あ、ホントだ。なにこれ?」
典子 「アレよきっと。すんごい可愛い彼女だから、出し惜しみしてんのよ。」
森島 「ますます許せんな。」
花音 「おっといけない。急いでるんだ。じゃね!」
周人 「あれ?うちに用じゃないの?」
花音 「ううん。今日はちょっと、お隣に。」
典子 「お隣って、みっちゃんトコ?」
花音 「はい。」

後ろから周人の祖父、瀬名周助(せなしゅうすけ)が顔を出す。

おじい 「周人。」
周人 「あ、じいちゃん。今行く。(花音に)じゃ!」
花音 「じゃ!」舞台写真

おじい、周人、森島、後ろにハケる。

典子 「ねぇ、なに?みっちゃんトコに、何の用?」
花音 「いや、あのそれは…」
典子 「もしかして、言えないような事?」
花音 「あ、あの…」

典子の後ろから、後藤牧雄(ごとうまきお)登場。

後藤 「おはようございます。典子さん。(敬礼)」
典子 「あ、おはようございます。」
後藤 「今日、警察の方、午後出勤なもので、朝のうちに診察来ちゃいました。」
典子 「そうですか。」
花音 「じゃ、失礼します。」

花音、ハケる。

典子 「ちょっと花音ちゃん…」
後藤 「どうかしました?」
典子 「いえ…どうぞ、お入り下さい。」
後藤 「はい。よろしくお願いします。(敬礼)」

後藤、ハケる。典子、花音を気にしながらハケる。

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

<前一覧次>


トップページ > ページシアター > 背中のイジン > シーン2 【公演データ