トップページ > ページシアター > 背中のイジン > シーン2|初演版 【公演データ】
照明が変わり、診療所前の通り。男が一人、何かを探すようにキョロキョロしながら登場し、
ため息をついて立ち去る。周人と森島が入って来る。
森島 「そういえば潤ってどうしてる?」
周人 「それが全然大学出て来なくて。」
後ろから典子が出て来る。
典子 「周人。」
周人 「なんだよ。」
典子、素早くハガキを振りかざし、周人に渡す。
典子 「あんたに。さっき渡し忘れた。」
周人 「脅かすなよ。ハガキ?…あ、これ潤からじゃん。」
森島 「お、噂をすればだな。」
周人 「なになに?」
周人・森島 「私達、結婚します…」
沈黙。二人同時に叫ぶ。
周人・森島 「なんだとぉおっ!!!!」
周人 「顔見せないと思ったら女かよ!」
森島 「なんだかとっても許せんな。」
周人 「ってか彼女もいなかったのに何だよ急に結婚って?!」
森島 「しかも今時写真ハガキで報告って…」
反対側から三波花音(みなみかのん)が走って来る。
花音 「あ〜〜っ!そのハガキ!」
典子 「あ、花音ちゃんおはよう。」
花音 「おはようございます。それ、うちにも来てた。」
周人 「なあ、これマジかな?」
花音 「わかんないけど、変よね。」
周人 「何が?」
花音 「だって『私達、結婚します』って書いてあるのに、潤しか写ってないでしょ。」
周人 「あ、ホントだ。ふざけてんのか?」
花音 「おっといけない、遅れちゃう、じゃね。」
周人 「あれ?うちに用じゃないの?」
花音 「ううん。今日はちょっとお隣に。」
典子 「お隣って、みっちゃんトコ?」
花音 「はい。」
後ろから周人の祖父、瀬名周助(せなしゅうしゅけ)が顔を出す。
おじい 「周人。」
周人 「あ、じいちゃん、今行く。(花音に)じゃ!」
花音 「じゃ!」
おじい、周人、森島ハケる。
典子 「ねぇ、なに?みっちゃんトコに何の用?」
花音 「え?あのそれは…」
典子 「もしかして、言えないような事?」
花音 「いえ、そんなんじゃ…」
典子の後ろから後藤牧雄(ごとうまきお)が出て来て敬礼。
後藤 「おはようございます。典子さん。」
典子 「あ、後藤さんおはようございます。」
後藤 「今日、仕事午後出勤なもので、朝のうちに診察来ちゃいました。」
典子 「そうですか。」
花音 「じゃ、失礼します。」
花音、ハケる。
典子 「ちょっと花音ちゃん…」
後藤 「どうかしました?」
典子 「いえ…どうぞお入り下さい。」
後藤 「はい。よろしくお願いします。(敬礼)」
典子、後藤、ハケる。また先程の男、キョロキョしながら出て来て、ため息をついてハケる。
(作:松本じんや/写真:はらでぃ)