2022年3月の映画  戻る
その消失、 
2018年 日本 105分 
監督・原案・脚本・編集 狩野比呂
出演 札内幸太(ふだうちこうた)/平祐奈(たいらゆうな)
メモ 2022.3.30(水)シネ・リーブル梅田
あらすじ
記憶障害に悩まされている刑事がストーカー事件を追う
感想
でかでかしたフィリピン・パブの店名で「ああ、そういう話なんやね」と判るが、結末は予想をはるかに超えていた!
「いや、それは、あかんやろ」と思うもんの狂っちゃってる。
後味は悪いようないいような。監督さんは無力を感じそして、怒っている。
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ナイトメア・アリー NIGHTMARE ALLEY
2021年 米国 150分 
監督 ギレルモ・デル・トロ
原作 ウィリアム・リンゼイ・グレシャム
キャスト ブラッドリー・クーパー(スタントン)/ルーニー・マーラ(モリー)/ケイト・ブランシェット(リリス)/トニ・コレット(ジーナ)/メアリー・スティーンバージェン(フェリシア)/デヴィッド・ストラザーン(読心術師ピート)/ウィレム・デフォー(クレム)/ロン・パールマン
メモ 2022.3.26(土)なんばパークスシネマ
あらすじと感想
「ヘルボーイ」 「パンズ・ラビリンス」 「シェイプ・オブ・ウォーター」のギレルモ・デル・トロ作品。
1939年、大恐慌時代の米国。食い詰めた男スタントンはカーニバルの見世物小屋の雑役に雇われる。
 
そこは怖いもの見たさの客と全てが夢か幻か あやしげでいかがわしいセピア色の世界。
スタントンは引退した読心術師から人を惑わす技の手ほどきを受け、彼の秘蔵の手帳を盗みカーニバルから出奔する。
 
人間の欲には限りがないのか。煩悩にまみれた男の行く末は。。。。をかっこいい男ブラッドリー・クーパーが演じる。
主人公は現状に満足せず、人より頑張り、リスクを背負って勝負し、上流階級の一員になりたいって夢を見る。これもアメリカンドリームなの。
引き返す機会はあったのに、因果応報というか欲と罠にからめ捕られる。イカロスの様にも感じる。
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Mr.ノーバディ NOBODY
2021年 米国 92分 
監督 イリヤ・ナイシュラー
キャスト ボブ・オデンカーク(ハッチ)/コニー・ニールセン(ハッチの妻)/クリストファー・ロイド(ハッチの父)/RZA(ハッチの弟ハリー)/アレクセイ・セレブリャコフ(ロシアンマフィア・ユリアン・クズネツォフ)
メモ 2022.3.21(月)WOWOW録画
感想
くたびれた中年男が実は羊の皮をかぶった獣で。というのはリーアム・ニーソンのおはこかと思っていたら。
ドラマ「ブレイキング・バッド」とスピンオフドラマ「ベター・コール・ソウル」の口から生まれてきた知能犯すれすれの弁護士ソウル・グッドマン役のひとが殴り合いをしている。
 
この映画、面白い。
バスで移動するハードボイルドって初めて見た。(車は奥さんが使っているから)
ブラックユーモアもあちこちにあって「みんな よく来てくれた」がおかしい。普段はむっつりしているのに死にかけたひととはおしゃべりするねん。
ルイ・アームストロングの「この素晴らしい世界」も皮肉に満ちている。
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オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体― OPERATION MINCEMEAT
2021年 米国 128分 
監督 ジョン・マッデン(「女神の見えざる手」
原作 ベン・マッキンタイアー
キャスト コリン・ファース(モンタギュー少佐)/マシュー・マクファディン(チャムリー大尉)/ケリー・マクドナルド(ジーン)
メモ 2022.3.16(水)TOHOシネマズなんば
あらすじ
1943年、ドイツと戦っている英国の海軍情報部少佐イアン・フレミングはひとつの作戦を提案する。
連合国側はシチリア島上陸を計画していたが、ドイツには「上陸はギリシャ」とフェイク情報を流しドイツ軍防衛の主力をギリシャに移動させる計画だ。偽りの情報を渡す手段が凝っていて「上陸はギリシャという極秘文書を携えた将校の遺体が、中立国スペインに漂着する」だった。
感想
英国本国ではエセ情報を仕込むためいつわりの将校を仕立て上げていく。
年齢体格等将校にふさわしくかつ身寄りのない遺体を探し恋人の写真をポケットに入れラブレターをねつ造しと架空の人格とストーリーの創作に入れ込むあまり、プロジェクト内で疑似恋愛まで生じる。
一方スペイン沖に漂着した死体をホンモノと信じさせるスパイの前線は、ドタバタ調でもっとなまなましい恋愛ゲームがあり、その落差が、、、なんともいえない。当人はそう嫌そうでもないし。
 
もっとも驚いたのは激戦の最中にやろうと思えば「外国(おそらくフランス)で戦死した兵士を特定し(墓標があるのか)、その墓から遺体を取り出し船で本国に送還できる」という軍隊のシステム。英国が戦争に慣れているからなんやろか。
 
このコンゲームは実話の映画化だそうです。
「5本の指」と同じように情報の海の中で、真実を見抜くことがいかに難しかったか。
現代戦はAIが分析するんでしょうか。
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白い牛のバラッド 
2020年 イラン /仏 105分 
監督 ベタシュ・サナイハ/マリヤム・モガッダム
脚本 ベタシュ・サナイハ/マリヤム・モガッダム/メルダード・クーロシュニヤ
キャスト マリヤム・モガッダム(ミナ)/アリレザ・サニファル(レザ)
メモ 2022.3.14(月)大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
傷害致死で死刑になるイラン。
夫が処刑されたミナは牛乳工場で働きながら耳の聞こえない7歳の娘ビタとつつましい暮らしをしている。
生活はカツカツ。福祉事務所に掛け合っても補助は遅々と進まない。
夫の処刑から一年後、ミナは裁判所から呼び出され、仲間割れから告発があり真犯人が自白した。死刑を執行された夫は冤罪だったことを告げられる。
賠償金は2億あまりのリヤル。(たぶん新聞3部が6千リアルやったので、新聞1部50円としたら500万円くらいかな)
金さえ渡せば文句はないやろの事務的な対応に対し、裁判官たちの謝罪を求めるミナだったが過ぎた事と取り合ってもらえない。
感想
メッセージ色の強い映画。
私がどういうメッセージを受け取ったかとゆうと、
「男女七歳にして席を同じゅうせず」なんかな、女の面倒は女がみなければならないのか女性も福祉事務所の職員、医師、教師と職業についてはるねん。
とはいえ、家父長制の強い社会やからか物事を判断し決める判事とかは男性が多いみたい。
ミナのようなシングルマザーでお金もツテも地位もなく公務員でもなく専門職でもない女性の言葉に耳をかすひとはいない。
耳が聞こえるのに聞こえないようだ(娘のビタを聴覚障がい者としていることで暗喩している。)
 
一方ミナを助けるレザは、息子に「徴兵を逃れるツテがある」と言うし、ミナの義理の父との親権争いにも勝てるように裏から手をまわしている様子。
力のある人には耳を傾ける社会。
判事のひとがいう「死刑でなく懲役20年だったらよかったのか。もしそうだったら20年の懲役をどう償うのか。これも神の思し召しでしかたのないことやないの。」
完璧な社会やないねんから、最大多数の最大幸福をめざすしかない。少しの犠牲はしかたがない。ということやねんね。
であれば、犠牲になったひとに対し目をそらし蓋をするのではなく、その事実は真摯に受け止めなければいけないのでは。
逃げず向き合い少しでも良い社会にすべく努力すべきなのでは。
レザに犠牲の象徴である牛の乳を飲ますところにその主張があると思う(レザは牛乳のアレルギーがあるらしい
 
また、欲しいものを全て与えられていながら父が象徴する社会に嫌悪を持つレザの息子は、映画「星の流れる果て」のように
離婚するなら息子をおいていけと言われた母を持つのか、もしかしたらLGBTQのどれかのマイノリティなのか。
たとえ(みかけは)男性であっても生きづらい少数派のことも暗示していると感じる。
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THE BATMAN−ザ・バットマン− THE BATMAN
2022年 米国 176分 ワーナー・ブラザーズ
監督 マット・リーヴス
キャスト ロバート・パティンソン(ブルース・ウェイン/バットマン)/ゾーイ・クラヴィッツ(セリーナ/キャットウーマン「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」)/アンディ・サーキス(アルフレッド)/ジェフリー・ライト(ゴードン刑事)/ポール・ダノ(リドラー)/コリン・ファレル(ナイトクラブの経営者ペンギン)/ジョン・タートゥーロ(ファルコーネ)
メモ 2022.3.12(土)なんばパークスシネマ
あらすじ
悪徳が蔓延る街、ゴッサムシティ。
バットマンは疲れおのれの無力を感じていた。
感想
フィルムノワールみたいな暗く重苦しい雰囲気がいい。
うじうじしている悩み迷っているロバート・パティンソンもいい。このひと、でかいのに繊細。
対照的にキャットウマーンは強い。
 
トーチを掲げゴッサムシティの人々を助けるバットマンの姿は、
 
  無明長夜(むみょうじょうや)の闇路をてらし 二仏中間の我等を導きたまえ
 
のお経が聞こえて来るようでちょっと感動する。
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ドント・ストップ 
2022年 イタリア/ベルギー 84分 「未体験ゾーンの映画たち2022」
監督 アレッサンドロ・トンダ
メモ 2022.3.9(水)シネ・リーブル梅田
感想
チープなような深いような。面白くないわけやないねんけど、、、全編画面が揺れてる。
走行している救急車の中はともかく、対策本部の場でも小刻みに揺れているのは何故? 臨場感を出すため?
解せない。
アスクレピオスの杖(杖に蛇が巻き付いたマーク)を背負って最前線の救急搬送に携わっている人たちの話であり、エンドロールの「感謝の言葉」と同じくありがたい事やと思うねんけど、
「こういうシチュエーションの映画を撮ってみたかった」だけ、の様な気もする。
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ブラックボックス:音声分析捜査 BOITE NOIRE
2021年 仏 129分 
監督 ヤン・ゴズラン
キャスト ピエール・ニネ(音声分析官マチュー)/ルー・ドゥ・ラージュ(マチューの妻ノエミ)/オリヴィエ・ラブルダン(マチューの上司ポラック)/アンドレ・デュソリエ(局長)
メモ 2022.3.3(木)シネマート心斎橋
あらすじ
ヨーロピアン航空機がアルプスで消息を絶つ。乗員乗客316人が死亡。ブラックボックスが回収されBEA(フランス航空事故調査局)の音声分析官たちがヘッドホンをつけ耳を澄ませる。
感想
事故の原因を探るため、分析官がノイズを排除し聴く。繰り返し繰り返しひたすら聴く。
めっちゃ地味な映画やねんけど、これがまた引き込まれるサスペンス映画やねん。
 
人間ドックの聴力検査ですら、段々なんやらそら耳が聞こえてくるような気がする身には、分析官の能力の高さと己にはこれしかない!と自分を信じる姿に圧倒される。ジーニアスの話は畏敬をもちその孤独さを哀しみそしてひき込まれる。
ストーリーだけでなく、コックピットのシュミレーターも見れて面白かった。あんなんなんや。
そして映画にはボイスレコーダー(ブラックボックス)が現われる。それはパインの缶詰くらいの大きさでオレンジ色していて、中には衝撃を抑えるためのゴムかウレタンみたいなのが詰め込まれていた。その黒い物体を取り除くと基板みたいなんが出てくるねん。
 
航空機には最新技術の粋が集められているとはいえ、主人公と同じく機械って繊細なもんなんやね。想定外のことが起こりかねない。リスクを少しでも減らさないといけない。
エスカレータを駆け下りる人たちを見ていると「下は空っぽなのに、怖くないんやろか」とこちらが怖い。
マスクをつけるのつけないのとごねる人がいるけど、まいど荷物と人の重量計算している航空機に乗るんやったら、機長のゆうこときかんかい!
と思う。
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