2004年10月の映画  戻る


ヴィレッジ THE VILLAGE

2004年 アメリカ 108分 タッチストーン・ピクチャーズ 字幕・松浦美奈
監督・脚本 M・ナイト・シャマラン(「シックスセンス」)
撮影監督 ロジャー・ディーキンス
音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード
キャスト ホアキン・フェニックス(ルシアス・ハント)/ブライス・ダラス・ハワード(アイヴィー・ウォーカー)/エイドリアン・ブロディ(ノア・パーシー)/ウィリアム・ハート(エドワード・ウィーカー)/シガニー・ウィーバー(アリス・ハント)/ジュディ・グリアー(キティ・ウォーカー)/オーガスト・ニコルソン(ブレンダン・グリーソン)/マイケル・ピット(フィントン・コイン「完全犯罪クラブ」「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」)/チェリー・ジョーンズ(クラック夫人)
メモ 2004.10.28 布施ラインシネマ
あらすじ
深い””に囲まれた村は外界から隔絶し自給自足の生活を送っていた。60人ほどの村人達は喜びも悲しみも分かち合いひとつの家族のようだ。平和な日々だが村人は 「森に入ってはいけない」という掟に縛られている。
 
    その森に入ってはならない。《彼ら》が待っている。
    不吉な赤い色を、封印せよ。《彼ら》を呼び寄せる。
    警告の鐘に注意せよ。《彼ら》がやってくる・・・・。
 
《彼ら》とは何者かは誰もしらない。ただ掟を破った時は村に災厄が起こると信じている。
感想
会社のロッカーで映画好きの友から話かけられる。「ヴィレッジ見ました?」 「ううん。グーブー両方あるみたいやね。」 「私は・・・・だめでした。よくわからないんです。最期も『へっ、それで終わりなん?』って感じで。」そして、ふって感じで「”愛の物語”だと思うんですね。」 「”愛”が好きな人なら合うかも。」とまあいわばはき捨てるように。(”愛”については色々あったみたいやから、、、、わかるかな。) それを聞いて見にいくのが不安。”愛の物語”なあ。”愛の物語”見たいかなあと自問自答している内に日は過ぎる。
そしてなんとかやっとこさ見る。
お話はちょっと置いといて。
なにしろ映像が美しい。静謐な空気が感じられるようだ。そこにルシアス(ホアキン・フェニックス)とアイヴィー(ブライス・ダラス・ハワード)の古風な純愛がしっとりはまっている。
「何故いつもリードするんだ。何故黙ってられない。(口に出す言葉がどれほどの意味を持つんだ)」 (いやおなごにそんな事ゆーたかて、と思うもんの、古びたハートにさえじんじんするシーンであった)。純愛が一生続けばいいのに、ほんとにそうならいいのにと思う一瞬。
そして以下ねたばれ
わたくし、この村は流刑地かと思っていたんですね。訳ありで夫や姉や兄や父親を殺した人々が送られてくる流刑星というか。(つまり、、、SFと思っていたわけだ)。おいおいおい。監督の意図がさっぱりわかっていなかったわけ。かなり遠いな。だから写真見た時は驚かなかったんですけど。ただ「いい人達やったんかー」と思ったんだな。おおたわけ者ですね。    実は”おとぎ話”だったんです。いつまでもつかといったあやうさのある”おとぎ話”。 外の世界では、男をとりあった姉妹は絶縁し、惹かれあっている男と女は速攻不倫となる所が、この世界ではそうはならない。つまり様々なものを”大切に守る”ってお話だったんだな。それが次の世代にバトンタッチされた所で、映画は終わる。
おすすめ度★★★★1/2
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カルパテ城の謎 the mysterious castle in the calpathiani

1981年 チェコスロバキア 99分
監督 オルドリッチ・リプスキー
原作 ジュール・ベルヌ(「カルパチア山脈の城の謎」)
脚本 イジー・ブルデチュカ/ユジイ・ブルレチカ/オルドリッチ・リプスキー
撮影 ヴィクトル・ルージチカ
特殊効果 ヤン・シュヴァンクマイエル
音楽 ルボシュ・フィシェル
キャスト ミハル・ドチョロマンスキー(テレック伯爵)/ヤン・ハルトゥ(ビルジャ)/ミロシュ・コペツキー(ゴーグ男爵)/ルドルフ・フルシンスキー(オーファニック教授)/プラスティミール・ブロドスキー
メモ 2004.10.7 DVD
あらすじ
1897年、オペラ歌手のテレック伯爵はじいやをお供に(じいやにでっかい荷物をもたせて)傷心の旅に出ていた。とある村の山道で半分埋まっている男を助ける。その男は森の管理人ビルジャで城で何かあったらしい。不気味な古城カルパテは廃墟であったが村人たちに恐れられていた。ビルジャは城に忍び込んだ夜に何があったかの記憶は失っていたが、美女が歌う姿だけは覚えていた。しかしそれは口にできない。村長の娘の婚約者に知れたら一大事だ。だって婚約者が色あせて見えるほどの美女だったんだもん。密かに森の中でその曲をハーモニカで吹いていたら、テレック伯爵が「彼女のアリアだ!どこでそれを?」と驚く。テレック伯爵の婚約者でオペラの歌姫ゾルデは、ゴーグ男爵にストーカーされ続け(包帯だらけのミイラ姿って・・・)心労から心臓発作で倒れる。帰らぬ人となったゾルデ姫は劇場から何者かに誘拐されてしまった。テレック伯爵はゾルデ姫を忘れるために旅に出ていたってわけ。
「そうか! あの城に監禁されているのか」とテレック伯爵はじいやに警察を呼びにいかせ、ビルジャとともに姫奪還へと城に向かう。
感想
なんちゅうか・・・・・・風変わりな映画というか・・・・・・・えもいわれん味わいやね。ドイツのゴシック怪奇映画とイギリス風のユーモアがまったりと合体している。どういうわけかフリッツ・ラング監督の「スピオーネ」を思い出したな。リプスキー監督57歳の時の作品で亡くなる3年前ですと。そのお年でこんなおばかなファンタジーを作るとは。尊敬すべき御仁やね。わくわくするような機械がでてきてね。耳型盗聴器、目玉型の隠しカメラ、折畳式スクーター、反重力装置でりんごが浮く、ロケットが飛ぶ! しかも途中で飛び立つのを止められる! とびっくり。特に耳型盗聴器はハリー・ポッターの「伸び耳」そっくりで、いや驚いた(「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」参照)。「アリス」のヤン・シュヴァンクマイエルが担当されたらしいです。楽聖ベートーベンの胸像でドアをぶち破ろうとする場面でのテレック伯爵の言葉「オペラは一曲しか作ってないしー。」に笑った。善のおとぼけ組テレック伯爵、じいや、ビルジャも面白いけれど(じいやはただもんじゃない。ああいう家政にたけた人がさぼてんも欲しい)、悪のひげフェチの男爵、博士、従僕のキ印3人組がいいな。
お気に入り度★★★★1/2
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ヘルボーイ HELLBOY

2004年 アメリカ 132分
監督・脚本 ギレルモ・デル・トロ(「ミミック」「ブレイド2」)
原作 マイク・ミニョーラ(「破滅の種子」)
特殊メークアップ リック・ベイカー
音楽 マルコ・デルトラミ
キャスト ロン・パールマン(ヘル・ボーイ)/ジョン・ハート(トレヴァー・ブルッテンホルム教授)/セルマ・ブレア(リズ・シャーマン)/ラジスラブ・ベラン(クロエネン)/ダグ・ジョーンズ(エイブ・サピエン)ルパート・エバンス(ジョン・マイヤーズ捜査官)/カレル・ローダン(ラスプーチン)/ジェフリー・タンバー(マニング捜査官)/コーリー・ジョンソン(クレイ捜査官)/ベディー・ホドソン(イルサ)
メモ 2004.10.7 千日前セントラル
あらすじ
第二次世界大戦末期、神頼みならぬ悪魔頼みのナチスの野望「ラグナクロ計画」を粉砕したブルッテンホルム教授28歳は独身でありながら息子をひとり持つ。長じて超常現象調査・防衛局の秘密エージェントとなった彼を人はヘルボーイと呼ぶ。
感想
主人公ヘルボーイが弱っちいんだ。たった一匹の化け物にてこずってんねん。これからまだまだ先は長いねんけど大丈夫か?と思うよ。 何度投げ飛ばされても恐れを知らず喧嘩上等 のしのしぶつかっていくファイターではある(あほとも言うが)。おっきな子供。そして結局・・・・女に助けてもらうねん。そして・・・・恋にはからっきしいくじがないんだ。 あたって砕けられないシャイな硝子のハートがご愛嬌。「俺の顔がこんなにいかつくて恐いから好きになられへんのはわかるねん。」とリズにこくったら、まるで「俺はあんたが(俺の目から見たら)美しいから好きやん」と言っているみたいだろー。そうなんかー。あほー。そんなんで女心がつかめるかー。  みかけはねぇ、そうねぇ、あかべこというか泣いた赤鬼。「Xメン」のユーモア度が高い作品かな。ナチスの殺し屋クロエネンとC3POのインテリ版半漁人のスイカ頭エイブの造形がすぐれている。
「ヘルボーイ」の原作を出版しているダーク・ホース・コミックは他には「ザ・マスク」があるとかキャラが濃いとか。マーヴェル・コミックは「スパイダーマン」「X−MEN」のスタイリッシュなビジュアルとキャラの悲劇性、CDコミックは「スーパーマン」「バットマン」のヒロイックな正統派キャラの出版社だそうです。
 
こういう作品、実はとっても好きだったりする。監督さんの気持ちに寄り添える気がする。
おすすめ度★★★★
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