2020年4月の映画  戻る


イーディ、83歳 はじめての山登り Edie
2017年 102分 英国
監督・脚本 サイモン・ハンター
脚本 エリザベス・オハロラン
キャスト シーラ・ハンコック(イーディ)/ケヴィン・ガスリー(トレーナーのジョニー)
メモ 2020.4.4(土)テアトル梅田
感想
自粛前ではありますが、「彼らは生きていた」の後にも映画館に行ってたことをここに懺悔いたします。
 
今までの人生、家族のためにつくしてきたイギリスの主婦イーディが83歳にして亡き父と約束したスコットランドの「スイルベン山」登りに挑戦するお話。
標高731メートルとはいえ、なだらかな山ではなく岩だらけ。
無謀なん。人迷惑な話なん。それでも委細構わずイーディは挑戦する。
 
私の中では都会はともかく英国人はよく歩くイメージがある。
ポワロのドラマ版でもお嬢さんがはるか先を指さして「あの岬の屋敷なの」(えっ、あそこまで歩くの!)
とか、ドラマ「ヴェラ」では、荒野の一軒家に帰るのに「頭を整理するわ」って歩きはるもんね。
そこは警部のヴェラが変り者の父親から相続した家で、「ヒースクリフが来るかも」と冗談をいうヒース生い茂る荒れ地。
ちびさぼが英国のバースという地に1か月ホームステイした時、ホームマザーが「散歩に行きましょ」といいはるので近所の公園散歩するのか
と思っていたら、手を使ってハアハア息をきらして登るような丘か小山が「散歩」やったらしい。
ホームマザーは運動家って訳ではなく夜中にこっそりアイスクリーム食べてはる控えめに言っても豊満なボディで。
そやからたぶん普通の日本のおばあちゃんとは日頃の鍛え方が違うと思う。
それでもすごいわ。
 
トレーナーのジョニー役のケヴィン・ガスリーって俳優さんは「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」の姉妹の嫌味な上司で妹の尻を追いかけていた役人やった人。
 
一緒に観た従姉は今まで3人の子供を一人前にするため、店のため親の面倒をみるために生きてきたもんやからいたく感銘を受け、
鼻息荒く「遅すぎることはない(Never too late)」と一念発起した。それはピアノのレッスン。
ウチも指を使うことは脳にいいはずとお供することにしました(ドレミしか弾かれへんねんけどね。独学でぽろんぽろんと)
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彼らは生きていた THEY SHALL NOT GROW OLD
 
 
 タンク(菱形戦車)に乗っている兵士たち
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 スイスまで掘りに掘った西部戦線の塹壕
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2018年 99分 イギリス / ニュージーランド
監督・制作 ピーター・ジャクソン
メモ 2020.4.2(木)十三・第七芸術劇場
内容
ニュージーランド人のピーター・ジャクソン監督がおじいちゃんが英国兵として戦った第一次世界大戦を、イギリス帝国戦争博物館に所蔵されていた西部戦線の映像をもとに現代に甦らせた作品。
BBCが保存していた退役軍人のインタビュー音源を構成し直し、一部の兵士の声はなまりまで再現して新しく入れ復元している。
参戦による戦意高揚と新兵募集のポスターから始まり、新兵の訓練、フランスへの派兵、西部戦線での塹壕戦、総攻撃の肉弾戦、そして和平とイギリスへの帰還までを生々しく報道する。
感想
見ずに死ねるかと問われれば、見ずに死ねるんやけど映画館で見ないともう見ないな。という事で1日映画の日を避けマスクをし貴重な除菌ティッシュを持って十三の第七芸術劇場(ナナゲイ)へ向かう。
映画館の前には除菌ジェルが置いてある。手を拭き拭きもらった整理券は1番。
時間になりスタッフの人の「どこでもどうぞ」との声に館内に入る。96席。空調のよさそうな席を選び除菌ティッシュで座席と背もたれひじ掛けを拭く。
ぼっち。はじめてのオンリーワン。(前の映画もお客さんはふたりやった) うん。密集、密接ではない。
(ナナゲイはまたつぶれるんやなかろか。それも心配)
 
 
だいたい「第一次世界大戦」ってどんな戦争やったっけ。
「西部戦線異状なし」って映画、昔みた。この映画はドイツ側から見た第一次世界大戦。
サラエボでオーストリアの皇太子夫妻がセルビア人に暗殺されたことで戦争が勃発し、3カ月で終わるはずが4年余の西部東部の膠着した塹壕戦になったんやった。
1914年7月28日から1918年11月11日までの戦争。昔々の参考書、清水書院の「世界史の完全研究」を覗いてみる。
 
戦争については、
動員された兵力は6千万人。そのうち900万近くが戦死した。(非戦闘員も700万人が亡くなったんやって)
全地球を舞台とするほどの戦争規模の大きさ、航空機、潜水艦、毒ガスによる戦争の苛烈さは、かつて人が経験したことのないものであった。
 
近代戦の幕開け
アメリカが第一次世界大戦で大儲けし、その資本で参戦したこととロシア革命が膠着した戦局を変えた。
仏と英国の死者は第二次世界大戦を上回ったんやったな。そして帰国後の兵士を迎えたのはひややかな祖国。仕事もない。
生き残っても体に変調をきたし、こころの病におちいる元兵士も多かったって以前ドキュメンタリーで見た。眠れないんやって。
 
本に書いてある総括は、
産業革命を経過して資本主義が本格的発達をとげると、資本の集中化がすすみ、大企業家およびこれとむすぶ金融資本家が育成されるにいたった。
巨大な資本は狭い国内市場から流れ出て、新たな投下地を資本主義の後進地域に求めた。
このため、ヨーロッパの資本主義国家は、アジア・アフリカなどの後進地域において植民地を争奪して抗争を展開し、1880年代に帝国主義時代に突入した。
この帝国主義の抗争の一大決算が第一次世界大戦である。
 
この本、名著やなあ。
同盟国(ドイツ、オーストリア、トルコ、ブルガリア)対連合国(セルビア、ロシア、ベルギー、イギリス、フランスほか米国(1917年から))の対決。
当時20億人と言われる世界人口の内、交戦国の人口は15億人。日本は連合国側。
 
「彼らは生きていた」は、戦争の原因、終戦にいたった顛末などに一切の言及がない。
冬の塹壕戦で水が凍り多くの兵が凍傷にかかるなど、無名の一兵卒たちがおちいった人間の状況を伝える。
前線ってローテーションがあって当番制やったんかとか、イギリス軍にイングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドってあるように、
ドイツ軍にもバイエルン、サクソン、プロイセンって違いがあったん(プロイセンはバイエルン、サクソンに嫌われている)とか知った。
ドイツ軍も兵士は散髪屋や店員に過ぎない。怖いね。
 
ドキュメンタリーやねんけどアメリカの参戦による西部戦線でのスペイン風邪の第一波流行と兵士が祖国に凱旋したことによる感染拡大はどこにもないねん。
当時軍や国から情報統制されててんね。
ドキュメンタリーと言えどもすべてではない。それでも描かれていないことでもって伝えることもあるんやね。
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クリスマス・カンパニー Santa et Cie
2017年 100分 フランス/ ベルギー
監督・脚本 アラン・ジャバ
キャスト アラン・ジャバ(サンタ)/ピオ・マルマイ(トマス)/ゴルシフテ・ファラハニ(トマスの妻・アメリ「バハールの涙」))/オドレイ・トトゥ(サンタの妻ワンダ)
メモ 2020.4.1(水)WOWOW録画
あらすじ
クリスマスまで後4扉(12月21日)ってところでサンタは「全員にクレヨンのおまけ」と気まぐれを言いだし、エルフのリーダ、目ガネをかけたマグヌスが「残業してもムリです」と抗議してんのにサンタ社長は「効率悪いんちゃう? 働き方改革や!」なんて言うもんやから9万2千人のエルフが全員倒れてしまう。
エルフを治すためのカカドゥプラムの果汁(要するにビタミンC)を求めて、サンタは地球に向かうがムーランルージュの赤い光にひかれパリに降り立つ。
感想
日本の子供からひらがなでサンタさんにお手紙来てた。キティちゃんのシールがはってある。「まどか」って読める。
 
「ディディエ」「ミッション・クレオパトラ」のアラン・ジャバが監督・脚本・サンタのアクの強いおとなのクリスマスストーリー。
 
緑色の服を着たサンタが頑固で自己主張が強くサンタなのに何故かふらんす人。サンタは寝てる子供しか知らないってのも楽しい。
そしてサンタは全てのおとなの子供時代の願いを覚えている。髭づら強面の警官に「今でも人形遊びを?」って言うねん。
見どころは3つかな。
しょっぱなのサンタのスノボシーンもいいけど、エルフたちのユニークなおもちゃ作り、ポップコーンみたいに羊のぬいぐるみがポンポンできる。サンタとトナカイの「んご。んご」会話、最後のソリでのパリ空中遊覧飛行。
サンタが舞い降りた家のママ・アメリが「バハールの涙」のバハールとは。本作ではほんまにべっぴんさんです。
 
このご時世、目がくいつくのは男も女も兄弟もハグしてチュッチュチュッチュの濃密接触。うん。感染するね。
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