2007年10月の映画  戻る


結婚哲学 THE MARRIAGE CIRCLE
1924年 米 86分 無声映画
監督 エルンスト・ルビッチ(「生きるべきか死ぬべきか」「天国は待ってくれる」「桃色の店」「ニノチカ」「青髭八人目の妻」 「淑女超特急」 「小間使」
原作 ロタール・シュミット
脚本 ポール・バーン
撮影 チャールズ・J・バン・エーガー
キャスト フローレンス・ヴィダー(シャルロッテ−画像左上)/モンテ・ブルネー(ドクター・フランツ・ブラウン)/クレイトン・ヘイル(ドクター・グスタフ・ミュラー) /アドルフ・マンジュー(ジョゼフ・ストック教授)/マリー・プレボー(ミッツィー−画像右下)
メモ 2007.10.27(土)図書館・VHS
あらすじ
ところはウィーン。ストック教授宅の朝は遅い。教授が靴下を履こうとすると、大きな穴。引き出しの中には替えのカラーがぽつんとあるだけ。脱いだ服は吊るされてもいず、じゃけんに扱われている。妻ミッツィーとの会話はぎすぎすし(無声映画なんですけど、画面から聞こえてきそう)、夫婦仲は冷え切っていた。教授は「離婚するため」探偵を雇い、妻の不義の証拠を掴むことにする。一方、教授夫人のミッツィーは、ウィーンに来て2ヶ月だ。初めて友達のシャルロッテを訪ねる。強引に乗った車で同乗したのは、ステキな紳士だった。ちょっと誘惑する悪女タイプのミッツィー。その紳士はほうほうのていであわてて降り、薔薇の花束を忘れてしまう。ちゃっかり薔薇の花束を、友への贈り物にしたミッツィー。シャルロッテの幸せ一杯ののろけに、「すぐにあきるわよ」とクールに返す。女ふたりがおしゃべりしておしゃべりしておしゃべりしている時に、帰ってきたシャルロッテの良人・ドクター・フランツ・ブラウンは、なんと先ほどミッツィーが車に同乗した紳士であった!!。
ドクター・フランツ・ブラウン家の朝は、愛情に満ちている。コーヒーがさめるのも玉子を食べるのも忘れて、いちゃいちゃ。そこにドクターの同僚、ドクター・グスタフ・ミュラーが「仕事に行こう」と車で誘いにくる。ふたりは精神科の医院を共同経営している。ドクター・グスタフ・ミュラーが毎日やってくるのは、実は密かにパートナーの妻シャルロッテに恋していたからである。
その後は、ミッツィーが友達の夫を誘惑し、妻を愛しているはずのドクターは、抵抗しつつもミッツィーにキスしたり、シャルロッテは友達のミッツィーの事は疑いもせず、ホッファー嬢に嫉妬したり、ドクター・グスタフを良人と間違えてキスしたりともう大変。
感想
しゃれたユーモアのセンスが素晴らしい。
初めての喧嘩の後の仲直りに、パーティを開くドクター・ブラウン夫妻。
ハラハラするような食事の後に、示される言葉。
   「食事よりずっと危険な、ダンス」
・・・・・・笑いました。
「結婚哲学」というか、「結婚力学」というか。薔薇、帽子、カップ、、座席カード、車といった小道具がかわいくイキに使われている。
 
アタクシ、この映画を観て、この年になってつくづく思ったというか、わかったんですけど、
男女の仲というか(最近は同性愛もオープンになりつつあるけれど、まあそれでも役割分担はあると思う)、男の人からみて女の人というのは、「自分達とは違う、別の生き物」なんやねぇと言うこと。もしかしたら、チンパンジーのオスと人間の男との違い以上に、違うと思っているかも。実際違うかもしれない(笑)。 80年も前の上流階級の映画なんで、現代とはちょっとは違うと思うねんけどね。女は、美しく、かわいく、ヒザの上に乗せて、めでるもの(「ヒズガールフライデー」でもケリー・グラントが、別れた妻・ロザリンド・ラッセルに「君の席はココ」とヒザを指差していた・・・)。いい匂いがして、丸くて、やわらかくて、やさしくて、自分を癒してくれ、気持ちよくさせてくれる生物。 それが平和なんだな。  まあ、そういう範疇から逸脱していたウチがいて、結果あくせく働く毎日があって、まあそれもいたしかたないか、と思う。 
そして、女はいつも、いつまでも、男にちやほやされていたい生き物なんだな。80年たっても変わらん。
シネフィルにお薦め度★★★★1/2戻る
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題名のない子守唄 La Sconosciuta(見知らぬ女)
2007年 イタリア  121分
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ(「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」)
脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ/マッシモ・デ・リタ
撮影 ファビオ・ザマリオン
美術 トニーノ・ゼッラ
音楽 エンニオ・モリコーネ
キャスト  クセニア・ラパポルト(イレーナ)/クララ・ドッセーナ(テア・アダケル)/クラウディア・ジェリーニ(ヴァレリア・アダケル・テオの母)/ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ(ドナート・アダルケ・テオの父)/ミケーレ・プラチド(黒カビ・ムッファ)/ピエラ・デッリ・エスポスティ(ジーナ)/アレッサンドロ・ヘイベル(管理人マッテオ) /アンヘラ・モリーナ(ルクレッツァ)/ マルゲリータ・ブイ(弁護士)
メモ 2007.10.20(土)テアトル梅田
あらすじ
北イタリアのトリエステにバスから降り立った女がひとり。黒ずくめの服装で、思いつめた瞳をしている。物件を案内している不動産屋が「前の部屋の方が、家賃も環境もずっといい」と言う部屋なのに、何故か「この部屋を借りる」と言う。そして職探しを始める彼女。レジデンスの管理人・マッテオに「報酬の20%払う」という約束で、掃除人として雇ってもらう。彼女・イレーナにはそのレジデントに住んでいるアダケル一家の事を知らなければならなかった。どうしても。 夫婦は貴金属の工房を営んでおり、妻のヴァレリアはデザイナーだ。夫妻には4歳になる一人娘・テオがいた。
感想
最初から最後までミステリアスな展開であるが、本作品はドラマ。「ニュー・シネマ・パラダイス」のトルナトーレ監督作品。詳しくは書けないが、見ごたえがあった。この映画に登場する女達は、それぞれが真摯に描かれている。対して頼れる男はひとりも出てこない。詐取者か、手をこまねいている傍観者だ。芸術家肌で、子供をイレーナにまかせて恋人と旅行に出かけるアダケル夫人さえも、子供の危険を察知し防衛するのである。監督の女性に対する畏怖と、(そうであって欲しいという)願望の表れかもしれない。
お薦め度★★★★1/2戻る
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ブレイブ ワン THE BRAVE ONE
2007年 アメリカ/オーストラリア  122分
監督 ニール・ジョーダン(「モナリザ」「クライング・ゲーム」「ブッチャー・ボーイ」)
脚本 ロデリック・テイラー/ブルース・A・テイラー/シンシア・モート
撮影 フィリップ・ルースロ
音楽 ダリオ・マリアネッリ
キャスト  ジョディ・フォスター(エリカ・ベイン)/テレンス・ハワード(ショーン・マーサー刑事「クラッシュ」)/ナヴィーン・アンドリュース(婚約者・デイビッド「プラネット・テラー in グラインドハウス」のアビー)/メアリー・スティーンバージェン(エリカの上司・キャロル「タイム・アフター・タイム」「冬の嵐」「 バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3 」)
メモ 2007.10.15(月)南御堂会館試写会
あらすじ
ニューヨークでラジオのDJをしているエリカは、婚約者のディビットとラブの毎日。ディビットはインド人で職業は医者と、生まれも育ちも違うふたりだが、もうすぐ結婚する。ある日、公園に愛犬の散歩に出かけた二人は、意味無く3人組に襲われディビットは命を落とし、エリカも昏睡状態におちいるという瀕死の重傷をおわされる。長い間かかって回復したエリカは、ディビットはもう埋葬されてしまい、お別れが出来なかった事、犯人はまだ捕まっていない事を知る。この世の全てが変わってしまい、恐怖から家から出られなくなるエリカ。それでも頑張って家を出て、警察で捜査の状況を聞こうとするが、自分の事件など膨大な犯罪のひとつに過ぎない事を知らされる。絶望したエリカは、闇で拳銃を手に入れる。
感想
小柄なんだけど、鍛えているのか結構いかついジョディ・フォスターにびっくりした。この人なんだか、ますます中性的になっていくな。それでも、そのそげた雰囲気で動きがシャープだ。反対に、甘いマスクのテレンス・ハワードが、全てに優しくやわらかい。
ラストにはぶっとんだ。よかったよ
お薦め度★★★1/2戻る
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ヴィンセント・プライスのザ・バット the bat
1959年 米国 82分
監督 クレイン・ウィルバー
キャスト ヴィンセント・プライス(ドクター・ウェルズ)/アグネス・ムーアヘッド(作家コーネリア・ヴァンゴーダ)/ ギャヴィン・ゴードン(アンダーソンケイブ)/ジョン・サットン(ワーマー)/レニータ・レイン(リジー)/エレイン・エドワーズ(デイル)
メモ 2007.10.6(土)シネフィル・イマジカ録画
あらすじ
推理作家のコーネリアが借りた別荘は、いわく付きであった。バット(こうもり)と呼ばれる怪人「コウモリ男」が小さな町を徘徊していて、去年もこの館で人を襲ったという。という事で使用人は全て暇をとってしまう。その頃銀行では大騒ぎが起こっていた。金庫に入っていたはずの証券100万ドルが消えているー!その横領の疑いは休暇に出かけているフレミング頭取ではなく、何故かイチ出納係にかかるのよ。その頃頭取は主治医(ヴィンセント・プライス)と山荘にいた。奪った証券は、作家コーネリアスが借りた別荘の隠し部屋の金庫にあると打ち明ける頭取。自分を死んだことにしてくれれば、分け前をやると医者(ヴィンセント・プライス)に持ちかける。そして医者が取った行動とは? 突如起こった山火事に乗じて、頭取を殺害した! その後は、作家の別荘に怪人”こうもり”が夜な夜な現れる事となる。へなちょこ警察の捜査も後手後手に回り、頭取の甥が殺されたり色々。
感想
犯人がわからないのは真面目に演じている出演者だけというまか不思議な展開。たいがいあやしいと思うけど。「この人がこうもりちゃうかったら、びっくりやな」と思って見てた。 結果、どんでん返しはなかった・・・。 結局、町で噂になっていた「こうもり男」はなんだったんだ?  都市伝説か?