変わった映画だったな。最初は軽くだんだん重くなってくる。でも老女が何ゆえ生き残ったかの説明がなくこの世の人ではないと思わす寓話の様。
「黒猫・白猫」のエミール・クストリッツァ監督の映画とちょっと似ている。
この世には色々なしがらみから逃れて漂流していたい気質の人がいるらしい。ただ口では「親兄弟関係ない、家族もいらない、ひとりで生きていく」と言う人はいるが、実際姿を消した人はひとりしか知らない。DNAの引っぱりは強いんだ。姿を消したのはいとこの結婚相手だった人。その人もいつか故郷に帰るんかな。子供や孫に会いに帰って来るんかな。
ユダヤ人の迫害の歴史という以上に、アメリカ人のルーツのお話だと思う。アメリカ合衆国は生まれ故郷で迫害にあったり飢饉で食詰めたり戦渦から逃れるため新天地アメリカを目指した人々が作った国なのだな。故郷を離れ勇気ある人達なんかな。自由な国が好きでアメリカ国民たろうと努力の日々だ。しかし豊かなこの国の人々は案外根無し草の気持ちが抜けないのかもしれん。。また石油の利権とかもあるだろうが、普通のアメリカ人の血には「迫害にあっている人たちを助けたい」という熱い思いがあるんだろうな。その一方理解されないゆえの被害者意識も強くアメリカ大統領に「911は第三次世界大戦の始まり」などと言わせてしまう。そんな空恐ろしい言葉簡単に言っていいの? 言霊(ことだま)ってのは独り歩きするんやし。