ごあいさつ
ようこそロシアへ!今宵のアンサンブル・アメデオの演奏会では、皆さんを広大なロシアの大地へとお誘いいたします。ロシアは音楽の宝庫です。おびただしい数の名曲がひしめいています。アンサンブル・アメデオでロシア特集を組むのはこれで2度目となり、シベリア狂詩曲とドムラのための協奏曲も2度目に演奏となりますが、今回はさらに合唱団白樺の皆さんをお迎えしてのロシア民謡、またロシア5人組全員の曲をと盛りだくさんです。アメデオ特製のロシア料理を心ゆくまでご賞味下さい。
さて、ロシアという言葉を聞いてどのようなことを思い出されますか? 見渡す限りの大平原、果てしなく広がる大森林、海のように大きな湖、ゆったりと流れる大河などなど、単調で広大なイメージが浮かんできませんか?ロシア人の生活感情はこのような自然と大いに関係があるようです。例えば、「自由」という言葉からは「何かをすることができる自由」が連想されますが、ロシア人が連想するのは、見渡す限りの大平原に立ったときに感じられる大いなる自由、つまり「煩わしいことを忘れてしまう自由」「広々としたところでくつろぐ自由」なのだそうです。そして、このような自由が満たされないときに抱く感情が「ノスタルジア」であり、これこそがロシア民謡に歌われる放浪者の憂いの感情なのだそうです。
農耕民族であるロシア人の自然観は、四季の移り変わりと密接に結びついているようです。四季といっても、日本のように春夏秋冬がちょうどよく配分されているのではなく、北方の厳しい自然に囲まれたロシアの四季は、長くて厳しい冬、突然訪れる春の雪解け、短くて華麗な夏、木々の紅葉で黄金に染まる秋、という4つの季節からなっているそうです。そして、春の雪解けから秋の霜に至る短い期間に集中的に労働し、晩秋から冬の長い時間にはゆったりとした安らぎを得るという1年を過ごしているのだそうです。厳しい寒さの冬はロシア人にとって辛い季節なのかなと思ったのですが、冬には仕事をしなくていいので、実はのんびりできてうれしい季節みたいです。また、雪が降るとソリが使えて交通が便利になるので、農民は冬が来るのを喜ぶのだそうです。これは住んでみなければわからないことですね。とにかくロシアは、人々が自然とともに生きている雄大な国と言うことができそうです。
さて、このようなロシアにおいて、どのようにしてロシア民族音楽が発展してきたのでしょうか。その源流を辿るために、1部ではロシアやシベリアの自然をテーマにした音楽やロシア民謡に耳を傾け、2部では19世紀に突如として興ったロシアの(第2の)ルネサンスとも言われるロシア国民楽派の音楽をお聞きください。
本日はご来場いただき、本当にありがとうございました。どうぞ最後までごゆっくりご鑑賞下さい。
2000年1月22日
アンサンブル・アメデオ 一同