光竜、闇竜に内蔵された近接格闘装備で、天竜神へと合体した状態でのみ使用する事が出来る。
両腕のマニュピレイターを収納し、両下腕部を上下逆転させて上腕部と接続、この状態で先端より展開する基部から、Gパワーを集束して形成するエネルギィソードがダブル・リム・オングルである。外観からは透明感のある水晶でできたかのような長剣であるが、これは表面上で高速運動するナノマシンと本体を構成するGパワー集束帯との反応によるもので、実体剣ではない。そのため攻撃による刀身の欠損等はなく、また格納・展開に伴う武装交換時間の省略や、格納・展開のための構造を組み込む事による刀身の構造的脆弱性を無視でき、更には刀身を実体型とするよりも大きな重量低減が見込めると言う利点がある。表面で高速運動するナノマシンが攻撃対象物に接触した瞬間にこれを削って切り裂くため、事実上これで傷つかない物質は存在しない。ちなみにリム・オングルとはフランス語で「爪やすり」のこと。
しかし一方でマニュピレイターが一時的にでも収納されることによるビークルロボ特有のフレキシビリティの低下や、エネルギィソードの展開維持によるエネルギィ消耗が大きなものとなる欠点も存在するため、その使用は機を見極める必要があり、主に目標に対する決定的打撃、すなわち「とどめを刺す」際での使用を想定している。
初期における「竜」型ビークルロボの一般的な傾向として、単機においても合体状態においても、遠距離からの射撃による攻撃、および支援の能力に富むことがあげられる。本来レスキュー活動を目的としている氷竜、炎竜はもとより、純戦闘用として開発された風龍、雷龍も中・遠距離からの射撃攻撃を得意としている。もちろん、氷竜、炎竜のダブルトンファーや風龍、雷龍の中国少林寺拳法をベースとした格闘攻撃等、近接格闘攻撃を行う事もあったが、目標に対して機体そのものを強力に接触させるという行為は、確実にその反動を損傷として機体に蓄積する。また目標への過度の接近は、EI−07の電磁バリアの例を引くまでもなく大きな危険が伴う。こうした観点から「竜」型ビークルロボに搭載される主武装は基本的に遠距離射撃攻撃用のものに偏っていくこととなる。これにより「竜」型ビークルロボは、ビークル形態による高機動と、ロボット形態による汎用性とフレキシビリティを有するものの、戦車的な運用をすることが多かった。一方で諜報型であるボルフォッグなどは狭所での戦闘を前提とするために、近接格闘用装備が充実している。
ダブル・リム・オングルは本格的な近接格闘用装備がビークルロボに搭載された初めての例である。女性型超AIをはじめとして、内蔵弾丸Xなど光竜、闇竜には実験的装備が多数搭載されており、第1世代型である氷竜、炎竜、ウルテクエンジンを標準搭載した第2世代型である風龍、雷龍に続く第三世代型への橋渡しとして、重い期待が課せられていた事は間違いない。