美食探検

フランソワ・シモン氏の番組に感謝を込めて

 

私にとって今年、「VaioNet」「食チャンネル」「旅チャンネル」が共同企画・編成した番組

VaioNet 編 「フランソワ・シモンとグルマンたちの晩餐会

食チャンネル 編 「フランソワ・シモンの美食探検

旅チャンネル 編 「フランソワ・シモンの贅沢時間」を観ることが出来たことはとても貴重な体験でした。

(漠然とした夢だった料理人になりたい+勉強したいという気持ちをはっきり自覚するきっかけになったという事では、

今年というよりも20世紀の10代ニュースになるくらいの貴重な出逢いでした。)

 

3つの番組の案内役をしてくださるのが、料理批評家で、「ル・フィガロ」紙の記者フランソワ・シモン氏。

フランスの豊な食文化と(食に限らず、例えばガストロノミーをアート・オブジェとして

デザインするヤン・ペノルス氏の紹介などもしてくれています。)

旅について深く掘り下げた番組の内容の素晴らしさや、

画像やBGMの素晴らしさも凄いのですが、その魅力を更に味わい深いものにしているのは

「本当は、文学やロックンロールについて書きたかった」と語られる

フランソワ・シモン氏の魅力だと私は確信しております。

 

「料理において、とても大切なことは、相手への気持ちです。」

「ガストロノミーは時にリスクを犯さなければならないと思います。

文学も同じで、本の中には理解できない文章があることを認めなければなりません。

文章の中にわからないフレーズがあり、それが私たちを成長させてくれるのだということを

認めなければなりません。」

というような数々の氏の言葉に感銘を受け、色々なことを勉強させていただきました。

 

日本で料理批評家というと、なにやらブルジョワ的なあまり気持ちの良くない雰囲気が感じられることが

非常に多くて好きではなかったのですが、氏にはまったくそれがありません。

とても自然なんです。

そして、フランスには本物の食文化が一般的なものであることを教えてくれます。

日本にももちろん素晴らしい食文化はありますが、本屋さんの売り場を圧倒的に占めているのが食に関する本

というフランスに比べると、残念ながら食に対する情熱は一般的なものではないのではないでしょうか?

日本の場合、物価が高いという大きな原因が立ちふさがっているという問題がありますが、

この状況は、実は、想像以上にとても危険なことかもしれません。

人が食に情熱を持ち、愛する人・・・家族、恋人、友人、自分のために安全(自然)で新鮮な素材で

(高級な食材を使うということでなく)

愛情を込めて美味しい物を作り、そして食事を楽しむ、

この本当は、普通に行われるべきであるべきことがいかに疎かになっているか・・・

番組では時々、氏のご家族がさりげなくとても良い雰囲気で登場なさって、

そんなメッセージも送ってくださっているような・・・気がいたしました。

先日取り上げさせていただいた池田満寿夫氏も本の中でこう語っています。

「愛情は胃袋から」

 

兎にも角にも、

美味しい物がお好きな方、フランスがお好きな方、には是非是非観て頂きたい番組です。

 

(全編魅力的なBGMが流れているのですが、特に“晩餐会”のテーマ曲が

頭から離れないくらい素晴らしいんです!豊嶋修司氏プロデュースというのは教えていただいたのですが

CD発売などはされていないそうでがっかりしております。)

 

20世紀最後のO・TU・MA・MIは

この3つの番組で拝見した料理を私なりのレシピで(更にお手軽にお試し頂けるようアレンジし)

ご紹介させていただこうと思います。番組の中にアイデアはたくさん詰まっていて、

どれを取り上げるかとても迷いましたが、クリスマスや年末年始の集まりなどの

メニューに添えていただくとよさそうだな♪と思うものを3点ご紹介させていただきます。

 

 

クリスペウ  

材料

美味しい玉子、バター、純生クリーム、塩、ホワイト・ペッパー、トマトソース

パルミジャーノ・レッジャーノ、オイルサーディン、

パセリ、バジル、シブレット、エストラゴンなどお好みのハーブ、

ズッキーニ(又は茄子などお好みの野菜でどうぞ)、EXV.オリーブオイル

 

作り方

玉子に塩、ホワイト・ペッパー、純生クリーム少々を加え、こしがなくならない程度に混ぜ

バターをひいたフライパンで薄く焼きます。

薄焼き玉子のように薄くなく、クレープくらいの厚さにふわっと焼きます。

(ホットプレートで焼いていただくと楽だと思います♪)

パセリなどお好みのハーブは刻みます。

サーディンは半分の厚さにスライスしておきます。(2枚開き)

ズッキーニ(お好みの野菜でどうぞ)は薄くスライスし、EXV.オリーブオイルで

ソテーし、軽く塩、胡椒しておきます。

パルミジャーノは皮むき機で極うす〜くスライスしておきます。

下準備した素材とトマト・ソースをミル・クレープのように玉子にサンドします。

温めておいたオーブンで軽く温め、サンドしたものと玉子をしっくりさせます。

(一番上にパルミジャーノをサンドしていただくと、温めた時に、パルミジャーノが

とろけやすくてよろしいかと思います。焼くのではなく、軽く温める程度に

していただくのがポイントです。)その後冷まして、落ち着きましたら切り分けて、

お皿に盛り付けてトマトソースを添えて出来上がり♪

 

“贅沢時間”「マルセイユ・南フランスの旅」の回で紹介された、大変に人気のあるレストラン「シェ・フィリップ」の

100フランメニューのアントレとして紹介されたクリスペウはラングドック・ルシヨン地方の伝統的レシピです。

オーナーであるアラン氏は人気のひけつは“素材”と“いかにお客様の要望に答えられるか”だと語ります。

フランソワ氏は「シェ・フィリップ」を「間違った所のないレストラン」と評しています。

 

さて、レシピですが、「シェ・フィリップ」では9枚の薄く焼いた(そして焼きすぎない)オムレツに

トマト・ソースも含め、南フランスの太陽を感じる色々な具をはさみ、温め、

そして冷まし、電動ナイフで美しくカットし、オレンジ色のソースを添えていました。

「シェ・フィリップ」では燻製のニシンをサンドしていますが、お手軽にサーディンにしてみました。

パルミジャーノは私はしっかり味が感じられるようにスライスにしてみましたが、

前の晩にスパゲティを食べるためにすりおろしたものが余ってしまっていたような時には

それをサンドしていただいてもよろしいかと思います。

 

出来ることでしたら、同じラングドックのロゼ・ワインと合わせていただくのがお奨めです♪

 

 

プティ・パテ  

材料

ラム・チャップ、粗糖(又はグラニュー糖)、無農薬レモン、玉子の黄身、

黒胡椒粗挽き、

冷凍のパイ生地(もちろん頑張る方はご自分でお作りくださいませ。)

 

作り方

ラム・チャップは骨をはずし、脂も合わせて丁寧にみじん切りにします。

ここに、無農薬レモンの皮を刻んだものとレモン汁各少々、粗糖

黒胡椒粗挽き少々をよく混ぜ合わせます。

(ちなみに、私はラム・チャップ2本に対して粗糖大さじ2程にしてみました。)

冷凍のパイ生地を10cmくらいの正方形にカットして、中央に具をのせ

黄身をのり代わりに塗ってから、生地を半分に(長方形に)折りたたみます。

パイの上部にも黄身を塗って、温めておいたオーブンで焼いて出来上がり♪

 

“美食探検”「シェ・フィリップの手作りジャムとペズナスのパテ」の回で紹介された、

伝統的なフランス菓子、ペズナスのプティ・パテは全て手作業で作られる繊細な伝統的フランス菓子です。

1766年に赴任してきたイギリス人の官僚とともにペズナスに来たインド人の料理人が伝えたことから始まり、

いまではペズナスの代表的なお菓子だそうです。

本当はパイではなく、小麦粉と脂とお湯でねった生地に具を詰めて「糸巻き型」にしたものなのですが、

簡単にお試しいただけるように、パイ生地で代用してみました。

また黒胡椒は私のアレンジで、本来(番組で拝見したお店のレシピでは)は入りません。

 

日本人としてはびっくり(ですよね?)の塩気のない甘いお肉のデザートは

いったいどんなものなのか、とてもとても気になってチャレンジしてみました。

レモンと甘い香りが漂う、柔らかいのに歯ごたえがある肉汁たっぷりのラム肉と

さくっとしたパイの組み合わせは、正しく初体験のお味でした。

 

ペズナスと同じラングドック地方にあるマルセイヨンで作られるアペリティフ、ノイリーと共に

前菜として楽しまれたり、珈琲、紅茶と共にデザートとして召し上がられてはいかがでしょう?

 

 

プロヴァンス風しじみ  

材料

新鮮なしじみ、にんにく、鷹の爪、

プチ・トマト、EXV.オリーブオイル、塩、バジル

 

作り方

しじみは2〜3時間しっかり砂出しし、その後洗って、ざるにあげ水を切ります。

フライパンにたっぷりのEXV.オリーブオイルとスライスしたにんにくを入れ、

弱中火でしっかり香りを出します。そこへしじみと鷹の爪を入れて、強めの中火にします。

少し開いてきたら、半分にしたプチ・トマトとバジルを少し入れ更に加熱します。

全て開いたら、塩で味を整えお皿に盛ります。

お皿に盛った後、仕上げにEXV.オリーブオイルをまわしかけて出来上がり♪

 

“美食探検”「プロヴァンスの絶品テリンヌ貝」の回では、アマチュア料理人イヴォン氏が

「にんにくのないテリンヌ貝は、口髭のないキスのようなもの」

「にんにくが嫌いだったら、プロヴァンスでは生きていけない」など

名語録を残しながら魅力的なプロヴァンスの食卓を紹介してくれます。

この中でご紹介されているテリンヌ貝がとても美しくて美味しそうなのですが、

日本では残念ながら手に入りませんので、

これからが旬+肝臓に良い寒しじみを使って作ってみました。

イヴォン氏のレシピでは、にんにくはワイルドに少し強めの火でやや苦味が出るくらいまで

火を通されて、これがプロヴァンス風とおっしゃられていたので、もし

そのようになさる場合には、オリーブオイルをEXVではなくピュアにしていただくとよろしいかと思います。

またイヴォン氏はプロヴァンスの美味しそうなトマトのざく切りを少し入れていらっしゃったのですが、

私は代わりにプチ・トマトにしてみました。

 

クリスマスの集まりなどに山盛りにして、プロヴァンスワインなどと共にスターターとして熱々を

お出ししたら、きっと盛り上がること請け合いです。

出来れば、お皿も温めておいて、いただく直前までふたが出来るふた付きのお皿だとなおいいですね。

イヴォン氏も素敵なふた付きのお皿に盛られていました。

(テリンヌ貝にはプロヴァンスワインを合わせないとイヴォン氏に叱られて?!しまいますが、

今回はしじみなので、お好みのワインと合わせて頂いてよろしいかと思います。

私でしたら・・・きりっと冷やしたスパークリングワインといただきます。)

もちろんあさりなどでもいいのですが、小さいテリンヌ貝に憧れて、しじみで作ってみました。

 

冷めないうちに、手で(これがポイントです♪フランソワ氏もイヴォン氏もそうおっしゃってます。)

口に運び、しじみ・ワイン・しじみ・ワインと交互に楽しみましょう♪

 

 

一人でも多くの方がこの魅力的な番組を観ていただける事を祈って、

また皆様が素晴らしい21世紀をお迎えになられることを祈って。。。

20世紀最後のO・TU・MA・MIを閉じたいと思います。

 

 

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