CRT & レココレ
Presents:

Vol. 29
「近ごろまさかのCCR〜ボックス発売記念CCRナイト!」

「CCRの箱、聞いた?」これが最近レコ好きの間の合言葉。まじで。まじ、まじ。去年暮れにリリースされた全時代の全音源満載による究極のボックスセットが、アメリカン・ロック・ファンの間で熱い。正月休みをあの箱とともに過ごした方も多いことでしょう。今、シーンが求めているのは“CCR的なるもの”なのか。というわけで、タイトでシンプルなスワンプ・ロックンロールに立ち返り、涙する一夜だ。貴重な映像、懐かしの未発表ライヴ音源も登場か? アメリカン・ロック・ファンよ、ワイルドに大集合よろしく!

2002年2月18日(月) at 東京・新宿LOFTプラスワン
OPEN 18:30 START 19:30
ゲスト: 和久井光司(ミュージシャン)、森山公一(オセロケッツ
出演: 萩原健太(音楽評論家)、寺田正典(レコード・コレクターズ編集長)
料金: 1500円(ワンドリンク付き)当日券のみ
問い合わせ: LOFTプラスワン 03(3205)6864
Daddy & The Surfbeats
萩原健太がメンバーの一員であるサーフ・インスト・バンド、ダディ&ザ・サーフビーツの最新ライヴ情報です。

4月にごきげんなスペシャル・ライヴを予定。詳細は近日。
Kenta's Programs
萩原健太がDJ/選曲をつとめるレギュラー番組のご案内です。

ポップス・グラフィティ・オールディーズ(NHK-FM 毎週月曜日16:00〜17:30)
リクエストは「〒150-8001 NHK-FM ポップス・グラフィティ・オールディーズ 萩原健太」まで
月刊・萩原健太 5069(ラジオ日本 毎月最終日曜日25:02〜27:00)with 宮治淳一 (from BRANDIN) 2002年3月まで
ご意見・ご希望などは「〒106-8039 ラジオ日本 月刊・萩原健太 5069」まで
萩原健太のNothing But Pop!(選曲のみ。USEN-CS BF-52ch)

Say It Loud! Say It Loud!
A Celebration Of
Black Music
In America

Various Artists
(Rhino)
2002.2.11

 ついさっきまで、ニューヨークのWHTT局の放送をインターネット・ラジオで聞いてたんだけど。“エルヴィス・オンリー”って特集やってて。次から次へとエルヴィス・プレスリーばっかり。サン時代のロカビリーから他界間際の「アンチェインド・メロディ」の絶唱まで。サントラ音源も、ライヴ音源もたっぷり。最高。日本でもそういう有線チャンネルがあるみたいだけど、やっぱDJが入ったり、リスナーとの電話のやりとりが入ったり、ジングルが入ったり、CMが入ったりすると、それだけで気分が違うし。エルヴィスのMCとかコメントをうまくつないで、曲の合間を楽しく演出してくれていたし。エルヴィスの「サンキュー」ばっかりのコラージュとか、面白かったな。

 以前、このページでも書いたことがあるかもしれないけれど。はじめてニューヨーク行ったとき、えー、もう20年以上も前、大昔の話ですが、ホテルの部屋でラジオをつけてびっくりした。ご存じ、WCBS局。日本で必死になって探して、ようやく手に入れたようなレアなオールディーズの曲とかがポロッと普通にかかったりしてるんだから。交通情報の合間とかに。土曜の夜中なんか、ずっとドゥーワップばっか。腰が抜けた。寝るのがもったいなくて、えんえんラジオ聞いてたな。時差ボケどころの騒ぎじゃなかった。LAに行ったときも感動した。こちらはKRTH局。またもや日本での入手困難曲の雨アラレで。

 まだMDとかない時代。ぼくは120分のカセットをたっくさん買い込んで、持っていったちっちゃなラジカセで録音しまくりましたよ。70年代にFENで『ジム・ピューター・ショー』を情熱的にエアチェックしまくっていたころ以来だったなぁ。またもやコレクター根性まるだしだよ(笑)。情けない。

 で、思ったんだけど。もしぼくがガキのころからアメリカに住んでたら、たぶんこんなにレコード買いまくる人生は歩まなかっただろうな、と。でも、現実にはぼくは日本で生まれ育って。たまたまアメリカン・ポップスが大好きになって。なのに、聞きたい曲をすぐに、ふんだんに聞ける環境がなくて。だもんだから、自分で集めるしかない。おかげでマニアになっちゃう、みたいな。聞きたいものを聞きたいときに聞くためにレコードを確保する…。これって、たぶんアメリカ以外の国独自のマニアックな在り方なんだろう。だって、これだけふんだんに細分化されたラジオ局が渦巻くアメリカだったら、普通にラジオつけてるだけでかなりの割合で聞きたい曲に出くわすだろうしさ。

 ただ、冒頭で書いたみたいに、ブロードバンドが当たり前の世の中になって。アメリカのラジオ局の音を日本でもリアルタイムで楽しむことができるようになって。こうなると、ぼくみたいなレコード/CDマニアというか、コレクターというか、これからは生まれなくなるかも。ぼくみたいなマニアというのは、要するに“音源さえオリジナルならばいい”ってタイプのマニアのことだ。時代が進んで、簡単にアメリカの放送が聞けるようになろうがなるまいが、ブツに向かうというか、つまりオリジナル“盤”とか、を求めるタイプのコレクター/マニアはいなくならないだろうけど。

 でも、ぼくは音源さえオリジナルならば、再発盤だろうが何だろうがかまわないってタイプ。だから、オールディーズだったらリマスタリングされたCDとかでOK。場合によっちゃラジオからのエアチェックでも問題なし。もしかしたら、いつでも遭遇できるであろう環境さえ整っているならば、CDなりレコードなりを自分で持っていなくてもかまわないかもしれないんだよなぁ、俺。ブロードバンドの急速な発達とか、MP3のような音源圧縮フォーマットの発達は、ぼくの生活に今後どんな変化をもたらすのやら。楽しみなような、怖いような…。

 そう考えると、しかしアメリカって国でオールディーズの再発専門に着実な活動し続けているレーベルってのは、すごいね。だって、日本でよく出るような「悲しき街角」と「ダイアナ」と「ハロー・メリー・ルー」がランダムに並んでるみたいなオールディーズ・コンピ出したところで、いらねーよ、これだったらラジオ聞くよ…ってことになるわけで。まあ、そういうアメリカのコンピも腐るほどあるけどね。そういうのばっか出してるレーベルってのは、どうしたって長続きしないというか。充実したオールディーズ局がないアメリカの田舎町に住む人が通販で買うようなものなのだろう。

 その点、たとえばライノとかさ。いまだになんて読むのか、ぼくはよくわかってない Varese Sarabande とか。立派だよ。コンピに魅力的なコンセプトがあるもの。全曲集的なベストものにしても、どこかワンポイント、必ず購買意欲をそそるヒネリが加えてあって。この辺は、本場ならではの荒波をきっちり超えてきた再発レーベルならではの底力なのだろう。

 で、そんなライノがまたまたすごいの、やりました。つーか、去年の10月くらいに出たものなのだけれど。このほど、Pヴァインを通じて国内配給も実現したので、このタイミングで取り上げることにしました。日本版のタイトルは『セイ・イット・ラウド!〜ブラック・ヒストリー・ボックス6CD』。アメリカ社会の中で黒人音楽が文化としてどのように機能してきたか、その歩みをドキュメントするCD6枚組社会派アンソロジーだ。エリントン、パーカー、マイルス、コルトレーン、ミンガス、ハンコックらジャズの流れをはじめ、サン・ハウス、ロバート・ジョンソン、ジョン・リー・フッカー、マディ・ウォーターズ、B・Bらブルース、オルオールズ、ドリフターズ、ジョー・ターナー、レイ・チャールズら初期R&B、キャブ・キャロウェイ、ルイ・ジョーダン、リトル・リチャード、チャック・ベリーらブラック・エンタテインメント、キング・コール、ジョニー・マティス、ミラクルズ、ジャクソン・ファイヴ、バリー・ホワイトらポップ系、オーティス、アレサ、J・B、スライ、マーヴィン、パーラメントらソウル〜ファンク、ゴールデン・ゲイト・カルテット、ソウル・スターラーズ、マヘリア、ステイプルズらゴスペル、ジェリー・ロール、ロングヘア教授、ファッツ・ドミノ、ネヴィルズらニューオリンズ系、レッドベリー、オデッタ、ジミ・ヘン、リッチー・ヘイヴンズ、ギル・スコット・ヘロン、リヴィング・カラーら、えー、これはなんだ? 超ジャンル系か? などなど、様々な縦糸を絡め合いながらランDMC、NWA、デ・ラ・ソウルらヒップホップ第2世代の登場まで。随所にキング牧師やマルカムX、ジャッキー・ロビンソン、ジョン・F・ケネディら要人のスピーチも交えつつ立体的に構成された力作だ。ブックレットも素晴らしい。国内版に添えられた丁寧な訳文/解説にも大感謝。“これは『ブラック・ミュージックのグレーテスト・ヒッツ』ではない。これは『ブラック・ミュージックの偉大なる勝利の話』なのだ”というプロデューサー陣による序文が泣ける。

 ちなみに、1枚もののダイジェストCDも出てます。


 さて、いよいよ待望の日が近づいてきました。来週から、急に忙しくなりますよ。2月18日の月曜日はFMの生放送やったあとで、新宿ロフトプラスワンに行ってCCRナイト。これが楽しみでねー。もう、今やぼくの周囲ではみんなCCR再評価の大波にのみこまれていて。熱いですよ。和久井さんも森山くんも盛り上がって来てくれるはず。まあ、われわれの盛り上がりぶりと、世の中との熱量の差が気になるところではありますが(笑)。このところ大入り満員が続いていたCRT/レココレ・イベント、今回ばかりは集客に大いなる不安が…。アメリカン・ロックンロールを愛するみなさん、ぜひ一緒に熱い思いをぶちまけましょう。ジョン・フォガティの秘蔵映像なども登場の予定っす。

 でもって、21日になると、あー、待ったこの日、ブライアン・ウィルソンのペット・サウンズ来日ツアーが東京を皮切りにスタートします。今回は『ペット・サウンズ』ツアーってことで。ブライアンが66年に作り上げたアルバム『ペット・サウンズ』の収録曲を全部、1曲目の「素敵じゃないか」からラストの「キャロライン・ノー」まで、曲順もそのままにステージ上で再現するという夢のコンサートなわけだが。それは第2部。第1部では『ペット・サウンズ』以外のビーチ・ボーイズ・ナンバー、ソロ・ナンバーがたっぷり披露されている。

 ネット上でもあちこちのサイトに1月のヨーロッパ・ツアーのセット・リストが載っているので、ご存じの方も多いでしょうが。前回の日本公演では聞けなかったものだけピックアップしてみても、ベアネイキッド・レディーズの「ブライアン・ウィルソン」のカヴァーから「ティル・アイ・ダイ」へなだれ込むロキシー・シアター・ライヴでおなじみの必殺メドレーをはじめ、デニス・ウィルソン作の名バラード「フォーエヴァー」のカヴァー(しかも、カール・ウィルソンのことを歌った「レイ・ダウン・バーデン」と続けて演奏されている!)、「プリーズ・レット・ミー・ワンダー」、「マーセラ」、「メント・フォー・ユー」と「フレンズ」の仰天フレンズ・メドレー、「アワ・プレイヤー」と「英雄と悪漢」の昇天スマイル・メドレー、なーんとあえなくボツになったアンディ・ペイリーとのソロ・アルバム・セッションで録音された未発表曲「デザート・ドライヴ」もやってるみたいだし、最近は「ザ・ウォームス・オヴ・ザ・サン」も歌っているらしい。日本でも全部歌ってくれるかなぁ。曲名見ているだけで震えが来る。しかも、今回のメンバーにはアンディ・ペイリーも入ってるし。

 俺もツアーだっ! いくぞっ! 全国4カ所5公演、聞きまくるぞっ! 頭にたたき込むぞっ!

(この盛り上がりを押さえきれず、2月2週目3週目のUSENはビーチ・ボーイズ&ブライアン・ウィルソン一色でお送りします。ひねりがなくてすまんっす)



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