CRT & レココレ
Presents:

Vol. 23
「テラさんのローリング・ストーンズ秘宝館Vol.2〜燃えよストーンズ! 火のないバンドにケムリを立てろスペシャル!」

お待たせしました、ストーンズに操を捧げる寺田編集長のお蔵出しナイト第2弾。今回は、いよいよ70年代を熱く熱く語ります。つーわけで、70年代ストーンズとなれば黙っちゃいない男、ザ・グルーヴァーズの藤井一彦もついにゲストで登場だぁっ! 秘宝、珍宝、激宝に乞うご期待!
2001年8月19日(日) at 東京・新宿LOFTプラスワン
OPEN 18:30 START 19:30
ゲスト: 藤井一彦(The Groovers
出演: 寺田正典(レコード・コレクターズ編集長)、萩原健太(音楽評論家)
料金: 1500円(ワンドリンク付き)当日券のみ
問い合わせ: LOFTプラスワン 03(3205)6864
Daddy & The Surfbeats
萩原健太がメンバーの一員であるサーフ・インスト・バンド、ダディ&ザ・サーフビーツの最新ライヴ情報です。

8月16日(木)
高田馬場フィドラー
21:00-Midnight
(No Charge)
9月19日(水)
高田馬場フィドラー
with 宮澤 謙(Keyboards)
21:00-Midnight
(No Charge)

Brian Wilson Live At The Roxy Theatre Live At
The Roxy
Theatre:
with Bonus Tracks

Brian Wilson
(BriMel/Oglio Records)
2001.7.30

 何を今さら、こんなアルバムをピックアップしているんだ? と思われそう。とりあえず今回、ボーナス・トラック(「スループ・ジョン・B」と「バーバラ・アン」とブライアンのインタビュー)を加えて新装リリースされたからとはいえ、すでにここでもボーナスなしの前盤を取り上げているし。もう特に何か語りたいことがあるわけでもないんだけど。

 実は、昨日と今日、28日と29日の深夜、日経CNBCでやってる『レイト・ナイト・ウィズ・コナン・オブライエン』にブライアン・ウィルソンが出たもんで。先週の半ばにアメリカで生放送されたやつ。来たるべき来日公演と同じメンバーを従えたブライアンがゲスト出演して元気なライヴを見せてくれたものだから。元木の連日のヘボ守備(左投手でも清水を最初から出せ、清水を!)のおかげでヤクルトとの3連戦を負け越してしまったジャイアンツのこともスカッと忘れました。この感激を書き記しておきたくて、とりあえずむりやり今さらながらの『ロキシー』をピック・オブ・ザ・デイにしちゃったわけです(笑)。すんません。

 ブライアン、よかったよー。もう音のほうはネット上のブライアン・ファン・サイトにMP3化されて違法掲載(笑)されているので、きっとみなさん、当然もう聞いていることと思いますが。なんと「アワ・プレイヤー」のアカペラでスタートして、そのまま「英雄と悪漢」に突入。で、この「英雄と悪漢」が、もちろん基本的にはシングル・ヴァージョンというか、『スマイリー・スマイル』ヴァージョンというか、オフィシャルにリリースされたヴァージョンが下敷きにはなっているのだけれど、イントロとかエンディングとか、もう随所に『スマイル』ヴァージョンのフレーズが顔を出す、実にイマジネイティヴな仕上がりで。これ、たぶん来日公演でやってくれるんだよね。それを思うと、もうわくわくしちゃって。

 アンディ・ペイリーが新加入したバック・バンドも、さすがのコーラス・ハーモニーを聞かせてくれていた。ベース・ヴォーカルのパートが今いちという弱点は相変わらずながら、「アワ・プレイヤー」も「英雄と悪漢」もアンサンブル的には完璧。2年前の日本公演のときとは比べものにならないくらいバンドとして成長を遂げているみたい。演奏もタイトにまとまってるし。けど、今回のテレビ出演最大のポイントは、歌ってるブライアンの仕草だったなぁ。右手と左手を交互にかわいらしく上下させたりしながら、ヒ〜ローゼンヴィーレインズ……とか歌っているさまは、なんとも愛らしかったですよ。これ、振り付けか?(笑)。おまけでやった「スループ・ジョン・B」での歌詞間違いとかもかわいかったです。

 いずれにせよ、だ。たぶん66年の名盤『ペット・サウンズ』をA面1曲目の「素敵じゃないか」からB面ラストの「キャロライン・ノー」(犬の鳴き声&踏切SE入り)まで、曲順通り、アレンジもほぼオリジナルのまま、全部聞かせてくれることになりそうな今回の来日公演。それに加えて、今回テレビで披露してくれたような、67年の幻の名盤『スマイル』色もどうやらかなり強そう……ってことになるわけで。どうしましょ。コーフンして9月まで寝られなくなっちゃいそう。

 そういや、2年前の来日公演のとき、“新曲が少ない。ダメだ。現役じゃない”みたいな、ずいぶんと短絡的なことを書いてた知ったかぶり評論家もいたけれど。そういう輩は、きっと今回のセットリストを見たら、また文句をつけるんだろうね。最近のブライアンのセットリストを見る限り、もはやソロ名義の曲は「ラヴ&マーシー」くらいで。あとは全部ビーチ・ボーイズ時代の曲だから。でも、そういう短絡的な批判に対して、ぼくは断固反論するぞ。どんなに昔の曲だろうと、もしそれが現代にきっちり有機的に機能しているのならば、それは現役の音楽じゃないのか?

 ブライアンは前回の来日でも、たとえば『ペット・サウンズ』の曲を基本的には66年に提示したのとまったく同じアレンジ/アンサンブルのもとでステージで表現して。それは、あの会場にいた多くの人が体感したと思うのだけれど、今の時代にもまったく色あせていないもので。つまりブライアンは、彼が35年も前に作り上げた『ペット・サウンズ』は今なお現役の音楽であることを証明してみせたわけで。このあたり、今年の3月にリリースされてチャート上位にランクした『ロング・バケーション』の20周年記念再発盤とイメージがダブるのだけれど。

 以前からあちこちで書いたり言ったりしてきたことを繰り返します。新しいもののほうがいい……という価値観は、作り捨て/聞き捨てが基本のポップ音楽の世界では、まあ、確かに説得力を持っている。瞬間瞬間の空気に触発されて、瞬間瞬間の思いを吐き散らす。時代を超えることなど二の次。ロックを含むポップ音楽は本来、今この時代/瞬間をどれだけパワフルに、太く表現できるかという課題を背負った音楽なのだろうし。

 けれども、それだけじゃない。作り捨て/聞き捨てを基本にスピーディに時代を駆け抜ける数多のロック/ポップスの中に、ときおり鋭く永遠の真実を射貫くメロディなり歌詞なりサウンドなりがまぎれこんでいて。そんな一瞬のきらめきが、やがて時を超え“永遠”へと昇華する。こうした在り方もまたポップ音楽の魅力の一面だ。でもって、きっとブライアンはそうした真理を、9月、ぼくたちにまたどすんと思い知らせてくれるわけだ。うひゃー。

 というわけで、その前哨戦として、もし万が一まだこの2枚組ライヴ盤を持ってない人がいるようならば、ぜひ。前の盤は基本的にインターネット販売しかされなかったけれど、今回のはオンラインCDショップでも、日本の輸入盤屋さんでも売ってますので。


 で、まだまだ載せておきましょう。ブライアンの来日メンバーおよび公演スケジュールです。

Brian Wilson: Vocals, Keyboards
Jeff Foskett: Vocals, Guitar
Bob Lizik: Bass
Paul Mertens: Sax, Horns
Jim Hinds: Drums
Andy Paley: Percussion, Vocals, Guitar
Darian Sahanaja: Keyboards, Vibe, Vocals
Probyn Gregory: Vocals, Guitar
Nick Walusko: Vocals, Guitar
Taylor Mills: Vocals
Scott Bennet: Vocals, Keyboards, Vibes, Percussion


東京:2001年9月20日(木)
東京国際フォーラムホールA
問い合わせ: プライムディレクション 03-3408-9595
2001年9月21日(金)
東京国際フォーラムホールA
問い合わせ: プライムディレクション 03-3408-9595
名古屋:2001年9月22日(土)
愛知県芸術劇場大ホール
問い合わせ: サンデーフォーク 052-320-9100
福岡:2001年9月24日(月)
福岡サンパレス
問い合わせ: ブレインズ 092-771-8121
大阪:2001年9月25日(火)
大阪厚生年金会館
問い合わせ: キョードー大阪 06-6233-8888


Buffalo Sprinfield
Whiskeytown
Lucinda Williams
Brian Setzer
The Beach Boys
Ron Sexsmith
Jason Falkner
Leon Redbone
The Band
R.E.M.
Vic Chesnutt
John Hammond

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