CRT & レココレ
Presents:

Vol. 28
「レコスケと語ろう! ジョージ・ハリスン〜ありがとう! ジョージよ永遠に〜」

先日、58歳という若さで他界してしまったジョージ・ハリスン。世紀の傑作『オール・シングズ・マスト・パス』のリマスターCDリリースを祝してCRT&レココレが第1回ジョージ・ハリスン・ナイトを催したのがちょうど1年前。あのときはこんな悲しい日がやってくるとは想像もしなかったけれど。でも、ジョージは病と闘い、気高く天に召された。それが現実。ありがとう、ジョージ。じゃ、ぼくたちも思い切りご陽気に、愛情と感謝をたっぷりこめて、あなたが残してくれた素晴らしい曲を聞きまくりながら追悼します。前回のジョージ・ハリスン・ナイト同様、日本一のジョージ・ラヴァー、本“レコスケ”秀康くんをゲストに迎え、彼の功績を力いっぱい讃えよう。遺作にも思いを馳せるぞ。

2002年1月24日(木) at 東京・新宿LOFTプラスワン
OPEN 18:30 START 19:30
ゲスト: 本秀康(イラストレーター)
出演: 萩原健太(音楽評論家)、寺田正典(レコード・コレクターズ編集長)
料金: 1500円(ワンドリンク付き)当日券のみ
問い合わせ: LOFTプラスワン 03(3205)6864
Daddy & The Surfbeats
萩原健太がメンバーの一員であるサーフ・インスト・バンド、ダディ&ザ・サーフビーツの最新ライヴ情報です。

年末年始は活動お休みです(笑)。2月ごろ始動の予定!
Kenta's Programs
萩原健太がDJ/選曲をつとめるレギュラー番組のご案内です。

ポップス・グラフィティ・オールディーズ(NHK-FM 毎週月曜日16:00〜17:30)
リクエストは「〒150-8001 NHK-FM ポップス・グラフィティ・オールディーズ 萩原健太」まで
月刊・萩原健太 5069(ラジオ日本 毎月最終日曜日25:02〜27:00)with 宮治淳一 (from BRANDIN) 2002年3月まで
ご意見・ご希望などは「〒106-8039 ラジオ日本 月刊・萩原健太 5069」まで
萩原健太のNothing But Pop!(選曲のみ。USEN-CS BF-52ch)

Rickie Lee Jones Live At
Red Rocks

Rickie Lee Jones
(Artemis)
2001.12.25

 リッキー・リー・ジョーンズという人は、本当につかみどころがない。

 たぶん多くの彼女のファン同様、ぼくもメジャー・デビュー・シングルだった「恋するチャック」に一発でやられて。『浪漫』と邦題が付けられたファースト・アルバムを買って。ロウエル・ジョージら腕利きたちの絶妙なバックアップを得て、のびのびと個性を発揮している彼女の底抜けの魅力のとりこになった、と。そんな感じのファン。

 ユニークな曲作りのセンス。サウンド的にもR&B、ジャズ、フォークなど、様々な音楽性をエキセントリックにミックスしていて。淡い水彩画を思わせる透明感に満ちた独自の音宇宙を構築することに成功した一枚に仕上がっていた。ハリウッドを舞台にした、古き佳きハードボイルド小説の女の子版を読んでいるような気分にさせてくれる歌詞も面白く。当時、よく聞いたなぁ。こればっかり聞いてた時期もあった気がする。何よりも魅力的だったのは彼女の“声”。かすかなつぶやきからセクシーな叫びまで。瑞々しく、表情豊かな世界を聞かせていて。あの、ファースト・アルバムは全体的にポップな手触りに貫かれてはいたものの、彼女の表現の振り幅がかなり広いぞってことを、すでにその時点で教えてくれていた。あれは、覚悟しときなさいよ……って、リッキー・リーおねーさまからの宣言だったのか。

 で、そんな振り幅の広さに、以降ぼくたちは常に振り回されながら現在に至っているというか(笑)。セカンドの『パイレイツ』は、ずいぶんと評論家受けはよかったものの、音楽的には一気に暗さを増して。先輩格のローラ・ニーロや恋人だったこともあるトム・ウェイツ同様、私的な体験をブコウスキーやケルアックを彷彿させるドラマティックな神話へと再構成する歌詞の世界も、より求心力を強めた感触があって。ぼくは聞いていて怖くなったものだ。というか、怖いんであんまり聞かなかったというか(笑)。

 でもって、3作目『ガール・アット・ハー・ヴォルケーノ』は10インチのジャズっぽいカヴァー中心のアルバムで。かといって、ビリー・ストレイホーンからレフト・バンク、トム・ウェイツまで、一見脈絡なさそうな選曲も含め、よくありがちなノスタルジックなカヴァー・アルバムというわけでもなく。この段階で、このコはわからんというか。このコには振り回されるぞという感触が、ますます確かなものになった。続く『ザ・マガジン』もそういう印象を強めたかなぁ。

 その後、彼女はぐんと寡作になってしまって。『ザ・マガジン』の5年後に出た『フライング・カウボーイズ』はファーストにも通じる外向きな傑作だったけれど、他の数作は若い世代の音作りをむりやり追いかけたようなものがあったり、あまりぐっとこないカヴァーものだったり。そのつど、ぼくはちょっとがっかりしたり、でも、その気まぐれ具合に頬をゆるめたり……。リッキー・リー・ジョーンズの新作アルバムを買うときは、いつもそんな感じだった。で、今回の最新ライヴ盤。いつものようにあまり期待せずに買ってみたのだけれど。

 いやー、今回はいいっすね。ベスト・ヒッツ・ライヴって感じで。真っ向勝負。気まぐれ、なし。デンヴァーのレッド・ロック・アンフィシアターでのライヴ。5〜6年前に出た『ネイキッド・ソングズ』ってライヴ盤は、彼女流のアンプラグドというか、数曲以外、ギターかピアノだけをバックにおなじみの曲を文字通り“裸”にして聞かせてくれた、そういう形の傑作だったのだけれど。今回はバンド入り。彼女が内包するすべての魅力をダイジェストのような形でぼくたちに届けてくれる仕上がりになっている。ヴァン・モリソンの「グロリア」と、必殺の「ドント・レット・ザ・サン・キャッチ・ユー・クライング」のカヴァーもあるが、基本的には今回もおなじみのリッキー・リー作品がずらり並んでいて。彼女ならではの奔放さと、グルーヴ溢れるバンド演奏とがうまい具合に絡み合って。盛り上がる。うー、ライヴ見てーっ……って気分になってくる。

 リッキー・リーの入門編としてもおすすめできそうな一枚。ライル・ラヴェットとの深いデュエットもあります。

(なお、このアルバムからの曲からスタートする連想ゲームふう選曲が12月の4週目、つまり今週ですが、有線放送がCS衛星を経由して聞ける「USEN-CS」のぼくのチャンネルでオンエアされています。詳しくはこちらを)



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