ききあるきサタデー
 
 
ききあるきが終わって、音を地図に落としたところで、図のようなダイヤグラムに、各自の拾ってきた音をそれぞれ当てはめてもらいました。
同じ音でも、人によって「快」と感じたり「不快」と感じたり、「柴又らしい」と感じたりそうでなかったり。人それぞれ感じ方に違いが出て、面白い結果が表われました。
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 サウンドスケープは、その音を聴いてどう思うか、その音はその人にとって、あるいはその地域にとって、どんな意味や価値を持っているかという、主観的な評価をも視野に入れた考え方です。そこで、このようなダイヤグラムを用意しました。
 同じダイヤグラムは2つとありません。いくつも並べてみることで、見えてくることがあるのではないでしょうか。

 

     
モジさん
川千家のいけすは、柴又の参道を通ると必ず聴く音。矢切の渡しは、柴又=矢切の渡しと言うくらいだから「いかにも柴又」にしました。金属の賽銭箱は他ではあまりないと思うので「いかにも柴又」。飴やのところは、参道でいつも聴けるので「柴又」よりなんですが、機械音ということで多少不快。手で切る音を知っていると、やっぱりそっちのほうがいいですよね。柴又街道は、参道を分断している。ここまで参道の音を聴いてきたのに、急に車の音を聴かなくてはならないということで、浮いていて不快という評価です。

まばと評:飴やさんの音の評価は、機械以前の音を知っているモジさんならではの視点です。柴又街道がもたらす環境への悪影響を、サウンドスケープの側面から考えると、ダイヤグラムの左下に振りきったかたちになります。
 
さんしょさん
不快なものってあんまりとってないなって思った。自分でとろうと思ったときにもうフィルターがかかっているので。「いかにも柴又」は線香の人達がトップ。天丼やさんは最初はあまり感じがよくなかったんで、ちょっと「不快」のほう。でも、やりとりをしていくうちにだんだん「快」になっていきました。江戸川の土手では、アトムの歌が流れていたラジオは浮いていたけど、その違和感がおもしろい。ギターのお兄さんはめちゃくちゃ浮いていたけど、よかったので「快」にしました。

まばと評:天丼やさんの評価は、だんだん「快」になっていくところがおもしろいです。ラジオやギターの音など、その場所に合ってないからといって必ずしも「不快」なわけではないというのは、案外盲点かもしれませんね。
 
輪さん
やっぱりせんべいが「快」で「いかにも柴又」。せんべい屋は珍しくないけど、ああやって皆でかじるのは今日のこのワークショップくらいだろうと思います(笑)。あとは矢切の渡しの水の音が気持ちいいかなと。エンジンの音も割と低めだったので水音もよく聴こえました。やっぱり帝釈天の境内なので、おみくじや神水が「いかにも柴又」に来てます。アイスキャンデーは僕の評価だと「いかにも柴又」。多摩川の河原でああいう人見たことないんで。

まばと評:アイスキャンデーやさんの音は、柴又でなくても聞けると言う人がいる一方、輪さんのような評価をくだす方も。これは輪さんの身近な川は多摩川だったという、その人のバックボーンが伺える好例です。
 
ぐろぐろさん
柴又らしいのはおみくじくらい。踏切はどこでも聴ける音だし、自分の中では、まあずっと聴いているような音でもないかなと思って、ちょっと不快なほうに入れました。けんかしてる子供の悲鳴もどうかな。踏切よりはちょっとはいいけど、うーん、可もなく不可もなくという感じかなあと思いました。個人的にはタッくんはすごく好きなんですけど(笑)。虫は「まあまあ」、見た目がね。姿がなければいいかな。

まばと評:踏み切りの音と子供の声を比べることってあまりないですよね。ここでは、どの音も「音の風景」を形づくる1つの要素です。そもそも音についてどう思うかは、普段あまり考えないことなので、新しい感覚が生まれるのではないでしょうか。