アマチュア無線の現状

かつてはキング・オブ・ホビーと呼ばれ、少年たちの憧れであったアマチュア無線界の現状はどうでしょうか。
最近アマチュア無線の運用やマナーが非常に乱れています。
不法局は論外として、ここではアマチュア無線界の問題点や正規のアマチュア局の悪い慣習などの実態について考察してみます。みんなが楽しく運用できるように、古き良き時代を取り戻しましょう。

ここで取り上げている問題や例は一部であり、ハムの世界は概ね親切な方が多いのも事実です。
ただ、一部とはいえマナーの悪い局の言動は目立ってしまうので、無線界全体の印象を悪くしかねません。
一般社会と同様に相手や周囲の人々の立場も考える心づかいが必要です。

目次

 1.衰退するアマチュア無線界  7.JARL問題 
 2.数は世界一、マナーは最低  8.周波数独占 
 3.何でもできる4アマ  9.大迷惑な移動運用
 4.幼児でも受かる講習会  10.MC局のインチキ通信
 5.オーバーパワー  11.応答してくれた局を嫌う
 6.電波障害  12.コールサインで差別する








1.衰退するアマチュア無線界
一時は大ブームを起こして活気だったアマチュア無線界も最近は衰退の一途をたどっています。一時は136万局を超えたアマチュア無線局数も現在は60万局を切ってしまいました。1年間に約10万局が閉局しています。これは携帯電話やインターネットの著しい普及が最大の原因だと思われますが、アマチュア無線に魅力を感じなくなりやめてしまう人も多いと思います。一時のブームに浮かれてハムを粗製濫造した結果、マナーの乱れに閉口してアマチュア無線に幻滅した人も多かったはずです。
かつては20万人いたJARL(日本アマチュア無線連盟)の会員数も半減し1年間に1万人以上のペースで減り続け、現在存続の危機にさらされています。これは、会員の要望に耳を傾けないJARLのワンマン体質、会費を値上げしてサービスはどんどん低下するなど、会員が減るのも当然です。残った会員が声をあげて連盟を健全に改革しなければなりません。
無線機器メーカーも昔は名も知らないような中小企業がこぞっで無線機を発売していましたが、ブームが下火になると次々と撤退していきました。現在残っているメーカーは、無線界の衰退と経済不況のダブルパンチの中でよくがんばっていると思います。代表的なメーカーはスタンダード(八重洲無線と日本マランツの販売部門の合併ブランド)、アイコム(旧井上)、ケンウッド(旧トリオ)、アルインコ等です。これらのメーカーは昔から親しまれているもので今後も頑張ってもらいたいと思います。
販売店もここ数年激減しています。昔は多くのデパートにもアマチュア無線コーナーがありましたが、今は皆無です。電気の街秋葉原も多くの店がアマチュア無線コーナーを廃止し、パソコン関係のコーナーに変わり、今では数店を残すのみです。
私の地元横浜でもT−ZONEやロケットなどの大型店が撤退しました。大都会の横浜に住んでいながら無線機を見るには秋葉原まで行かなくてはならなく、さびしいかぎりです。
無線従事者免許は一生涯有効です。日本全国で300万人以上がアマチュア無線の従事者免許を持っています。アマチュア無線をやめた人は、いつでも再開することができます。コールサインも昔自分が使っていたものを復活することができます。せっかく取得した免許ですから、気が向いたら再開してみませんか。

    




   


2.数は世界一、マナーは最低
世界のアマチュア無線局数は推定250万局に及びます。
そのうち日本はピーク時で136万局、2番目に多いのがアメリカで約65万局、3番目がドイツで約7万局となっています。
数字から日本が異常に多いのがわかります。現在日本のアマチュア局は減少傾向ですが、ハム大国には違いありません。
しかし、マナーに関しては世界最低ともいわれ、日本の局はたいへん嫌われているのが現状です。
これは無線の世界に限ったことではなく、「経済は一流、倫理は三流」といわれるように、モラルの低さはあらゆる分野で日本人に共通するようです。
皆がハムの原点に返って、正しい運用を心がけなければなりません。
アマチュア無線には、アマチュアコードというものがあります。
これは武道で言えば道場訓のようなもので、当然の心構えを示すものです。
アマチュアコード
  アマチュアは良き社会人であること
  アマチュアは健全であること
  アマチュアは親切であること
  アマチュアは進歩的であること
  アマチュアは国際的であること
アマチュアコードの内容は、現代人として当たり前のことです。
しかしながら現状は、「良き社会人ではなく、不健全で不親切、進歩的ではなく、国際的でない」と言われかねません。
アマチュアコードが努力目標ではなく、当たり前の事柄だという認識が必要です。


  




  


3.何でもできる4アマ
日本のアマチュア無線従事者免許所持者のうち
第4級が90%以上、第3級が約5%、第2級が約2%、第1級が1%未満となっています。
電波法が改正され3級でも50W運用が可能となり、3級免許所持者が急増するかと思われましたが、全く増える気配はなし。
国家試験自体も以前よりかなり簡単になったのに、なぜ上級資格者が増えないかというと・・・
答えは簡単で4アマでコールサインさえもらえば、あとは何でもできるからです。
それに電波法を守るつもりの無い者は、勝手に1アマを上回る操作をしているわけです。
だから、わざわざ勉強して上級資格を取得する必要がないという理屈です。
4アマの操作範囲でも、それなりに楽しむことはできるはずなので、自分の免許には誇りを持ってもらいたいものです。

国際法規の条文では、「アマチュア局を操作するものは、モールス符号によって文を正確に送受信することができることを証明しなければならない。ただし30MHzを超える周波数についてはこの要件を課しない」となっています。
つまり、電信の試験を課していない日本の4アマでHFの電波を出してはいけないのです。
世界の中で最下級免許で何でもできるのは日本だけです。
この点について郵政省(当時)の見解は「4アマでは10Wしか出せないので外国との交信はほとんどできないので問題はない」とのことです。実際は4アマで数キロワットの出力で外国と交信するのは当たり前のようになっています。
まことに性善説と建前でしかものを言わない役人らしい見解です。
日本は世界一のハム大国なのですから、その日本が国際法規を守らないでどうするのですか。
マナーを求めても無理なようですから、外国の例を参考にして、資格別コールサインと資格別周波数プランにするべきです。
正直者がバカをみる無線界ではいけません。

最近になって国際法規の条文からモールスの項が削除されました。
衛星通信などの普及でプロ業務からモールス通信がなくなり、
アマチュア無線でもモールスの必要性が議論されるという時代の流れに沿ったものだと思われます。
日本でも資格試験からモールスを廃止したり簡略化を検討する動きがみられるようです。
モールス試験を廃止したり簡略化すると資格別の意味が益々なくなると思うのですが・・。
アマチュアだからこそ、モールスは伝統的技能として上級には必須として試験を残すべきだと思います。

追伸・・・2005年10月に 3級の電気通信術(1分間25文字のモールス受信)の試験が廃止されました。
     1級と2級も従来の3級の試験のレベルに下がりました。

アマチュア無線技師 従事者数の推移
  1995 1996 1997 1998年 1999 2000
第一級 16867 18735 20241 20995 21644 22115
第二級 68187 69598 70819 71517 72061 72383
第三級 136338 140043 142407 144113 145567 146455
第四級 2659041 2733351 2779292 2812711 2842877 2863163
合計 2880433 2961727 3012759 3049336 3082149 3104116





 


4.幼児でも受かる講習会
かつてはハムになりたくても国家試験が難しくてなかなか合格できないと涙を呑んだ少年も多かったはず。
中学生が免許をとれば周囲では「天才ラジオ少年」と注目された。
小学生が合格すれば地元の新聞で紹介されたほどだった。
そこがキング・オブ・ホビーといわれるところでもあった。

しかし、単にハム人口を増やすことに重点を置いたJARLの努力で年々国家試験自体が簡単になってきました。
さらに誰でも簡単に取得できるのが講習会です。

ハム人口を増やすことがアマ無線界の発展につながると勘違いしたJARL、
講習会費と技適証明で儲けたいJARD、
マナーなどどうでもよいからとにかく無線機を売りたいメーカーと販売店・・・
これらの利益が一致して講習会は盛んに行われました。

この講習会はトラック等の不法局と一部の販売店が手を組んで、不法局に免許を売る不法講習会も全国各地で行われました。
少年たちの夢をかなえる目的もあった講習会なのに
結果的に不法CB無線からはじき出された不法局に堂々とアマチュアバンドを乗っ取られることにもなりました。
彼らは不法講習会で得た免許は持っていても
コールサインは言わないし、周波数プランは守らないし、オーバーパワーは当たり前だし、周波数を独占しています。
国家試験(4級)の合格率が60%台なのに対して講習会は99%です。実際に入園前の幼児でも合格しています。
幼児に免許を取る機会を与えるのは良いことでもあります。
しかし問題なのは誰にでも免許を与えて、後の教育は全くしないということです。
実際には2万円ちょっとで免許を売っている、受講者は2万円で免許を買うという感覚です。
その講習会も最初の頃は44時間必要で2週間通わなければならなかったのが、
無線人気が落ちてくると、どんどん簡単にして、現在は試験も含めて11時間、わずか2日で合格できるようになっています。
なぜそんなに簡単に合格できるのか?講習会に出席した複数の人から聞いてわかりました。(内容はほぼ同じようです)
講師はただ一方的に教科書の内容を解説するだけ。(聞く必要もノートにとる必要もありません。ただおとなしく座っていればよいだけです。)
講義の最後の時間に、終了試験の問題と答えを教えてくれるのです。
「問題の順番だけは変わるので番号ではなく答えで覚えてください」とまで丁寧にアドバイスしてくれるそうです。
試験は1時間で法規・工学それぞれ四肢択一の10問。そのうち各6問正解で合格・・・
これでは全員合格は当たり前。むしろ不合格のほうが難しいようです。
問題は全部見なくても答えはわかるようで、ほとんどの人が5分程度で終えてしまうようです。
これでも不合格になったら同じ問題(順番だけ変わる)で再試験の機会が与えられます。
こうした実態が粗製濫造といわれても仕方ないと思います。
講習会はなるべく中学生以下とか高齢者にするべきだと思います。
そしてアマチュア無線界全体が責任を持って育てていくといった体制にするべきです。

 





5.オーバーパワー
9割が4アマなのは事実。しかし、売れている無線機はハイパワー機ばかりで、10W機はほとんど需要がないのも事実です。
4アマの入門機はHF100W、VUで50W機となっているのが現状です。(もちろん電波法違反)
標準でHFは1KW、本音としてのハイパワーは3KW以上をいいます。(もちろん4アマで)
なかには一発コール用と称して10KW以上のリニアを使っている者もいます。
近隣に電波障害を与えても関係なし、
「1KWで何度も呼ぶより10KWで一発で交信したほうが電波障害も少ない」という屁理屈を平気で・・。

オーバーパワーはアマチュア無線界の暗黙の了解のようです。10KW運用しても建前上あくまでも10Wなのです。
海外から「ジャパニーズ・テン・ワット」と皮肉を言われています。正直者がバカをみる世界です。

日本の法律はおもしろいもので、
違法無線機、許可されないハイパワーリニア等を製造するのも自由、販売するのも自由、買うのも自由です。
電波を出してはじめて電波法違反となりますが、取締りはしていません。
だから製造者や販売店は違法に使う(違法にしか使えない)のがわかっていても需要があるから販売するのです。
やはり一番悪いのはアマチュア無線家です。
ハムであれば、HFは50Wもあれば十分海外とも交信できるし、VUならば10Wあれば十分すぎることぐらいは知っているはずです。
他人を押しのけてでも早くめずらしい局と交信しようとする自分勝手な行為がパワー競争になったと思います。
その影でまじめに10Wで呼び続けている人たちもいることを忘れないでください。

  






  
6.電波障害
アマチュア局が発射する電波が他の業務無線に障害を与えたり、テレビやラジオ放送に障害(いわゆるTVIやBCI)を与えた場合は電波法によりすみやかにに電波の発射を中止しなければなりません。
よって電波障害はアマチュア局にとって致命的ですので、周囲の環境を考慮して十分注意しなければなりません。
電波障害の原因は無線機から発射されるスプリアス電波(特に高調波)によるものと、
無線機から発射される電波(基本波)によってテレビ等の受信機に混変調等を起こすものに大別できます。
最近の無線機は性能が良いのでスプリアス発射は非常に少なくなっています。
最近の電波障害の多くは基本波によって混変調等を起こすものです。
ただいくら無線機の性能が良くても送信出力を出しすぎると周波数に関係なく近隣に電波障害を与えます。
テレビ等の受信障害がすべてアマチュア無線が原因だと誤解されるケースも多くあります。
受信障害の苦情がきた場合には、その症状や時間帯をよく聴いて、もし身に覚えがなければハッキリと主張し他の原因を考えてみましょう。
テレビ画面が乱れたり声が入るのは不法CB無線のほうが多いのです。
近くに幹線道路がある場合はトラックやダンプの不法CB無線の可能性が高いのです。
トラックやダンプ等に積載されているCB無線機は100%違法無線機です。そもそも車載型の合法CB無線機は存在しません。

もう一つ考えられるのが、Eスポやメテオスキャッター等による異常伝搬です。
これは普段は届かないVHFの電波が電離層反射で遠くまで到達するものです。
Eスポが発生したときNHKでは「只今気象条件により受信障害が発生しています」というテロップを出してくれます。
以前いくつかのテレビメーカーが取り扱い説明書に、テレビの写りが悪い原因の一つに、
「近くにアマチュア無線局がある」という項目がありました。
これは誤解を与えるということでアマチュア無線連盟が抗議し、その項目は削除されました。
◆マスコミ報道には要注意!
最近話題になっているものに電磁波が人体に障害を与えるという懸念があります。
これは電磁波の恐怖という視点でマスコミが煽り立てたのが原因です。

現在のところ電磁波が人体に障害を及ぼすか否かわかっておりません。
携帯電話については電力が小さい為影響はないとの研究報告が多くあります。
電力の強いアマチュア無線については現在いくつかの機関で研究中です。
電磁波が人体に与える影響を調べている総務省の「生体電磁環境研究推進委員会」も携帯電話が健康に影響を及ぼす確たる証拠はないとの見解を出しています。
要するに専門家が時間をかけて調査・研究してもよくわからないということです。
なのに電磁波を浴びれば脳障害とか癌になるとの誤解を与えるような報道で国民に不安をあおるマスコミの責任は大きいと思います。
その結果、各地で携帯電話の基地局や電波塔の建設反対運動が起こっています。
自分達は携帯電話を使うのにそのための施設は許せないとは身勝手な話しです。

マスコミは毎年のようにダイオキシン、電磁波、環境ホルモンなど次々と不安をあおるネタを探しています。
よくテレビのレポーターが一般家庭を訪れ、様々な電化製品にガウスメーターを近づけて住民を驚かせる場面が放映されていました。
住民の感想は「怖くてここには住めない」なんて言っています。
電磁波を出さない電化製品などありませんし、自然界でも地球自体が電磁波を出しているのですから気にしていたら生活はできません。
そもそもガウスメーターは電磁波を測定する器具ではありません。メーターが振れるのは電磁波で誤作動を起こしているだけです。
電磁波は素人が測定できるものではありません。視聴者はマスコミに踊らされることなく冷静な態度を心がけましょう。
◆無線家の子どもは女の子?
もう一つ面白い噂に、アマチュア無線家の子どもは女の子が多いというものがあります。
これは強い電磁波が染色体に影響を及ぼし、電磁波に弱い男の子が生まれず、比較的強い女の子が誕生するというものです。
そして周囲に電磁波をばら撒く為、自分の子に限らず近所の子も女の子が多いという噂・・。
これは統計があるわけでもなく、実験も行われていません。あくまでも素人の推測にすぎません。
確かに面白い話題ではありますが、今のところ噂にすぎませんので真に受けないでください。
でも熱心なハムや高周波を扱う職業に従事している人たちの子どものデータがあれば、
それを一般の平均値と比べてみることで興味深い結果が出るような気もしますが・・。
興味のある方は研究してみてはいかがですか。





 


7.JARL問題
JARL(日本アマチュア無線連盟)はアマチュア無線という趣味のための団体です。
かつては20万人いた会員数も半減し、存続の危機がささやかれています。
会員数の減少はアマチュア無線界の衰退だけが原因ではないようです。
会員の声がなかなか反映されない等の様々な不満が次第に大きくなったのも原因です。
JARLの収入のほとんどが会員からの年会費(年間7200円)です。
かつては無線機の保証認定や講習会で儲かった時期もありましたが、それらをJARDに移してからは主だった収入がなくなりました。
JARDへ移管した経緯も不透明です。JARLとJARDの会長が同じというのも何か意図的なものを感じます。
さらに保証認定がTSSという(JARLと親しい)民間会社に移管しました。
これは政府が勧める規制緩和によるものだと思いますが、それではJARDの存在意義はなくなったと思います。
残った会員と去って行く会員は、年会費を支払う価値があるかどうかを考えています。
なぜ会員として残っているかというと、ほとんどがQSLカードを転送してもらうだけが目的です。
そのQSLカード転送も毎月だったのが隔月とサービスが低下しました。
サービスを低下させた割には転送費用はさほど節約されていません。
カード転送が突然島根県の(有)フジ企画という会社に委託されたのも不信をかっています。
それまで委託していた板橋区内の会社の実態を某裏無線雑誌が暴露したのが原因かもしれませんが。
今度の島根県の会社はガードが固く一切情報を公開しないことがさらに不信を大きくしています。
とにかく今度の島根のビューロは遅配が目立ち、国内でも6カ月以上(JARLは4カ月以内と言っている)かかる状態です。
問題となっているのが永久会員です。これは一時金を支払えば永久的にすべてのサービスを受けられるものです。
永久会員になる人は熱心な人が多いので必然的にQSLカードの転送量も多くなります。
それを永久に無料で転送するのですから、JARLが経営難になるのも当然です。
会費値上げ前に駆け込みで永久会員になった人が非常に多いのです。
それらの一時金の預金を取り崩しているのが現状です。
資金の運用利率が下がった社会的要因もありますが、それに対して本気で経営改善やリストラ、コスト削減の努力をしなかたJARLの責任は大きいのです。
確かに契約違反になりますが、元を取った永久会員はQSLカード転送の実費分負担について考えなければならない時期にきています。
永久会員の廃止についてJARLから一時具体的な提案(十分に元が取れる案)がされましたが、予想通りの永久会員の大反発で実現できそうにありません。
会員が激減し会員の約4割が永久会員ということを考えれば破綻は時間の問題です。破綻すれば元も子もありません。
たとえ正論だとしても契約違反を主張し自己の利益だけを守るのではなく、全体のことも考えなければなりません。
他にもJARLや原会長の姿勢について多くの批判や不満の声があります。
一方で原会長の政治力を評価する声もあります。
たしかに趣味の団体とはいえ法律が伴う趣味ですから、会長に監督官庁とのパイプがなければ会員の声も反映されません。
原会長の功績が大きいのも事実です。周波数防衛や送電線インターネットによる混信などJARLにやってもらわなければならない多くの問題があります。
批判ばかりするのではなく建設的な提案をするなど会員も努力しなければなりません。
そのために脱会するのではなく会員として意見をいうべきです。
とにかく、会長や古い理事が退陣しないと改革の第一歩が踏み出せない体質なのは確かなようです。
アマチュア無線界のためにも、ここらで会長と古い体質の理事らを改革の意欲がある人物に譲るべきだと思います。

  




  


8.周波数独占
不法無線グループが周波数を独占してアマチュア無線家が肩身の狭い思いをしていますが、
アマチュア無線家の中でも不法局同様に周波数を独占する困ったグループがいます。
○×無線クラブとか433.**愛好会、145.**ローカルグループなど様々な名前をつけてグループをつくっています。
そして自分達の専用周波数を決めて他局を排除します。
使用していないときも不法局と同じように留守番を置いて、周波数チェックが入ると「使ってるよー」
さらに自分達のグループにJARL関係者やアマ無線界の有名人を招き入れ名誉会員などの称号を与えたりもします。
それから、JARLニュースやCQ誌のトピック欄に集合写真を掲載して自分達の周波数であることをアピールします。
ロールコールとかオンエアミーティングでもほとんどが周波数が決まっています。
誰かがその周波数を使用していた場合は「今からロールコールするからどけ!」となります。
・・・「こっちのほうが先に使っているじゃないか」といってもムダです。
グループは「オレたちは何百人も待機しているんだ」とか「20年以上前からやっているんだ」などといって排除します。
免許を持っている人なら知っているはずですが、周波数はみんなで公平に使用するものです。
すでに他局が使用していたら妨害してはいけません。グループが何百人いようと何十年の歴史があろうと関係ありません。
ロールコールは空いている周波数でやってください。
周波数を決めるにしても他局が使っている場合も考慮に入れて、
「±20KHz」とか「**付近」のように弾力的な運用を心がけてください。
基本的なことが守れないのであれば、ロールコールなどは止めるべきです。
自分一人では何もできないのに集団をつくれば傍若無人に振舞うのは日本人特有の性質のようです。
アマチュア無線自体が共通の趣味なのですから、そのなかでわざわざクラブだネットといってグループをつくる必要はないと思いますが。
徒党を組むのは自由ですが、専用の周波数があると勘違いしないでください。

  




  


9.大迷惑な移動運用
移動運用もハムにとっては楽しみの一つです。住宅事情から移動運用しかできない人もいます。
しかしここでも問題となるのはマナーと違法運用です。
山の頂上や高台などロケーションの良い場所で運用するのは移動運用の基本です。
しかし、そのような場所は観光客向けの展望台などになっている場合も多いはずです。
そんな場所を占領しての無線運用はどうでしょうか。
多くの観光客や登山家が自然ときれいな空気と眺望を求めてたどり着いた場所で
アマチュア無線家たちが大きなアンテナを張り巡らし、机やらテントを持ち込み・・
発電機をガンガン回して「ジャッパーン・・・」とがなりたてる・・しかも出力数百ワットで。
ここでも自分達さえよければ他人の迷惑は関係なしです。その結果、無線運用が禁止になった場所がたくさんあります。


  



 


10.MC局のインチキ通信
アマチュア無線で交信するには、自分でCQ呼出をするかCQを出している局又は交信中の局を自分の設備で探し出して応答するのが基本です。
しかしアマチュア無線界にはMC局(元々はMaster of Ceremonies=司会者の意味。マイクコントロールというのは間違いだが、そのほうが実態をよくあらわしている表現だ。)と称するおせっかいおやじがいます。
MC局は 「只今長野県木曽郡お出ましです。ご希望局ございましたらQTH送って下さい。」
  ・・・といった具合に遠くの局に代わって呼び出しをします。

それに対して 「平塚お願いします」、「世田谷区お願いします」・・・

MC局:「平塚・世田谷確認、ほかいらっしゃいますか」・・・「それでは平塚局どうぞ」
平塚局:「お世話になります。こちらは7K1QSP・・・入感ありますか。」
木曽局:・・・・(全く聞こえている様子はなし)
MC局:「山田さーん、行ったよー スタンバーイ」
木曽局:・・・(当てずっぽうでコールサインを言う)
MC局:「違う、Pはあるけどトップじゃない」
木曽局:「トップはR?」
MC局:「おしい・・・でも近い」
木曽局:「じゃあ Q」
MC局:「その通り」・・・「レポートは31じゃないよ!レポートだけもう一度送ってあげて」・・・・


・・・・こうしたやりとりを何度か繰り返えせば聞こえなくても相手のコールサインはわかってしまいます。
聞こえていないのだからレポートは「11」で交信不成立だと思いますが、
なぜかレポートの相場は「41」あたりに決まっているようです。
こうしてMC局が無理やり交信を成立させてしまうのです。
もっとひどいのは仲間どうしのサービス運用(スケジュールQSO)。
これはいつ誰がどの周波数でどこから出るか、あらかじめ打ち合わせをしています。
お互いのコールサインはすでに知っているわけですからさらに容易です。
それでも仲間がMC局となって(有線や携帯で裏連絡している場合もある)交信を成立させます。

「鈴木さーん発報して」、・・・「こちらは7L3・・・」、・・・「スタンバイ」・・・

つまりMC局が「スタンバイ」とだけ言えば交信成立となります。
それでもって「いやーやっと○×郡とつながったよー うれしいよー・・・」なんて言っています。
これでめでたくアワード完成となるわけです。
まあアワードなんて自己満足の世界だからインチキ通信で得たアワードでも本人がそれで嬉しいのならいいじゃないの!
自分自身の力で苦労して手に入れたときの喜び、それがアワードの楽しみであると私は思うのですが・・・。
本来MC局は、珍しい局がパイル状態で収拾がつかないときに交信希望局のリストをつくって順番に交信させる役割をするものです。
交信希望局は目当ての局とMC局の両局が聞こえていなければなりません。MC局は絶対に交信の手助けをしてはなりません。

   




  


11.応答してくれた局を嫌う
◆セカンドQSOを嫌う
2回目の交信、いわゆるセカンドQSOを嫌う人がいます。
自分が嫌われていれば、同じ人から再び応答はありません。
だからセカンドQSOはたいへん嬉しいものだと私は思いますが、なぜか嫌う人がいるのも事実です。
SSBに多い傾向がありますから、多分カード集めやアワード取得のみを目的にしている人だと思われます。
私にはどうにも理解できません。
◆近距離を嫌う
CQ呼出をして近距離の局が応答すると、たいへん迷惑そうな言動をする人がいます。
「カードはノーカードにして下さい」といって早々に交信を打ち切ってしまいます。
その後に他エリアから応答があると「○○県○×郡の局長さん応答ありがとうございます。
・・・ぜひともカードのご交換をお願い致します」
・・・といった具合に態度が急変します。だったらエリアを指定してCQ呼出すればよいのに。
◆既に交信済の地域を嫌う
JCC等のアワードを狙っている人だと思いますが、既に交信済の市郡区から応答があると、これまた迷惑そうにする人がいます。
自分が交信済だからといって相手は初めての地域かもしれません。
私の運用場所は横浜ですので最も嫌われる地域のようです。
私が横浜と言ったとたんに、相手がガッカリする様子が声から伝わってきます。
 
いずれの場合も遠距離通信や各種アワード目的の交信だと思いますが、ハムとしては情けない態度です。
もっとおおらかな気持ちで交信を楽しみましょう。

  




 


12.コールサインで差別する
コールサインはプリフィックス(国をあらわす英数字とエリア番号)とサフィックスの組合せで、世界に一つしかありません。
サフィックスはアルファベットの組合せで、Aから順番に割り当てられます。
CAT、DOGといった動物ものやNHK、TBSといった放送関係、BMW、NTT、NECといった企業もの、
TVI、BCIといった嬉しくないものや組合せによっては舌をかみそうになるものまで様々です。
そういったことを親しい仲間同士で話題にするのも面白いと思います。

しかし、アマチュア無線ではプリフィックスによって上下関係を決めてしまう悪い習慣があります。
古いコールサイン=偉い人、7L4=ザコ。
アマチュア無線は年齢、性別、職業等に関係なくすべて平等です。
古いコールサインの人は確かに多くの経験をしている人が多いと思います。
だからといって偉い偉くないといった次元ではないのです。
「7コールのくせに!」というような表現をする人もよくいます。
7がつく局を散々見下した態度をした人が、その後にJA・・・という局が応答すると「○○大OM様、今後とも宜しくご指導のほどお願い申し上げます」などとまるで天皇陛下でも出てきたかのように奉る。
サフィックスが2文字の局でも出るともう神様扱い。それに対して得意満面になっているOMもどうかと思うが。
こういった風潮がはびこり、「セブンコールは嫌だ」とか「Jコールがほしい」などと本気で小さくなっている人もいます。
コールサインなんて単に順番に割当てられるだけですから、
早く生まれたか後で生まれたかの違いぐらいに思って気にする必要は全くありません。
コールサインによって態度が変わるのは、ハムとしては恥ずかしいことです。
評価すべきはそれぞれの局の中身なのです。
どのコールサインも世界でただ一つのものですから、堂々と誇りを持って運用してください。
また、7コールが嫌だからと、わざわざ他エリアのコールサインを取得する不届き者もいます。
妻の実家だとか親戚がいるとかで、自分は住んだこともないのに他エリアのコールサインにポータブル1を付けてJコールだと得意になっています。
なかには既に1エリアのコールサインを持っているのに、他エリアのコールサインを新たに取得する者までいます。
それに1エリアの常置場所で運用しているのに、わざわざ他エリアのコールサインを使いポ−タブル1などというのはどうにも理解できません。

ハムの粗製濫造の結果、コールサインを使い果たしてしまい、閉局したものの再々割当てが始まっています。
これは、永くやっているハムにとっては、同じコールサインなのに過去に交信した人物と違う人が運用していることになり、ログ管理で不便な面もあります。
でも、今回から「JA」も再割当てされるので、コールサインでは初心者とベテランの区別ができなくなります。
その点では、コールサイン信仰というものが薄らいでくると思うので、かえってよいのではないでしょうか。
実際に「JA1・・・」という小学生らしき声を聞くと微笑ましく想います。


             



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