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紹介したい資料

成長の限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート

ドネラ H.メドウズ (著)

マクロな予測としての価値は、これから試されます

しかし、この本が書かれた当時に予想できなかった事態も含めて、見通しは的確だったと思います。

文明を持たない人間。という設問はナンセンスです。その文明の現状と、行く末の大きな展望を示し、解決策をも示唆したこの本は、人類史に残る一冊となる可能性が強いです。

著者のお一方とお話しすることができ、感銘をうけた1人として、自分のやるべきことを考えています。「成長の限界」の評価


市場の倫理 統治の倫理 (ちくま学芸文庫) 文庫

ジェイン ジェイコブズ (著)

素晴らしい本です。

この本の倫理を軸に歴史を読み解けば、人類の社会の自画像の大幅な書き換えが可能と思われます。

その自画像は、知性的でなく、単なる生物としての都合でできあがってしまったもので、本質的に不完全であることがわかります。

大変参考になりました。 二つの倫理 解題


火山と原発――最悪のシナリオを考える (岩波ブックレット)

古儀 君男 (著)

画期的な本だと思います

多くの人にすすめたいと思います。

しかしながら、日本以外にも巨大火山があり、その場合の海外の原発への影響を考えると恐ろしいです。また戦争などで原発が標的となった場合の被害想定も、この本の描いた地獄絵図と重なることでしょう。

もはや原発は人類にとって、とほうもない重荷になりつつあるのかもしれません。 世界の火山 VEI7と8


黙って寝てはいられない

小泉 純一郎 談 (著), 吉原 毅 編 (編集)

 興味深く、読ませていただきました。

 自分なりに信念をもって突き進んだ政治家の、最後の仕事として高く評価したいと思います。

 現役のときは、ブレーンの言うことを参考にするしかないので、功罪あい半ばしてしまいましたが、自分の任期にしがみつかなかったのはプラスです。

 原発についての意見はもっともなものだと感じます。

 ただ、補足するなら、原発はさまざまなエネルギーミックスの一つとしてなら使用できますが、けっして決定的でも致命的でもない多くの選択の一つでしかなく、太陽光発電や風力発電が採算とれる段階にきたら、消滅するべき存在になりました。

 原発の実用上最大の欠点は、出力調整が難しく、災害時にはまっさきに止まるということです。つまり夜間でも出力がおとせない、言い換えれば夜間に電気を使わなければ必要ないのです。

 また、突然出力ゼロになる場合があるので、バックアップできるだけの容量をもった火力や水力を平時は遊ばせて待機させねばならないということです。太陽や風力なら設備が多数ですから、ブラックアウトは起きません。

 原発はテロや戦争となれば真っ先に標的になるでしょうし、巨大噴火など3.11以上の自然災害がありうることを考えればあまりにリスキーでしょう。想定外がこれですんだと思ったら大間違いです。

 このあたりを書いてくだされば決定的なダメ押しになったと思いました。日本原子力の終焉   エネルギーミックス


図説 アルプスの少女ハイジ (ふくろうの本/世界の文化)

ちば かおり (著), 川島 隆 (著)

私も参加して、ハイジの日本における歴史の文を担当させていただきました。

楽しかったです。主著者のお二方は、今後も研究をすすめていただけるでしょう。心強いです。

よろしくお願いいたします。 研究サイト「ハイジという物語

また、現在スイスの国立博物館に、このハイジ研究会の資料であるセル画を貸し出しして展示されています。複数のセルを交換しながら数年間紹介されるそうです。


がん治療革命 「副作用のない抗がん剤」の誕生

奥野 修司 (著)

 私もがん患者として、なんとかしたいと模索を続ける一人です。
 生きたいという、あまりにつよい願いにたいして、あらゆる情報、物品が用意されて市場を形成しております。
 命がかかっていれば、すべてをつぎ込んで仕方がないという、いわば究極の弱みがあるのです。
 そのニーズというか、脅迫に対する玉石石混交のあざといと思える商品さえ次々目にする日々で、強いうとましさを感じております。

 その中で、この本には、「こんなに複雑だと知っていたらガンを研究対象に選ばなかった」というアメリカの学者の素直な言葉が収録されていて、さわやかに感じました。この本を書いていただき、ありがとうございます。
 この本のえがく近い将来ではガンは制圧されているはずですが、その世界は実現するのでしょうか。それともまた医療はガンに敗北するのでしょうか。どちらにせよ、私にはその結末までつきあう時間はなさそうなのが残念です。


日本教の社会学

小室 直樹 (著), 山本 七平 (著)

名著です

この本を手に入れたくて、図書館で借りて、やがて全文をパソコンに手入力しました。
インターネット登場前でしたから、古書を探そうにも探せない時代でした。

しかし平易に描かれていますが、思考回路を組み替えないと理解できない難解な本でもあります。
それで、自分なりの解説サイトを作ったりもしました。

ついには山本七平のご家族とも知り合えて、いろいろお手伝いもさせてもらいました。私の人生を変えた一冊です。


宗教からの提言: なぜ他人の評価が気になるのか Kindle版

山本七平 (著)

元の名前は「宗教の発見」のはずでした。

山本書店の「宗教からのよびかけ」の再刊です。実は私がすべてデータを入力して編集した本です。

現在、多数発売されている山本七平の再評価のきっかけになったと思っています。

山本七平は評論家として守備範囲は広いのですが、その根幹には当人の宗教意識、把握、確信があります。

それをいくつかの作品を組み合わせることで表現しようとしました。題名は、やむをえない事情で「宗教からのよびかけ」という困った名前になり、売れませんでしたが、新しい読者が得られることを願っています。内容は高度だと思っております。


山本七平のイエス伝: なぜイエスの名はこれほどにまで残ったのか ...

山本七平(著)

元の題名は「山本家のイエス伝」山本書店刊です。
他のレビューに、山本七平ご本人の作品かどうか疑問を書かれていますが、基本的にご本人の作品で間違いありません。
冒頭の イエスとの邂逅  は1977学研 図説聖書の世界1 の序文から、文体を変更し、文を一部削除したものです。

この本の編集は、未亡人の奥様と、ご子息が行いました。作業中、たしかに改変への反対意見もありました。しかし内容の変更はありません。
また、山本書店刊版では、ご子息の文がかなり追加されていましたが、この版では削除されました。

「悪魔の揺曳」は、山本七平研究に欠かせない一文で、著者の精神世界の根幹にふれるものです。
この文と、「イエスとの邂逅」の二つが収録されているので、山本七平ファンには必読の本と思われます。