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◇争点の解説1 事実認定と共同不法行為
中国人強制連行・強制労働の事実を司法が認定するかどうかはこの裁判の最も基本的な試金石です。何故なら、従来の戦後補償裁判は、個人請求権の有無、国家無答責、時効、除斥期間等の厚い法律上の壁に阻まれて、事実認定さえ行わなかった判決が多く見られたからです。また、国は一切事実認否をせず、企業はむしろ積極的に事実を争う態度を取っており、裁判所に事実認定をさせることはそれ自体意味があります。また、国がこのような態度を取るのも,歴史的事実の存否が今わが国の歴史上の論争になっているからで、さらに、裁判所がその法的責任の有無を判断するに当たっては,事実の存否を問わざるを得ないという構図をもっている点からも、事実認定は第一の大きな争点です。
企業の陳情
中国人強制連行・強制労働政策は、一九四二年(昭和一七年)の閣議決定に基づくものですが,企業の責任も免れることはできません。石炭鉱業連合会と金属鉱業連合会は、一九四一(昭和一六)年八月一四日に両連合会会長の連名で、「鉱山労務根本対策意見書」を企画院総裁、商工大臣、厚生大臣に提出し、その中で、「朝鮮農村に於ける農耕技術の改良農業集約化等を計り之に依り生ずる半島人労働力の内地移入に一層の努力を為すこと」というそれまでの主張に加え、「更に支那苦力の移入に付ても積極的に促進することを要すること。但し苦力の使用は社会上保安上其の他の見地より鉱山以外の産業を先にするものとす」「右苦力に対しては各種労働立法に拘泥せず特殊管理を断行するの要あり」という要求を国に行なっています。
共同実行意思の確認…「閣議決定」と官民合同の現地調査
一九四二(昭和一七)年一一月二七日、政府は「華人労務者内地移入ニ関スル件」を閣議決定しました。そして、一九四四年の「次官会議決定」は、「供出又ハ其ノ斡旋ハ大使館現地軍竝ニ国民政府(華北ヨリノ場合ハ華北政務委員会)指導ノ下ニ現地労務統制機関(華北ヨリノ場合ハ華北労工協会)ヲシテ之ニ当ラシムルコト」と指示しています。
強制労働
強制労働の共同不法行為はいうまでもありません。苛酷な労働の強制、虐待、非人間的取り扱い、長期にわたる自由の剥奪、拘束、すべてこれらはILO強制労働禁止条約に違反します。国は、中国人の企業への配置と国策目標量生産の指揮、監督、督励を行い、企業に対する「国家総動員法」上の地位に基いて、企業に国の定める目標量の生産を命ずるとともに、各事業場の管理に当たり、また、そこで働く労働者の労働に関し企業に命じて従業規則を作成させ、労務管理官による生産確保のための指揮、命令をこれらの事業所に対して行ないました。また、国は軍需会社法を制定し、軍需会社に指定された企業では、公法上の指揮権をもつ「生産責任者」「生産担当者」の指揮権に従って職員その他の従業員は就労します。そして、主務大臣は軍需会社に対して具体的な労務管理に関して命令を発したり、政府が従業員の懲戒処分を生産責任者や生産担当者によって行うことができました。国は、労働者の使用や解雇、給与、懲戒などの具体的な労務管理を自ら行うことができました。したがって、国は、軍需会社法によって軍需会社に指定された企業で就労した中国人に対してはまさに雇用主体として、またそうでない企業で就労した者に対しても、国策として立てた生産目標量確保を企業に行わせることを介して、労働を督励し、強制したのです。以上に述べた加害行為は、国と企業との共同意思の下に行なわれたものです。
加害企業に対する戦後の補償
中国人被害者は、そのほとんどが賃金その他の手当て補償金を受け取っていません。しかし、他方で,国は強制労働を行った加害企業に対して手厚い補償をなしました。企業の側も戦後直後から国に対して国家による補償金を獲得するべく働きかけを行っていました。
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