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強制連行長野訴訟 長野地裁 判決に対する弁護団声明

中国人強制連行強制労働長野弁護団

1 2006年3月10日、長野地方裁判所は、提訴後8年余を経て、中国人強制連行強制労働長野訴訟に関し、被告国及び被告鹿島建設、大成建設、飛島建設、熊谷組に対する請求について、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。

2 判決は、中国人強制連行強制労働について詳細な事実認定をした上で,被告国と被告各企業が共同して行ったものであることを明確に認定した。このことは高く評価することができる。
しかし、判決は、被告国と被告企業の共同不法行為を認定しながら、結論において両者の法的責任を否定したことは、人権救済の砦としての裁判所の機能を放棄するものであり、不当判決と言わなければならない。

3 判決は、国の責任について、「国家無答責」法理の適用によりその責任を否定した上、国及び企業の責任について「除斥期間」の経過により、両者の責任を免責したことは、正義公平の理念を無視した形式論であり、非難を免れない。
また、被告企業の責任について、企業の安全配慮義務そのものを否定したことは,これまでの他の中国人強制連行強制労働事件の判決を後退させるものであり,極めて遺憾である。
しかし,裁判長の個人的見解として,一人の人間としては救済しなければならない事件である旨述べた。これは裁判官が本件の事実に直面し,その救済の必要性 を認めたものということができる。そうだとすれば,そもそも裁判官の良心に従い原告勝訴の判決を出すべきであった。

4 長野訴訟においては、7年余に及ぶ審理を経て、昨年5月20日の結審と同時に裁判所は和解勧告を行い、結果として被告らの和解拒否により和解成立には 至らなかったものの、日中双方の合意のもとに、個別企業毎の基金創設による解決を提案したことは、中国人強制連行強制労働の被害者全体の解決へ向けた試み として大きな意義を有するものである。
国および被告企業は、長野地裁を含む全国各地の裁判所が強制連行強制労働の事実を認定したことを真摯に受け止めなければならない。時の経過をもって責任を 免れたとしても、その政治的道義的責任は免責されるものではない。今後、戦後60年の節目を経て、なおこのまま未解決の状態が続くとすれば、日中関係を改 善する機会を失うことになりかねない。また、被告企業を含む日本の企業が、今後一層、中国での経済活動を発展させていくうえで、中国人強制連行強制労働事 件を解決しておくことは不可欠なはずである。特に、今後近く中国国内において、中国律師らにより、被告企業を含む加害企業に対し、本格的な訴訟が始まるこ とが予想されることからすれば、被告企業にとっても、もはや解決を先延ばしにすることはできないはずである。
国および被告企業に対し、速やかに全体解決へ向け、具体的に取り組むことを要求する。

5 私たちは、全国各地の中国人強制連行強制労働事件の弁護団、中国律師、被害者らと協力し、国および被告企業が事実を認め、中国人被害者に対する謝罪と賠償を行い、全体解決がなされるまで、法廷の内外において闘うことをここに声明する。

2006年3月10日

 

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