今更のPentiumV
-いわゆる当たりCPUの発熱とは-
LastModified 02/10/14
「俺のツラに色をつけたのは、お前で3人目だぜ。前の二人は墓の下でおネンネしてらぁ」
(野口 博志監督 「拳銃無頼帳 抜き撃ちの竜」より)
チッチッチッ・・・3つどころか、SL2W8に始まってこの1年で4.5倍速設定のCPUだけで一体いくつ買った事やら覚えてもいねェぜ・・・・ま、別に墓場に送った訳じゃねえがな(笑)
という訳でまたも新しい4.5倍速CPUです。前のSL3CCでも600MHz常用はできていたので特に不満があった訳でもないのですが、Vio=3.74Vでないと安定しない事と、620MHzにかなり厚い壁があり、これがCPUに起因するものか、他の要因によるものかという部分が引っ掛かっていました。そんな時に、評判のいいNEC
4ns のL2cash の載ったSL35Dを通販で見て、気が付くと2日後に届いていました。(爆)
最近(99.10.17現在)ではAthlon が高いパフォーマンスを示し、Coppermine
も発表直前の昨今、今更の感もあるPenriumVP3-450
ですが、しつこく発熱傾向を[今時のP3-450]同様に懲りもせず測ってみました。
恐らくは私にとって最後の4.5倍速CPUになるこのSL35D。SL3CCに対してどの様な傾向をみせてくれるのでしょうか?
1 SL35D
という訳で買ってしまいました。ほんま経験の生きない奴・・・

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SL35D 99220245-XXX COSTARICA
L2 NEC D432836ALGF-A40
Tag S324594D L914IC72 SL3F5 INTEL |
前回のSL3CC同様に、Vcore を 2.0, 2.1,
2.2, 2.3V に変化させて各動作clock
での発熱状況を図ってみました。今回はバルクですので、リテールファンはなしです。ただ前回の実験があまりにもしんどかったので、今回は冷却方法はTAKA100のみです。固定方法は当然ながら、グラファイトアダプタとカスタムバックプレートを使用しています。
ま、これでも結局動作条件としてはclock 20種 x Vxore 4種 の80種類の動作状況チェックですのでしんどい事には変わらないっす。しかし、今回は Turbo.PLL01外部コントローラというつよ〜い味方がいました。いやあ、全然違いますねぇ〜。
Clockを変える度にケースの中にドライバを突っ込んでチマチマとロータリースイッチを変えていた事を思うと夢の様です。Superπを流してはグリグリ、流してはグリグリ・・・。鼻歌まじりにやっていたら、終わってしまいました。
2 実験方法
CPU |
SL35D 99220245 COSTARICA Vcore=2.0,2.1,2.2,2.3V Vio=3.5V |
M/B |
ABIT BX6rev2 with TurboPLL01+外部コントローラ |
Cooler |
TAKA100 |
OS |
Windows95 OSR1 |
グリス |
PGSグラファイトシート |
1. ケースは開けた状態とする。
2. 温度計測は以下の4点
室温、CPUコア横、ヒートシンク(以上全てサーミスタによる)
BX6rev2 のW83782D の機能によりコア内部サーマルダイオードより内部温度読み取り
3. 計測条件:Superπ52万桁を実行し、終了時点での温度を計測。
温度計測後、Turbo.PLL01を外部コントローラにより操作し動作clockを変更。
検証方法が Superπ52万桁でしかないので、これをもって安定動作等という気は毛頭ありません。
あくまで発熱の1傾向を見る為の手段とお考え下さい。(80パターンもあるんで^^;)
ただ、限界clock においては、SuperPI100万桁及びFinalRealityが実行可能である事は確認しています。
3 実験結果
これは私の環境における結果であり、ケースや使用機器により変わってくることはご了承願います。
測定した生データついてはこちらをご参照下さい。ここでは、コア横及びコア内部のデータのみ表示します。(塗り潰しているのは、Windows起動限界です)
尚、測定時の気温については25〜26℃の範囲で変動していますが、今回は評価する温度域が広いので測定温度のまま扱います。
TAKA100 |
コア内部 |
コア横 |
2.0V |
2.1V |
2.2V |
2.3V |
2.0V |
2.1V |
2.2V |
2.3V |
450 |
35 |
37 |
38 |
40 |
31.4 |
32.5 |
33.5 |
34.2 |
460 |
36 |
38 |
39 |
40 |
31.9 |
32.8 |
33.3 |
34.0 |
470 |
37 |
38 |
39 |
40 |
32.4 |
33.0 |
33.3 |
34.0 |
480 |
36 |
38 |
40 |
41 |
32.1 |
32.7 |
33.7 |
34.4 |
490 |
36 |
38 |
40 |
41 |
32.0 |
33.0 |
33.7 |
34.4 |
500 |
37 |
38 |
40 |
41 |
32.7 |
33.2 |
34.0 |
34.7 |
510 |
37 |
39 |
40 |
42 |
32.7 |
33.3 |
34.0 |
34.5 |
520 |
37 |
39 |
40 |
42 |
32.5 |
33.6 |
34.0 |
35.0 |
530 |
38 |
39 |
41 |
42 |
33.0 |
33.5 |
34.4 |
34.7 |
540 |
38 |
39 |
41 |
43 |
33.3 |
33.5 |
34.5 |
35.0 |
550 |
38 |
40 |
41 |
43 |
33.0 |
33.9 |
34.7 |
35.1 |
560 |
38 |
40 |
41 |
43 |
33.0 |
33.9 |
34.9 |
35.0 |
570 |
39 |
40 |
42 |
43 |
33.5 |
33.7 |
35.1 |
35.0 |
580 |
38 |
40 |
42 |
43 |
33.5 |
33.6 |
35.0 |
35.2 |
590 |
38 |
40 |
42 |
43 |
33.5 |
33.9 |
34.9 |
35.5 |
600 |
40 |
40 |
42 |
43 |
33.7 |
34.2 |
34.9 |
35.4 |
610 |
39 |
40 |
43 |
44 |
33.9 |
34.0 |
35.1 |
35.7 |
620 |
40 |
40 |
42 |
44 |
34.0 |
34.0 |
35.2 |
35.9 |
630 |
40 |
41 |
43 |
44 |
34 |
34.5 |
35.4 |
36.1 |
640 |
40 |
41 |
43 |
44 |
34 |
34.9 |
35.5 |
36.2 |
650 |
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4 考察
(1) 動作限界について
動作限界はVcoreに関わらず640MHz迄です。しかも、650MHzでは、BIOSすら上がってきません。(T_T)
(640MHzの段階で、BIOS表示は550MHzとかになっており既に動作が怪しい^^;)
VGAの線もあるとみて、ビデオを古の名器 #9 Motion771 PCI (S3 Vision968)
に変えてみましたが変化ありません。どうやら、マザーボード Abit
BX6rev2 の限界の様です。
(2) Vcoreの増加による発熱
Vcore=2.0〜2.3Vによるコア内部温度変化を見ると、450MHz
で5℃、640MHzで4℃程度です。 確かにVcoreの昇圧により温度は上昇していますが、言う程のレベルではなさそうです。
(3) 動作clock による発熱
CPU内部温度のグラフを見るとリニアに上昇しているのがわかります。今回もある
clock を境に急激に上昇するという事はなさそうです。450〜640MHzに上昇させる事で、Vcore=2.0Vの場合は5℃、Vcore=2.3Vの場合は4℃、コア内部温度が上昇しています。こちらの場合も、そうたいしたことなさそうですね。
Vcore,clock
の上昇における発熱の傾向はほぼ同様といえるでしょう。ほぼリニアな上昇傾向を見せます。
(4) コア横とコア内部の温度差について
Vcore=2.0V 450MHz では 3.6℃、Vcore=2.3V 640MHz では 7.8℃の差になります。Clock,Vcoreの上昇等によって温度差は広がる傾向を見せます。つまり負荷の増大によって、CPU内部での温度分布が変わってしまうと言えます。(コア内部の発熱のみが増大する)
(5) SL3CCとの比較
それでは、今回のSL35Dと、前回のSL3CCに比較をしてみます。この2つのCPUはVcore=2.0Vでの動作限界はが、SL3CCは590MHz、SL35Dは640MHz(後述の通り
AX6BC TYPE-RVspecUでは666MHzでの動作を確認)とその限界耐性は大きく異なっています。
以下に、Vcore=2.3V時のコア内部温度の比較グラフを示します。しかし、一言ここでお断りしなければなりません。コア内部温度を測定するサーマルダイオードは一個ずつその特性が異なり本来、絶対温度で比較する事はできません。
同じCPUを使い、冷却方法の効果を見るといった相対的な比較(これまでのContentsでやってきた様な)には使用できても、2つのCPUで特性を比較するという事をしてはまずい訳です。今回は、CPUに通電しない状態でコア内部温度測定回路に接続した結果、両方共ほぼ室温を表示するという結果を得られたので、まあ同じ様な特性だろうという事で敢えて表示しています。参考データ程度にお考え下さい。

これを見ると意外な事に、SL3CCの方が若干低めになっています。まあ、前述のサーマルダイオードの特性の違いを考えるとほとんど誤差範囲内と言えるでしょう。この結果を見る限りでは、
限界の高いCPUが特に発熱が少ないという事はない
と言えそうです。
よくWEBでの報告を見ると、当たりCPUをGetされた方のコメントとして「発熱も少な目みたい」というのが見られます。ただ、その割には温度の記載がなかったりするので以前より疑問に思っていました。最近のCPUは発熱も少なく、高性能なCPUクーラを使った場合のヒートシンクの温度は30℃程度と体温より低くなります。その辺りの領域では体感による判別ははっきり言って無理ではないでしょうか?
今回入手したSL35Dが当たりかどうかの判断は見て頂く方にお任せしますし、たった2個の比較では説得力がないのを差し引いても、
同じプロセスルールで製造されたCPUであれば発熱もほぼ同様ではないか
とういうのが四万十川の結論です、
5 このCPUの可能性
とまあ、上記条件で動作検証を行ってきましたが、限界の見極めに歯切れの悪さが残ります。
Vcore、Vioに関わりなく640MHz近辺から急激に動作が怪しくなり、650MHz
ではBIOSすら起動しなくなります。635 MHz では Vcore=2.0V
で超安定に使えるのにです。
VGAをPCIにしても動作は同じことからするとSPECTRA5400の問題とも思えません。どうやら、Abit
BX6rev2
のメモリバッファが悪さをしてきた様です。長らく使ってきましたが、そろそろ見限る時が来た様です・・・・・
後日談
マザーを Aopen AX6BC TYPE-R VspecUに交換した所、Vcore=2.0Vにて666MHzでの起動に成功しました。まだ余裕はありそうです。この話はまた後程・・・・
6 独り言
さて、如何だったでしょうか?
外部コントローラのお陰で前回に比べるとえらく楽に終わってしまいましたが、結果としてはなかなか面白い結果が出たと思っています。再三言っていますが、CPUは個体差が大きいので今回の比較で傾向を読みきったと言ってしまうには無理がありますが、「たいして発熱はかわらない」という結果には妙に説得力ありませんか?
それじゃ、発熱が同程度で高Clockで廻るCPUって一体何なんだ!?
といえば何なんでしょうね、ほんまに?
「いいかい中佐。この世の中は万能の神様が、頭がどうかしている時に思いついた
下手な冗談にすぎないんだ。神様は多分その朝二日酔いだったんだろう」
(ジャック・ヒギンズ著 「鷲は舞い下りた」より)
って事は、Intel はこの1年程毎晩飲みっ放しって事みたいですな^^;
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