CANOPUS SPECTRA5400PE AGP限界の謎
LastModified 02/10/14
「いい加減に勝負をつけようや。やるやるっていつまでもやらないと信用にかかわるからな」
(by エースの錠)
という訳でもありませんが、開設以来3ヶ月近くCommingSoonのままだったSPECTRA5400です。5月末に買ったばかりだというのに、気が付くと9月にはNV10が出るとか出ないとか・・・・。
世間様はG400MAXの話題一色の昨今いまさらの感はありますが、AGP耐性が弱いと言われるSPECTRA5400PEのAGP限界を私なりに調べてみました。
さて、SP5400PEは本当にAGP限界が低いのでしょうか?
尚、メーカの定格を超えた領域での話ですのでボードの個体差もかなりあると思います。全てのSP5400PEのAGP限界がこれだ!と言う気はサラサラありませんので、その辺りはお含みおき下さい。
1 SPECTRA5400PE

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今更説明する必要もないでしょう。
SPECTRA5400PEです。PWR123P以来のCANOPUS野郎の四万十川としては。ほぼ発売と同時に購入しました。SL2U7による600MHzを達成したばかりの我がマシンに組み込んでビックリです。Win98
ではDirect3D系が全滅です。550MHz付近までClockを落とさないと実行できません。流石にこれにはガックリきました。しかし、不思議な事にWin95OSR1(Win95,98,NT,FreeBSDをSystemCommanderでマルチブートしています)では600MHzで何事もなくDirect3Dが実行可能なのです。どうやらAGPfunctionの利用に問題がありそうだと感じました。ちなみに、付属ファンのグリスは「やってはいけない見本」の様にベッタリ塗ってあります。必ず塗り直しましょう。 |
製品添付版のドライバにおけるDirect3Dの動作可能限界(Win98)は
552MHz(FSB=123 MHz, AGP2/3=81.7MHz)辺りでした。しかし、徹夜で格闘した結果
AGPapartureSize をデフォルトの 64MB から 4 MB に変更した所、600MHz(FSB=133MHz,
AGP2/3=88.6MHz)で動作させる事が可能となりました。
AGPの動作に問題があるのであれば、メインメモリにとるTexture領域(AGPapartureSize)を小さく制限すれば、AGPが機能しなくなるだろうというへ理屈からでしたが、事の真偽はともかく動く様になった訳です。
ところが、99.6.23付ドライバ<Ver4.11.01.0191-3.02.02>で状況が一変します。付属ユーティリティによるサイドバンド転送OFFのみの設定で600MHzで動く様になったのです。WEB上では、同様の設定でFSB=133MHz
で使われている方を多く見受けます。(6.23付けドライバではAGPapartureSize=4MB
に設定すると却って 3Dmark99MAXでエラーが出る現象がありました。現在のドライバではその現象はなくなっています。)
まあ、FSB133MHzに追従するのですから決して限界が低い訳ではないでしょうが、一旦流れた風評は覆し難く、現在でも[SP5400PEはAGP限界が低い]という事になっているみたいです。
1999.8.23追記
手持ちの資料によれば、PCIはアドレス、データの時分割転送ですが、AGPはアドレス線を8本追加してハードウェアで分離できます。これをサイドバンド転送(SideBandAdressing)と呼ぶそうな。これだけを見れば、OFFにする事でパフォーマンスにかなり影響がありそうです。しかし、AGPによるTexture転送が有効であれば、なんでメモリを32MBも積んでるんだという素朴な疑問が・・・・それに32MBものTextureを使うような無茶なゲームってのもまだなさそうですしね^^;
2 調査条件
CPU |
SL3CC 99240970-0074 MALAY Vcore=2.1V Vio=3.74V |
M/B |
ABIT BX6rev2 with
TurboPLL01 |
Cooler |
TAKA100+ペルチェ |
OS |
Windows95 OSR1, Windows98(標準設定、サイドバンド転送OFF、AGPaparturesize4MB) |
グリス |
PGSグラファイトシート |
ドライバ |
1999.7.27付
<Ver4.11.01.0208-3.11.01> |
AGP設定は 1/1 とする。
FSB=120MHz 以下ではPCI 1/3、FSB=120MHz以上では PCI 1/4
設定とし、PCI=40MHz(安定動作実績有)以上とならない様にする。
2D限界判定基準 : Winbench98
HighendGraphicWinmark をエラーなく実行可能な事。
3D限界判定基準 : FinalReality、3DmarkMAX99(lite)をエラーなく実行可能な事。
上記設定において、Turbo.PLL01により FSB(=AGP)を最小2.2MHz刻みで変化させ、限界を探っていきます。CPUは600MHzまで動作可能実績があるので、理論的にはAGP1/1(=FSB)だと133MHz、AGP2/3換算で199.5
MHzまでの調査ができる事になります。
3 限界調査
1. OS及び設定によるAGP限界
SP5400
AGP1/1(=FSB)設定 |
Win95 |
Win98
(標準設定) |
Win98
(サイドバンド転送OFF) |
Win98
(AGPaparturesize4MB) |
2D限界 |
AGP |
122 |
95.5 |
122 |
122 |
PCI |
30.5 |
31.8 |
30.5 |
30.5 |
3D限界 |
AGP |
120 |
82.2 |
124.4 |
120 |
PCI |
40 |
27.4 |
31.1 |
40 |
2. Vio による影響
CPU L2cash の為にVio を 3.74Vまで昇圧させていますが、これはAGPにも供給されています。その喝入れ効果がSP5400PEにも出ている可能性がるので、Vioを3.4Vまで落として限界の再チェックを行いました。(CPUclockは、550〜560MHz程度の領域なので。Vioを落としてもL2cashは問題なく動作可能です)
結果として限界周波数に変化は見られませんでした。Vioの昇圧はAGP限界の変化には影響がないと言えそうです。
3.CoreClock による影響
PowerStrip により CoreClock 150→100MHz, MEMclock 183 → 100 MHz
へと思いっきり落として限界の変化を見て見ました。若干高い周波数までFinalRealityのみ実行可能となったりという現象は見られましたが、非常に不安定で有意な限界上昇は見られませんでした。
4. AGP 1/1, 2/3 による影響
上記は全てAGP1/1による調査ですが、その結果がそのままAGP2/3に反映されるのか?
CPUの動作範囲内で唯一 AGP2/3 設定で限界が現れる筈のWin98(標準設定)でAGP限界を確認しました。(他はAGP1/1で120MHz付近なので、AGP2/3に設定するとFSB180程度となってしまう為
< そんなFSBで動くかっつーの)
Win98(標準設定) 3D限界 |
AGP1/1 |
AGP2/3 |
2D動作 |
3D動作 |
限界 |
AGP |
82.2 |
○ |
○ |
FSB |
82.2 |
123.3 |
限界以上 |
AGP |
84.4 |
× |
× |
FSB |
84.4 |
126.6 |
結果として、AGP1/1 の場合もAGP2/3
の場合も、AGP限界周波数は全く同じでした。
5. 設定によるパフォーマンスへの影響
設定によるパフォーマンスへの影響を見る為、CPU = 554MHz (AGP2/3
=82.2MHz PCI1/4=30.8MHz)における3DmarkMAX99
の結果を比較してみました。うっかりVsync ON
で計測してしまったので、結果については相対値とお考え下さい。(PCIもダウンクロックしてますしね^^;)
Test |
win95 |
win98
(サイドバンド転送OFF) |
win98
(標準設定) |
Resolution |
800*600 |
Color Depth |
16-bit Color |
3DMark Result |
4665.22 |
5442 |
5446.57 |
Synthetic CPU 3D Speed |
5409.64 |
8702.27 |
8665.33 |
Rasterizer Score |
2362.71 |
2360.75 |
2362.26 |
Game 1 - Race |
45.33 |
56.9 |
56.85 |
Game 2 - First Person |
48.05 |
52.15 |
52.27 |
CPU Optimization |
Intel(r) processor |
Intel(r) Pentium(r) III |
Intel(r) Pentium(r) III |
Fill Rate |
239.45 |
237.25 |
237.31 |
Fill Rate With Multi-Texturing |
232.01 |
231.48 |
231.57 |
2MB Texture Rendering Speed |
398.41 |
398.34 |
398.65 |
4MB Texture Rendering Speed |
275.1 |
275.34 |
275.52 |
8MB Texture Rendering Speed |
166.6 |
166.45 |
166.67 |
16MB Texture Rendering Speed |
108.03 |
108.38 |
108.39 |
32MB Texture Rendering Speed |
32.05 |
57.13 |
58.61 |
Bump Mapping Emboss, 3-pass |
103.99 |
106.92 |
106.87 |
Bump Mapping Emboss, 2-pass |
127.06 |
131.64 |
131.46 |
Bump Mapping Emboss, 1-pass |
207.4 |
219.48 |
219.01 |
これを見る限りでは、サイドバンド転送のON-OFFによるパフォーマンスへの影響はほとんどないと言えそうです。Win95
の成績が悪いのはSSEへの Optimizationが効いていないせいだと思われます。
4 考察
以上の結果より、SPECTRA5400PEのAGP限界について以下を結論とします。
サイドバンド転送ONによる、2D限界は95MHz、3D限界は82MHz
付近である。
サイドバンド転送OFFによる、2D限界は122MHz、3D限界は124MHz
付近である。
サイドバンド転送のON-OFFによるパフォーマンスへの影響はほとんどない
Win95 とWin98サイドバンド転送OFFの傾向がほとんど同じ事を見ると、どうやらハードウェアとしての限界がAGP122〜124MHz付近にあるのではないかという気がします。まあ、AGP2/3
設定で使えば FSB=180 MHz
辺りまで使える事になるのですが、なんか嘘臭いですねー。本当であれば、AGP限界が低いとも言えないと思うのですが・・・・
一連の経緯を見ていると、AGPのソフト的な利用(ドライバ)の影響が大きい様に思います。ドライバのCANOPUSの面目躍如といった所でしょうか。
1999.8.23追記
bunnyさんの検証では、サイドバンド転送OFFにてFSB143(AGP2/3=95.3)がアウトだったそうです。しかしAGPaperture=4MBにてFSB148MHz(AGP2/3=98.6)でもDirect3Dが通ったとの事。また倍率の違うCPUによりAGP限界が変動するという現象もみられたとの事です。(まあ、bunnyさんの場合、クリスタル交換に強烈な冷却までされておられるのであまり一般的な例ではありませんが^^;)
もしかすると、AGPカード単体の限界によって決まるのではなく、CPU,
440BXといったトータルな耐性(個体差)の影響を受ける可能性はある様な気がします。また、AGPも440BX内部では仮想ホストPCIブリッジを介して
PCIバス#0 に接続されているので、PCIクロックの影響を受ける可能性もあるのかもしれません。色々考えてると、訳わかんなくなりますね^^;
とりあえず私の現在の環境においてはサイドバンド転送OFFのAGP2/3設定において、FSB143.3(AGP2/3=95.3)での3D動作を確認できています。(FSB143.5 AGP2/3=95.7ではFinalRealityのみOKで、3Dmarkがエラーをおこします。しかし、SuperPIでもエラーが起こるのでCPU,Mem周りがネックの可能性大です・・・・多分BX6rev2だな^^;)
「自分の所ではここまで動いたよ」という方がおられましたら、是非ご一報下さいm(__)m
まあ、WEBでの例を見る限り、サイドバンド転送OFFであれば、FSB133(AGP2/3=88.7)は確実な線だと思います。
1999.9.7追記
PC改造工房の勝ちゃんさんのSPECTRA5400PEは、サイドバンド転送ONの設定でノーマル状態でFSB130(AGP86.7)程度まで動作し、ファンをSANYO-P6に交換された所、FSB133(AGP88.7)で動作されているとの事です。うーん、結構個体差が大きいのか、あるいはマザー(P2B-F)との相性か・・・・どちらにしても奥が深いっす・・・
1999.10.27追記
[FSB133overへの道]に顛末を記していますが、FSB=151.1MHz,
AGP=100.7MHz
での動作を確認できました。非常に安定しています。この感じだとAGP限界
124 MHz ってのもあながち外れてない様な気がしますね。
5 独り言
さて、如何でしょうか? 予定では、この後
冷却、クリスタル交換、コアクロックup
によるパフォーマンスの向上へと努める予定でした。しかし、冷静になって考えると
HP作成にかまけて、肝心の3Dゲームを買ってから全然やってないし、多分しばらくはやれないだろう
そうこうしてるうちに、GeForce256が出てしまうだろうし、懲りもせず買ってしまうだろう
という事に気が付いてしまい、やる気をなくしてしまいました。(爆)んー、なんだかなー。またもトホホなオチ・・・
考えてみると温度ネタにばかり走っていたのでPCのサイトらしい記事って初めてかもしれないですねえ。その結果も実際に、AGP2/3設定でAGP限界120MHzを確認した訳ではないので、イマイチ嘘臭さが残りますねー。(をいをい^^;)
ま、実験も結果も考察も、ある意味思い込みの産物ですので、これが私にとっての真実という事になります。(事実かどうかは別にして・・・)
「文句があるなら、ベルサイユへいらっしゃい」
(池田理代子著「ベルサイユのばら」より)
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