集合関数の例
8 R3上の区間塊の体積
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Rn上区間塊のn次元体積)
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集合関数の例
8 R3上の区間塊の体積とその一般化
[伊藤『ルベーグ積分』I予備概念§3点関数と集合関数:例3(pp.13-15) ;高木『解析概論』113節Euclid空間区間の体積(pp.421-3).]
(設定)
R3 : 3つの「実数の全体の集合」Rの直積。
R×R×R={ (x ,y ,z ) |x ∈Rかつ y ∈R かつ z ∈R }
Ik (k=1,2,…,n):互いに素な、有限個の、R3上の有界な左半開区間(左下辺を含まず、右上辺を含む直方体)。
すなわち、
−∞< <ak< bk<+∞,−∞< <ck< dk<+∞,−∞< <ek< fk<+∞(k=1,2,…,n) として、
Ik=(ak , bk] ×(c k ,d k] ×(e k ,f k]
={ (x ,y ,z ) |x ∈(ak , bk] かつ y ∈(c k ,d k] かつ z ∈(e k ,f k] } (k=1,2,…,n)
={ (x ,y ,z ) | ak <x≦bk かつ c k <y≦d k かつ e k <z≦f k } (k=1,2,…,n)
※左半開区間Ikは、R3の部分集合となっている。
A :左半開区間Ikとして考えられ得るもの全てを集めてきた集合系(族)。
※左半開区間は、R3の部分集合だから、
Aは R3の部分集合系(族)となっている。
※以上のように、Ik, Aを定義するとき、 Ik ⊂ R3かつIk ∈A は満たされている。
Ψ(I):R3上の有界な左半開区間(直方体で、左・下の辺は含まず、右・上の辺は含むもの。)
I=(a,b]×(c,d] ×(e,f] , −∞< a< b <+∞,−∞< c< d <+∞,−∞< e< f <+∞ に対して、
Ψ(I) ={ f1 (b)−f1 (a) } { f2 (d)−f2 (c) } { f3 (b3)−f3 (a3) }>0 ただし、Ψ(φ) = 0
で定義された実数値A -集合関数。
→詳細
E :互いに素な有限個の有界な左半開区間Ikの直和として表される集合(区間塊)の一つ。
すなわち、互いに素なIk (k=1,2,…,n)に対して、E=I1+I2+…+In
※有限個の左半開区間の直和は、R3の部分集合となっている。
B : 集合Eとして考えられ得るもの全てを集めてきた集合系(族)。
※有限個の左半開区間の直和は、R3の部分集合だから、
BはRの部分集合系(族)となっている。
※以上のように、E, Bを定義するとき、 E⊂ R3かつE∈B は満たされている。
(本題)
μ(E)=Ψ(I1)+Ψ(I2)+…+Ψ(In)
は、B-集合関数となる。
このうち特に、
f1 (x)= f2 (x)= f3 (x)=x として Ψ(I)=(b−a) (d−c) (e−f)とした際のμ(E)は、
直方体を組み合せた図形Eの体積の和となる。
(参照)
日本数学会編集『
岩波数学事典(第三版)』 岩波書店、1985年。項目162A(pp428-429), 163 (p.432)
伊藤清三『ルベーグ積分』I予備概念§3点関数と集合関数(p.11-3)
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年。 pp.1-4.
Cramer, Harald,1946 Mathematical Methods of Statistics, Princeton UP.
=クラメール『統計学の数学的方法:第1巻』東京図書、1973年、6.2集合関数と点関数(pp.47-48)。
高木貞治『解析概論:改訂第3版』岩波書店、1983年、第9章Lebesgue積分,II.Lebesgueの測度および積分, 113Euclid空間区間の体積(pp.421-3).