万博体験記
永田敏男
今を去ること35年前、大阪博覧会が開かれた。私は、まだ開業して6年後で、日々の生活で精一杯、とても博覧会へ行くだけの費用は持ち合わせず、見てきた人の話を聞いただけでした。
今回、長久手と、瀬戸を会場に開かれている「愛・地球博」へでかけていきました。
愛知環状鉄道で「八草」まで行き、リニモに5分強乗りました。リニモに乗るために、おそらく20分くらいは待ったと思います。
リニモは、次世代の乗り物で、時速は500キロ以上はスピードが出て、東京・大阪間を1時間で結ばれると聞いています。線路から6ミリくらい浮いて走るようです。
皆さんご承知のように、磁石のプラスとマイナスは引き合いますが、同局同士を合わせると反発力が働いて、お互いを離そうとします。その力を利用して浮き上がるのがリニモのメカニズムだと聞いたことがあります。 そんなこともあって、興味しんしんで乗りました。
そのリニモの乗り心地は、やはり揺れが少なく、動きもなめらかに感じました。
長久手会場の「北口」リニモを降り、係の先導で「ケアセンター」という障害者を優先的にケアをしたり、誘導をしたりする施設に行き、おかげで待つことなくスムーズに入場することができました。
まずはイギリス館へ向かいました。前もっての情報で、超音波を組み込んだ視覚障害者用けーんがあると聞いたので、それを見たいと思っていました。
係の人にそれを告げたら、杖を持って外へ誘導し、そこで杖を使った歩行を体験させてもらいました。

杖の手で持つ部分、取っ手に超音波が組み込まれ、前方向に上下に二つのボタンが取り付けられ、顔の高さとお腹のあたりの物体をとらえて、それぞれボタンが振動するように付けられていました。
使い勝手としては、柄の部分がやや太すぎることと、電池を使うせいか、やや重くて、長く使うと疲れるのではないかと思われました。
次に、トルコ館へ行き、部分的に氷をはめ込んだ壁に触れてきました。トルコで取れる野菜なども展示してありましたが、あまり印象に残るものはありませんでした。
ただ、コーヒーとケーキを食べたら1200円だと聞き、味が高級に感じました。
アメリカ館は、ちょっとした映画を見ました。雷を見て電気を発見したフランクリンが、そのころから現在に至る電気の発展段階を振り返り、すさまじい発展ぶりを紹介してくれました。
電球・真空管・トランジスター・コンピューターなど、その歩みは目を見張るものがあり、電気を我々人間から取り除いたらいったい何が残るだろうと考えさせられました。
それにしても、雷の音の大音響、それは地面まで揺るがすかと思うくらいのすさまじさでした。子供を連れて入ったら、おそらく引きつけをおこすのではないかと思われました。
とにかく歩きました。足が強く、忍耐がないと万博は無理かなと感じました。しかし、文明の進歩はどこまで前進を続けるのか、その果てしない進歩に驚嘆するだけでした。
しかし、その陰で、むしろ、それを反比例して人の心の衰え、荒廃を感じるのは私だけでしょうか。