ウツボグサ

野の花の中には、仲間が世界中に分布し、漢方でも西洋医学でも重要な薬草となってきた花があり、カキドオシ、クマツヅラ、ノコギリソウ、オトギリソウ、メハジキ、やこのウツボグサがその代表例である。( 「カキドウシは世界の薬草」 「クマツヅラは神聖な花」 「ノコギリソウと西洋ノコギリソウ」 「オトギリソウの伝承」 「世界の婦人病薬メハジキ」 の項参照)
ウツボグサには利尿、消炎作用があり、腫れ物、腎臓炎、膀胱炎の生薬として漢方の重要な薬草であり、仲間のセイヨウウツボグサはヨ−ロッパでハーブとして胃腸薬等の民間薬に広く用いられている。
ウツボグサの花穂のみを日干しにし乾燥させたものを生薬名でカコソウ(夏枯草)と呼び、若苗を胡麻和え、油いため、揚げ物などで食べられてもいた。

ウツボグサの花

結実したウツボグサ

日本各地、東アジアの温帯に広く分布し、6−8月に日当たりの良い畦や山地の草地で写真のような可愛い唇形花を付け、結実すると褐色となって、枯れたように見える。 
花穂の形を武士が弓矢を入れる靫(うつぼ)に見立ててウツボグサと名付けられ、夏に結実して枯れたように見える様子から夏枯草(カコソウ)の名がついたようである。 
平安時代の 「倭名類聚抄」 や 「本草和名」 江戸時代の貝原益軒の 「大和本草」 等にも記述のある、昔から知られたシソ科の花である。

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