カキドオシ

カキドオシは古来から日本の民間薬としてゲンノショウコ等と並んで有名な植物で、子供の夜泣き、ひきつけに用いられ、カントリソウ(癇取草)の別名がある。 漢方の生薬(しょうやく)名を 「連銭草」(れんせんそう) と言い、利尿、消炎薬としても広く用いられた。 カキドオシ茶、カキドオシ酒等、現代でもいろいろな効能が喧伝され、販売されている。 又、かっては煮て水にさらすと食用にもなった。
日本ばかりでなく、ヨーロッパでも古くから民間薬として重要な地位を占めており、カロリンガ朝(8−10世紀)に書かれた医学書にも熱病の薬として登場するそうである。 カキドオシを入れたお茶も当時のヨーロッパで広く飲まれていたようである。 このような万国共通の薬草は他にクマツヅラ、ウツボグサ、ノコギリソウ、オトギリソウ、メハジキ等がある。( 「クマツヅラは神聖な花」 「和洋共通の薬草ウツボグサ」 「ノコギリソウと西洋ノコギリソウ」  「オトギリソウの伝承」 「世界の婦人病薬メハジキ」 の項参照)
ヨーロッパ産の一つである斑入り葉のカキドオシは園芸種としてグランドカバー等にも使われ、目にすることも多い。

ヨ−ロッパ産斑入り葉(ふいりば)のカキドオシ

日本在来種

カキドオシの茎は始めは真っ直ぐ伸びるが、開花すると地表に倒れてツルとなり、垣根を突き通して延びるのでカキドオシ(垣通し)の名があり、写真の様に葉形がお金(銭)のようで茎に連なっているので、レンセンソウ(連銭草)とも呼ばれる。
四角い茎を持ち、花は唇形花で、その上、葉は芳香を放つシソ科の典型的な花である。 紫色の斑点は蜜標と言い、昆虫を呼び寄せる。
日本ばかりでなく世界中で薬として使われており、薬草の歴史に想いをはせさせる花である。

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