ノコギリソウとセイヨウノコギリソウ

ノコギリソウはその独特の櫛歯状の葉を鋸(のこぎり)に見立てて命名された花である。
北半球の温帯を中心に分布し、日本にも古くから自生している花であるが、明治時代ヨーロッパから園芸種として渡来した西洋ノコギリソウも野生化しており、むしろこちらの方が見る機会は多い。
日本に自生するノコギリソウの葉は切れ込みが浅く、厚くて固いのに対し、西洋ノコギリソウの葉は2−3回羽状複葉に細裂し、軟らかいので区別が付けられるが、日本のノコギリソウの葉のほうが、ノコギリのイメージに近い。

又、日本のノコギリソウは多少はピンクがかることはあっても白一色で、西洋ノコギリソウのように白から赤、はては黄色と色とりどりの花を咲かせる事はない。

ノコギリソウの花と葉

西洋ノコギリソウの花と葉

西洋ノコギリソウはハーブの世界でヤロウと呼ばれ、ハーブテイとして健康増進や虚弱体質の改善に用いられる。 又、消毒や止血に効果があり、西洋名のアキレアはトロイ戦争でのギリシャの英雄アキレスが傷ついた踵(かかと)に西洋ノコギリソウの葉を貼った事からその名が付いたとされる。
一方、日本のノコギリソウは漢方で風邪薬等に使用され、洋の東西を問わず薬草として使用されてきた。 このように万国共通の薬草には他にカキドオシ、クマツヅラ、ウツボグサ、オトギリソウ、メハジキ等がある。 ( 「カキドオシは世界の薬草」 「クマツヅラは神聖な花」 「和洋共通の薬草ウツボグサ」 「オトギリソウの伝承」 「世界の婦人病薬メハジキ」 の項参照)
鋸(ノコギリ)とごつい名前が付いているが、夏から初秋にかけ可愛い花を付けるキク科の花である。

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