キツネアザミ

キツネアザミはアザミのように見えるが、同じキク科でもアザミ属ではなく、キツネアザミ属の一属一種の花である。
アザミは葉が厚く、トゲがあるが、この花の葉は柔らかくてトゲも無く、見た目もほっそりと女性的で、全体像もアザミよりずっと柔らかい。( 「ノアザミとノハラアザミ」 の項参照)
キツネにだまされたようだと言うのでキツネアザミの名があり、地方によっては猟師に追われた狐がアザミに化けたが、慌てた為、棘(トゲ)を付けるのを忘れたと言う伝承もある。
農耕と共に中国や朝鮮半島から渡来したとされ、晩春から初夏にかけ水田の周りや土手に咲き、散歩道でも良く目立ち、下の写真のように休耕田での群生も見られる。

キツネアザミの花

キツネアザミの群生

葉にはヨモギのように軟毛があり、草もちを作るときに 「つなぎ」 として入れられた。 現代のもち米を知る我々にとって何故つなぎが要るのか不思議だが、かっての草餅の原料は粘りが少なく、そのつなぎにハハコグサやヨモギやキツネアザミの軟毛が用いられたようである。 現代では香りの良いヨモギだけが草餅の材料として残っている。( 「ハハコグサとチチコグサ」 「ヨモギは名医草」 の項参照)
キツネアザミは越年草でアザミのように宿根草ではないので、毎年咲く場所を変え、まさに名前の通り、狐火のように現れたり消えたりする。

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