ハルジオン

ハルジオンは晩春から初夏にかけて土手や野原でよく目立ち、白色が多いが、赤味がかるものもあり、花は小さいがしばしば群生するので人目を引く。 四月ごろから咲き始め五月頃に開花のピークを迎えるが、表題の写真のように、蕾のころは恥ずかしそうにうつむいて、次第に頭を持ち上げてくるのが特徴でその風情も又良い。
大正時代に北アメリカから鑑賞用にもちこまれた花が野生化し、日本各地に広がったが、群生するとなかなか見ごたえが有る。

ハルジオンとハルジオンの群生

名前のハルジオン(春紫苑)は春咲く紫苑(シオン)から来ており、最後の本草学者と呼ばれた牧野富太郎博士の命名による。 紫苑は平安時代以前に中国から渡来し、源氏物語等にも登場する古くから愛でられたキク科の花で秋に下の写真の様な薄紫色の花をいっぱい付け、2m近くになる大柄な花であるが、ハルジオンは小さいながらも花が紫苑に似ているので 「春咲く紫苑」 の名前が付いたものである。

シオン(紫苑)

キク科の花はいずれも食用となるが、ハルジオンは美味しいと言う記述が多い。
ハルジオンが咲く頃、シュンギク(春菊)の花が畑を彩り、こちらはれっきとした野菜であるが、野生のキク科の花はハルジオンを含め美味しく食べられる。

シュンギク(春菊)

ハルジオンが最盛期を過ぎる頃、この花とそっくりなヒメジョオン(姫女苑)と呼ばれる花が咲き始める。
区別が難しく、ハルジオンがずっと咲いていると思い込んでしまうが、ハルジオンの茎が中空で葉は茎を包み込むように付いているのに対し、ヒメジョオンの茎は詰まっており葉が茎を抱かず、又蕾の頃から頭を持ち上げているので外観からも区別は可能である。 一番手っ取り早い方法は茎を切ってみる事であるが、せっかく綺麗に咲いている花の茎を切る事はしのびないので、葉の付き方や蕾を良く見ることにしている。( 「ヒメジョオンは鉄道花」 の項参照)。

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