オヤブジラミとヤブニンジン

オヤブジラミ                  ヤブニンジン

5月の初旬から中旬にかけて散歩道の途中の古墳程度の山を散策すると、満開のチゴユリに混じって、チゴユリほど目立たないがニンジンの葉に似た葉を持ち、白やピンクがかった小さな花をたくさん付けるセリ科の花が目に付く。 オヤブジラミ(雄ヤブジラミ)とヤブニンジンで、花は小さくて目立たないが、独特の実(み)をつける。( 「チゴユリとその仲間」 の項参照)

 オヤブジラミの花と実と葉

 ヤブニンジンの花と実と葉 

オヤブジラミは一ヶ月ほど遅い6月頃から盛夏にかけて散歩道のいたる所に目立つヤブジラミの花と同属で、果実がヤブジラミより大きいのでオヤブジラミ(雄ヤブジラミ)の名がある。( 「ヤブジラミと虱」 の項参照)
ヤブジラミは果実に棘毛がびっしり付いて、動物や人の衣服に付いて生育範囲を広げる、いわゆる 「ひっつき虫」 の一つで、人に引っ付いたり、又、その形から、動物や人に引っ付いて血を吸うシラミ(虱)を連想させて 「藪に生えるシラミ」 からヤブジラミとなった( 「引っ付き虫いろいろ」
 の項参照)
オヤブジラミは、ヤブジラミより花期が早く、ヤブジラミが夏に咲くのに対し、オヤブジラミは5月に咲き、花はほとんど同じであるが、ヤブジラミの花が白いのに対し、少し赤味がかって、花付きも少しまばらであり、ヤブジラミほど目立たないものの、川岸や散歩道の途中の藪の中にも咲いている。
一方、ヤブニンジンもよく似たセリ科の花で、葉がニンジンに似て藪に咲くのでヤブニンジンの名があるヤブニンジン属の花で、ヤブジラミ属とは異なるが、よく似た花序で、やはり動物に引っ付いて果実を運ばせ、果実の部分がヤブジラミよりずっと長いのでナガジラミの別名がある。
線香花火のような特徴のある咲き方をし、中心部に雄花、周囲に両性花を付け、この両性花の部分が果実となる。 又、根茎は漢方薬として鎮痛剤に用いられる。

ヤブジラミ、オヤブジラミ、ヤブニンジンはどれもよく似たセリ科の小さな花であるが、拡大すればそれぞれ独特の雰囲気を持った花々である。

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