オグルマとカセンソウとサワオグルマ

オグルマとイチモンジセセリ蝶

ジシバリ、ブタナ、コウゾリナ等、タンポポに似たキク科の花は多いが、いずれも春から夏に咲き、夏から秋にかけて散歩道の田の畦に咲くのはこのオグルマぐらいである。( 「ジシバリとオオジシバリ」 「ブタナは豚のサラダ」 「コウゾリナの剛毛」 の項参照)
特にこの地方では9月−10月の秋に目立ち、日当たりの良い湿った草地を好み、田の畦などに多く、イチモンジセセリ蝶が花の蜜を求めて集まる。
イチモンジセセリの幼虫は稲を食い荒らす害虫であるが、夏期が高温多湿年に特に大量発生するのでイチモンジセセリが多い年は豊作とされる。
オグルマが咲き、イチモンジセセリが飛びかうと秋も半ばである。
放射状に並んだ花びらを牛車(ぎっしゃ)等の車輪に見立ててオグルマ(小車)と名付けられた花で、地下茎で増え、花を乾かして薬用とし、漢方の生薬名で旋覆花(せんぷくか)と呼ばれる健胃、利尿、去痰の薬となる。

オグルマ

このオグルマとそっくりで、一見では区別できない花が山地や丘陵の草原で7月から8月にかけて咲く。 カセンソウと呼ばれ、オグルマとそっくりではあるが花がやや乱れ、葉の裏の脈の部分が浮き出る特徴が有る。 歌仙草(カセンソウ)と書かれるが、名の由来は定かでない。

カセンソウ

一方、オグルマの名を冠した花にはサワオグルマ(沢小車)、オカオグルマ(丘小車)と呼ばれる花がもう一種有る。

サワオグルマ

オグルマやカセンソウがオグルマ属であるのに対しサワオグルマやオカオグルマはキオン属で、咲き方や花の形もオグルマとは多少異なり、花期も春である。
サワオグルマ(沢小車)は名の通り湿地に咲き、オカオグルマ(丘小車)は乾燥地にも咲くが、散歩道で見つかる花ではなく、この地方でも秩父や比企丘陵の山間部にしか見られない。

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