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2007年に上演した作品


2007年1月例会
こまつ座紙屋町さくらホテル 
紙屋町さくらホテル 
作/井上ひさし 演出/鵜山仁
出演/辻萬長、木場勝己、久保酎吉、河野洋一郎大原康裕中川安奈森奈みはる栗田桃子前田涼子

1月17日(水)6時30分・18日(木)1時30分・6時30分 
名古屋市民会館中ホール

 昭和20年5月、原爆投下まであと三月の広島。薬売りの古橋健吉は「紙屋町さくらホテル」の門をくぐった。ここにはすでに移動演劇隊「さくら隊」の二人の俳優が寄留していた。新劇の団十郎と異名をとる名優丸山定夫と宝塚少女歌劇出身の大スター園井恵子である。移動演劇隊には、他に浦沢玲子と方言調査中の大学教師大島輝彦が現地採用されている。
 そしてこの小さなホテルの女主人の神宮淳子と従姉妹の熊田正子もまた合唱隊の一員になったばかり。つまり、ホテルはまるごと「さくら隊」に入隊していた。
 一夜の宿を請うた古橋も投宿と引換えに入隊し、古橋に遅れてこの宿に姿を現した林と名乗る傷痍軍人もあとに続いた。しかし彼らは即座に特高刑事戸倉八郎の監視下におかれることになる。女主人の神宮淳子はアメリカ生まれの二世、だから敵性外国人とみなされたのだ。
 公演は明後日。台本は「無法松の一生」の名場面を丸山定夫が作り直し、役者も揃った。が、ほんとをいうともう一人男優がいれば……そこで丸山が特高刑事に切り出す。
 「あなたも舞台に立ちませんか」

大日本帝国存亡のときに、全国を行脚した天皇の密使。
海軍大将長谷川清が、広島で邂逅した、あのかけがえのない三日間。

原爆で逝った愛しき人びとの歌声が、青空のかなたから、いまも長谷川の胸に、清らかに響く。


2007年3月例会
幹の会+リリック 『オセロー』 
作/ウィリアム・シェイクスピア 訳/小田島雄志 演出/
平幹二朗
出演/平幹二朗、(オセロー) 、三田和代(デズデモーナ)、平岳大(イアーゴー)、
坂本長利、榛名由梨、勝部演之、渕野俊太大滝寛西山水木廣田高志高橋広司、柴嶺亮、藤本道、宮原美文。

3月14日(水)6時30分・15日(木)1時30分 名古屋市民会館中ホール
3月16日(金)6時30分 愛知県勤労会館

 『オセロー』はシェイクスピアの『ハムレット』『マクベス』『リア王』とならぶ四大悲劇のひとつとして、もっとも完成度の高い作品といわれてきました。シェイクスピア全作品の中でも特に、人物・心理・事件が明瞭で骨太の傑作と称され、数々の名優がこの悲劇の主人公を演じてきました。
 今回のオセロー役、平幹二朗も、1984年(ジョン・デーヴット演出)、1994年(栗山民也演出)以来3度目の挑戦になります。
 「シェイクスピア作品、とくに四大悲劇は多面的に人物がかかれているので、それを創っていくにはいろいろな面を要求される。何度も再演していろいろな面を掘り起こしていかないと、到底その人物が掘りきれない」と言う平幹二朗が、今回は自ら演出にもあたります。
 嫉妬に狂ったおろかなる将軍と言われながらも、人生と愛情にあまりに純粋であったオセロー。悪計に弄ばれた末、自ら手に掛けたデズデモーナに口づけながら息絶えるオセローの姿には、心の脆さ、そしてなお崇高さを守ろうとする人間の願いが重なりあい、はるかな時代を超えて現代に生きる人々にも深い感動を呼び起こします。


2007年5月例会
ルームサービス テアトル・エコー ルームサービス 
作/ジョン・マレー アレン・ボレッツ
訳・演出/酒井洋子
出演/安原義人永井寛孝入江崇史溝口敦、浜野基彦、
   石津彩きっかわ佳代、古屋道秋、瀬下和久、
   山下啓介沢りつお沖恂一郎川田栄熊倉一雄
5月22日(火)6時30分 23日(水)1時30分・6時30分 
名古屋市民会館中ホール
 

 ブロードウエイにあるホテルに、貧乏な役者の一座が泊まりこんで、新作の稽古に明け暮れている。たまりにたまった宿代が支払えるかはスポンサーがつくかどうかだ。と、そこへホテルの重役が査察のために乗り込んでくる。
 支配人は大慌て……!宿泊代を払ってくれない一座の者たちを、いますぐ追い出さないと、自分自身の首がとぶ。
 一方、ホテルに居座って、やっと見つけたスポンサーから小切手を明日受け取らなければ、初日を開けるどころか路頭に迷う。さぁ、このピンチをどうする?“イヌと役者はお断り!”とばかりに追い出しをはかるホテルと、一発逆転をはかる役者たちのひたむきで痛快なコメディ!
 不景気打開の鍵はこのコメディのどこかに……笑って下さい、元気になります。


2007年7月例会
銃口 青年劇場 銃口ー教師・北森竜太の青春 
原作/三浦綾子 脚本/布勢博一 演出/堀口始
出演/船津基、大山秋、葛西和雄、名川伸子、大嶋恵子、清原達之、広戸聡、湯本弘美、千賀拓夫、高山康宏、井上昭子、森山司、平井光子、松村有希子、原陽三、島田静仁、大木章、北直樹、吉村直、島本真治。
7月12日(木)6時30分 13日(金)1時30分・6時30分 
中京大学文化市民会館プルニエホール(名古屋市民会館中ホール)

 昭和12年、北森竜太は「良心の尊さ」「人間の平等」をおしえてくれた恩師の坂部を理想の師と仰ぎ、北海道の小さな炭坑町幌志内の小学校に新任教師として希望と情熱に燃えて赴任した。しかし昭和16年、竜太はある日突然、治安維持法違反容疑で特高警察に逮捕される。子供達に良い教育をと願う竜太がなぜ?旭川警察署で竜太は、同じ容疑で逮捕され拷問を受けた坂部と再会。退職願への署名と引換えに釈放された竜太は、再び教員になるべく、婚約者の芳子と共に満州へ旅立つ決心をした矢先、竜太に召集令状が届く。
 昭和12年から21年という戦前から戦後にかけての10年間を、一人の若き教師を軸に「北海道綴方教育連盟事件」を題材に描いた作品です。主人公竜太が葛藤の末に辿り着く「先生の仕事というのは、人と人の心を結ぶ事なんだね」というセリフは、大きな感動を残しました。2003年には首都圏を中心に巡演し、2005年には日韓友情年・戦後60年を記念しての韓国内巡演公演を行いました。 


2007年9月例会
明石原人 劇団民藝 明石原人ーある夫婦の物語ー 
作/小幡欣治 演出/丹野郁弓
出演/千葉茂則日色ともゑ、箕浦康子、伊藤孝雄高橋征郎、竹内照夫、大場泉、角谷栄次、境賢一齊藤尊史、高野大、北田浩之、津田京子、仙北谷和子、有安多佳子、細川ひさよ、中地美佐子藤巻るも上條和佳奈、ほか
9月26日(水)6時30分 27日(木)1時30分・6時30分 
中京大学文化市民会館プルニエホール(名古屋市民会館中ホール)

 明石の女学校教師・直良音(なおら・おと)をかっての教え子・村中信夫が訪れます。ところが、思いもかけぬ事態から、音は十一歳も年下の信夫を婿にとることになりました。生計のほうは音にまかせきりの信夫は明石海岸で旧石器時代のものと思われる人骨を発見したのです。世紀の大発見「明石原人」は、学歴社会の壁にはばまれて、小学校卒の信夫の業績とは認められません。挫けそうになる信夫を、音は叱咤激励しながら支えます。折しも満州事変、日中戦争から太平洋戦争への時代です。日本に旧石器時代があったという学説も、この国は神武天皇から始まったとする皇国史観に抵触します。しかも信夫の発見した人骨は、東京大空襲で消失してしまうのでした……。

 ひたすら夢を追いかける夫とそれを必死に支える妻。時代の境遇に挑みつづけ夫婦の愛のかたちを、反骨精神あふれ、ユーモアみなぎる筆致で描き上げた小幡欽治の力作。これまで翻訳劇で劇団の内外で活躍してきた丹野郁弓が、初めて日本の創作劇に取り組みました。「2004年の演劇界の収穫」と絶賛を博し、第7回千田是也賞を受賞しました。主演の日色ともゑ、千葉茂則をはじめ、南風洋子、伊藤孝雄ほかの出演者は、劇団ならではのアンサンブルで、作家の言葉を借りれば、「大胆かつ繊細」な舞台をつくり上げることに成功しました。劇団民藝の新しい一歩がこの舞台からふみだされます。


2007年10月例会
ドン・キホーテ 無名塾 ドン・キホーテ 
原作/ミゲル・デ・セルバンテス 演出/丹野郁弓
上演台本/岡山矢(新潮社刊 荻内勝之訳 「ドン・キホーテ」より 
出演/仲代達矢山谷初男野崎海太郎、友居達彦、長森雅人松崎謙二赤羽秀之中山研本郷弦森岡弘一郎鎌倉太郎川村進須賀力西山知佐菅原あき江間直子樋口泰子渡部晶子篠山美咲、ほか
10月23日(火)6時30分 24日(水)6時30分 25日(木)1時30分
中京大学文化市民会館プルニエホール(名古屋市民会館中ホール)

 ラ・マンチャにすむアロンソ・キハーノは、もう50歳に手が届こうとしている初老の田舎郷士である。
 騎士道物語ばかりよみふけっていた影響で、ある日、彼は自分が遍歴の騎士であると思い込む。名もドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャと勝手に改め、祖先伝来のボロ甲冑を身にまとい、やせ馬ロシナンテにまたがり、農民のサンチョ・パンサを従えて、いとしの姫ドルシネーアを救うために冒険の旅に出る。彼の決定的な時代錯誤と肉体の脆弱さは、行く先々で嘲笑の的となる。
 やがて旅の果てに正気を取り戻したドン・キホーテは理想と夢の終焉とともに死の床に就くのであった。
 
 原作は、スペイン黄金世紀の作家であるセルバンテスにより17世紀初頭の『ドン・キホーテ』…聖書の次によく読まれる本とまでいわれる名作古典です。
  
 人間には「ハムレット型」と「ドン・キホーテ型」があると譬えられる事を耳にすることがあります。40年前に『ハムレット』を演じた仲代達矢が、役者として、この『ドン・キホーテ』に挑みます。更に『ドライビング・ミス・デイジー』の演出家の丹野郁弓(劇団民藝)が演出を担当します、ご期待ください。 


2007年11月例会
おれたちは天使じゃない ミュージカルカンパニー・イッツフォーリーズ
 おれたちは天使じゃない 
作/矢代静一 作・作詞・演出/藤田敏雄 音楽/いずみたく
出演/西本裕行、井上一馬、大場泰正、伊藤和晃、坂口阿紀、歌納有里福沢良一、三品英士、森隆二、堀内俊哉、堀内保孝、藤城道博、三好幸次、中村つむぎ、木戸可奈子、阿野佳与子、藤岡彩子、角崎慶子、ほか
11月14日(水)6時30分 15日(木)1時30分・6時30分
中京大学文化市民会館プルニエホール(名古屋市民会館中ホール)

 ミュージカルカンパニー・イッツフォーリーズは“日本人による創作ミュージカルを!”この言葉を三十余年にわたって実践し続けた、いずみたく(1992年没)の日本の創作ミュージカルに対する熱い情熱を受け継ぎ、新しい作品の制作・上演活動を進めていますが、同時に日本の創作ミュージカルの歴史を作ってきた数々の「いずみたく作品」の上演も、劇団活動の大きな柱と位置づけています。
 中でも、日本の創作ミュージカルの最高傑作と評価された『おれたちは天使じゃない』は、1974年初演以来、30年を経た現在も全国で上演されています。
 テーマ音楽の「翼のない天使」は美しいメロディがいつまでも心に残り、終幕近くで歌われる「今・今・今」は力強い感動的な名曲として今でも多くの人々に歌われ、全編を通じて流れる美しいヒューマニズムが観る人の心を洗い、多くの日本人の心を確実に捉えるこれこそまさに“日本の創作ミュージカルの原点”と言われる作品です。

 大晦日の雪深い山荘に三人の脱獄囚が逃げ込んできた。三人は殺人を犯した凶悪犯だが、偶然迷い込んだその山荘で、心ならずも、心中しようとしていた父娘を助けてしまう。
 助けられた知的障害を持つ娘の光子は、自分を助けてくれた脱獄囚たちを“天使”だと思い込んでしまう……。

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最終更新日 2007/11/30