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  呼びかけ人からのメッセージ

榊原富士子・弁護士
「mネット通信」 2010115[vol:219]より

 昨年は、家族法改正を政策集でうたった政党への政権交代、改正が遅 すぎると苛立ちを見せた女性差別撤廃委員会から日本への強い勧告、婚 外子相続分の法改正の遅れを叱咤する最高裁判決と、家族法改正への流 れが続きました。しかし、本当に実現できるか否か、最後は政治家でな く私たち次第です。どんな場所からでも、どんなささやかなことからで も、皆で始めて、声が大きなうねりとなるよう頑張りましょう。
 乾杯の日を夢みて。


二宮周平・立命館大学教員
「mネット通信」 20080118[vol:166]より

戸籍や住民票における婚外子の続柄記載の平等化、離婚後に懐胎した 子に対する出生届の改善、婚外子の認知による児童扶養手当の打ち切り の廃止など、この間、当事者の人たちやサポートする人たちのたゆまぬ 努力によって、前進がありました。家裁の実務でも、別居・離婚後の面 接交渉を進める方向性が明確になり、離婚時の年金分割も法制化され、 専門家による一定の合理的な対応がなされ始めました。こうした動向を さらに進め、民法改正にまで結実させるには、多くの人たちの連携、支 援が不可欠です。mネットはその要めになる存在です。多くの方が参加 され、共に考え、自分のできる範囲内で共に行動されることを願ってい ます。  


大村芳昭・中央学院大学教員
「mネット通信」20030116[vol:48]より

 日本の民法を考えるとき、必ず同時に戸籍制度についても検討することが必要です。なぜなら、沿革的にも現状を見ても、戸籍制度が日本の家族法に大きな影響を与え、あるいはその足を引っ張っているとも言えるからです。
 例えば夫婦別姓や婚外子差別撤廃が進まないのも、性同一性障害への法的対応が進まないのも、あるいは特別養子縁組が中途半端な制度になってしまっているのも、戸籍制度がそれぞれ1つの大きな壁として立ちふさがっているからなのです。
 今後、民法改正を考える際にも、「戸籍法上の問題が生じない範囲内での民法改正」ではなく、民法の改正にあわせて戸籍法も大胆に改正する、戸籍法を「聖域」にしない、という明確な姿勢を打ち出すことが絶対に必要だと思います。     


榊原富士子・弁護士
「mネッ通信」20030116[vol:48]より

 まずは別姓の突破を。デフレ、出口を見出せない不況や方針の定まらな い外交と自信を失っている日本。価値観の転換の必要な分野ではなかな か変わらない日本だけれど嘆いているだけでは何もおきない。「やったー! 」といえる経験を若い人に知ってもらうためにも実現までもう一度元気に頑 張りたいと思います。別姓以外の家族法改正は取り残されていますが、 判例ではいろんな変化がおきています。


橋本ヒロ子・十文字学園女子大学教員
「mネッ通信」20030116[vol:48]より

 「民法を改正で新しい日本の創造」 夫婦選択別姓への執拗な反対者は、多様な生き方を認めないため、全体主義につながります。家族全員が、同じ姓であるべきという主張は、狭量な古い家父長制度にしがみついているからです。家族一人一人が姓も考え方も異なった家庭で育つ子どもは、柔軟な考えを持ち、変化の激しい国際社会に十分に対応して新しい日本社会を創る核となれます。
 国連人権委員会の勧告も無視し、出生に基づいて相続分の差別をしている民法を改正できない日本は、極めつきの人権後進国です。性別で相続分が異なり、批判されているイスラム法と似ています。
 多様で柔軟な社会・制度、女性の活躍が、日本を再生させるキーワードです。そのためにも、特に女性に多様な生き方を保障する民法改正は急務です。民法改正反対論者は、過去への回顧だけで、新しい社会に対応できない21世紀の化石です。          


戒能民江・お茶の水女子大学教員
「mネット通信」20030116[vol:48]より

 このところ、男女共同参画社会形成へのバッシングが各地で起きている。県・市議会では、「男女共同参画」条例に、男女共同参画とあい 反する内容を盛り込ませようとする動きが次々起こっている。
 男女共同参画の名のもとに、性差否定の偏った思想を日本社会に注入して、社会秩序や家族秩序を破壊してしまう、恐ろしいたくらみだとい うのだ。また、男女共同参画は別姓導入の戦術だとも言っている。別姓導入の最終目標は、離婚をし易くして、婚姻制度や戸籍制度を破壊す ることにあるとも言っている。もちろん、これらの動きは偶発的なものではなく、極めて組織的なものである。
 1996年民法改正案が国会上程されなかったときに「活躍」した学者などが「草の根保守主義」を支えている。メディアが沈黙していることも不 気味だ。有事立法など国家主義的な方向が強まりつつある。民法改正がもたらす自由な風は邪魔者でしかない。大きな動きを見据えつつ、 粘り強く声をあげていきたい。


酒井興子・税理士
「mネット通信」20011108[vol:20]より

 今は、若い女性たちも、自身の預金口座や保険加入、さらにはマンションを持っていたりします。仕事も持っています。税理士という仕事柄、実感しています。花嫁修業の後結婚するのがあたりまえだった私たちの頃とは、姓が変わる時に出会うわずらわしさは、はるかに多いようです。
 それだけ、女性の個人としてのアイデンティティーの確立が進んできたといえるのではないでしょうか。そんな時代に別姓が認められないなんて、ほんとに変ですね。早く実現するといいと思います。
 今までも、全国女性税理士連盟の民法改正問題に携わってきました。改正まで、がんばりましょう。 


田嶋陽子・英文学者
「mネット通信」20010628[vol:12]より

 結婚制度を私は植民地制度と呼んでいます。宗主国が植民地に対してすることは、創氏改名、財産の没収、労働力の搾取です。結婚した女性も、姓を変えられ、自分が産んだ子どもにも男の名前をつけられ、自分は不払いの家事労働をさせられる。まさに植民地制度そのものです。
 結婚制度をなくすか、またはその制度を民主的なものにするか、いずれにしても、その過程として、夫婦別姓選択制は当然だし、婚外子の相続分差別はなくすべきです。
 また女性を子産みと子育てに閉じ込める「婚姻年齢の男女差」をなくし、再婚禁止期間を短縮すべきです。


カウンセラー 高桑茂
「mネッ通信」20010614[vol:11]より

 徳川時代、支配階級である武士は夫婦別姓で、90%の庶民は姓がなかった。明治政府を作った薩長武士はキリスト教文化の一夫一婦制、夫婦同姓をつまみ食いし、日本人の祖先崇拝と合体させ、儒教思想も加えて「イエ制度」を確立、民衆支配の道具とした。嫁は「イエ」の跡継ぎを生み、タダ働きをして、日本資本主義発展のための超低賃金労働を下支えしてきた。嫁の法的地位は未成年者と同じ無能力者であった。
 女性の社会的進出が盛んになる中「選択的夫婦別姓」は日本の家族を破壊させるという論は、若い女性の結婚、職業への希望を閉ざすし、この論を信奉する政治家や信者は日本の未来を昭和初期20年間の暗い社会へと逆行させると思うのである。