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【解題】
「ユニークなスタイル」と評された。「選び抜かれた一品一品」と書かれた。「添加物は極力使わずミネラルが多く」と続いた。これ、みんな私がライターさんにレクチャーしたことだったのかな、何かこうピッチリと一分の隙もなく料理を作り店を経営しているようになってる。なんかポップでくすぐったい。
ぺらぺらとanyをめくる方は、どうせ雑誌のおっしゃることだから、と流すかも。こうした中身の見えないお題目を並べるだけのお店なら、アナウンスはTVコマーシャルと変わらないし、むしろそういうの、行くの止めとこと思う方さえ居られるかも。
サブタイトルで「添加物を使わない」と謳っているのが本文だと「極力使わない」とトーン・ダウンしているのは編集がタイトル書いちゃうから?
実際、トモカでは営業12年間のうち、始めの5年間を除いて化学調味料というものを使わなかった。はじめの5年間というのは店を作ったときの借金が公庫にあって、それを毎月返済するためにランチ・タイムも日本式カレーを提供して日銭を稼いでいた時代。
添加物を使わない。でも、それは化学調味料が良いの悪いのってことではなくて、スリランカ料理には化学調味料の出番が回ってこないだけのことだった。
店を始める前のことだったけど、コロンボの映画館では本編映画が始まる前に、サッサッサッと振りかけて、という懐かしいCMソングが流れて日本のTVの郷愁に引かれたけど、あれを郷愁と感じたのは私だけで客席のシンハラには何がなんだか分からず、インパクトも与えなかった。
何に使うんだ、あれ?とか、そんなことをあちこちで聴かれた。
だから、トモカの料理はスリランカのシンハラの料理だからバケガクの添加物なるものは使う必要がなかっただけのことで、それは「ユニーク」でもなんでもない。スリランカの当たり前。
「現代の日本人の食事の問題点をすべてクリア」云々は、まっとうに考えてありえない。問題点といえば、チャンドラ・ディサーナーヤカさんだって、スリランカ料理でココナツ・ミルクは多用しないこと、心臓障害を起こす恐れがあるから、と彼女の料理書に記しているぐらいだったから。スリランカで食べる料理がすべていい、だなんて努々思わないこと。
最近2019-Aprilだけど、キンマを噛むことが口腔癌の発生と関連ありということで法がキンマ噛みを規制した。まさか、ココナツ・ミルクの使用上限量が法で規制されるなんてことは起こらないだろうけど。ナチュラルで暮らすのはそんなに安全なことじゃない。
今、私は山里の田舎に暮らして、ナチュラルに生きることが都会以上に田舎では大変で、山の湧き水さえおいそれとナチュラルだなんて有難がって飲んではいけないと土地の人に教えられている。「ナチュラル」という評価をよい意味で使えるような暮らしの環境って、あちこち見ても探すのが難しい。
文中、「カツオを干したもの」という持って回った難解な表現はきっと鰹節のことだ。
「昔の日本の」とあるのは多分、アンブル・ティヤルを食しての感想だろう。
「辛さもとてもマイルド」とあるのは野菜料理を口にしての感覚だと思う。野菜料理は激辛にはしない。肉魚の類は辛くする。ハールマッソーはスリランカで通常口にするものより辛く仕上げている。バブル・エスニックの頃の東京人は、どこまでも辛く辛く辛く、と狂喜して辛味を求めた。あれはバブル時代の味覚の統合失調じゃないかと今、時々そう思える。
ディナー1コースだけ。そう記していただいたけど、スリランカでは当たり前な料理の出し方。店に行くといくつもの皿がお任せで並ぶ。スリランカにカレー一品なんてない。全部の料理がそろってカレー。
あっ、カレーという言葉もないんだ。
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