ビーツ Beta vulgaris Linn アカザ科
ビーツはスリランカ自生の野菜ではありません。シンハラ人はこれをビートルートと呼んでいますが、それは英語名のシンハラ式発音で、日本人には聞きやすい音です。シンハラ語名はありません。
これの皮をむいてスライスしてサラーダヤ、つまりサラダのことですが、これをシンハラ式カレーに沿えて食卓に供されます。シンハラ人は野菜を生で食べるという事はまずないのですが、イギリス式食生活がシンハラ食文化に導入されると、生で食べるようになるようです。
テーブルにはシンハラ式カレーと一緒に出てきますから、スリランカにあるものはスリランカ固有のものと思いがちな方にはビーツもスリランカ固有の野菜と感じられるかもしれません。
生の根菜のさわやかな風味はスリランカのカレーの劇的な辛味を和らげてくれます。でも、カレーと一緒に皿に盛ったとき、ビーツはその真紅の汁を白い皿の上に滴らせ滲ませます。味の柔らかさとはまったく別の、その強烈な色の刺激。新しいスリランカが白人の文化の上陸で変質している様がくっきりと浮かんできます。
ビーツはおもに生食されますが、シンハラ料理風に煮物にされる事もあります。チャンドラ・ディサーナーヤカの『セイロン料理』には「ビートルート・ウヤンジャナヤ」があって、そこに油と酢を使ってビーツを炒め煮にする調理法が紹介されています。
●ビートルート ウヤンジャナヤ 
材料 ビーツ(ビートルート) 玉葱 青唐辛子
コリアンダー ポルキリ カラピンチャ 塩
炒め油 砂糖 酢
作り方
① ビーツの皮をむき、微塵に刻みます。
② 玉葱と青唐辛子を刻みます。
③ 油をあたため、カラピンチャと②を加え、更に①のビーツとコリアンダー、砂糖、酢を加えて炒めます。
④ ③にポルキリを加えてビーツが柔らかくなるまで煮ます。
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