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トップページ> 映画> レビュー> 2004年> 3月
March, 2004
イン・ディス・ワールド
In This World
監督: マイケル・ウィンターボトム
脚本: トニー・グリソーニ
音楽: ダリオ・マリアネッリ
出演: ジャマール・ウディン・トラビ
エナヤトゥーラ・ジュマディン
公式サイト(日本語)
「平和」と「自由」と「幸せ」と、「世の中の矛盾」 ★★★★☆
今もまだ(というよりも、今までずっと)治安が安定しない
アフガニスタンから隣国パキスタンの難民キャンプへと
逃れた多くの人々。
彼らの中には、将来を憂い
遠い先進国へと命がけの亡命を試みる者が多いという。
そんな危険な旅に出かけるひとりの青年とひとりの少年を描いた
限りなくノン・フィクションに近いドキュメンタリー・タッチのフィクション。
それがこの『イン・ディス・ワールド』という映画になります。
(2003年ベルリン映画祭グランプリ作品)

この映画の監督は
オレが愛してやまない『ひかりのまち』を筆頭に
今作と同じドキュメンタリー・タッチで紛争を描いた
ウェルカム・トゥ・サラエボ』、
最近ではイギリス音楽映画『24アワー・パーティ・ピープル』まで
さまざまなスタイルで数多くの映画を撮り続けている
マイケル・ウィンターボトム。

「これがアフガンの実態のすべてだ!」と声高に叫んだり、
「かわいそうなアフガン人…。」と同情したり、
物事を上のほうから見ていたり、斜めからヒネた目で見たり、
映画的に、より劇的に、過剰に仕立て上げられていたり
この映画は、そういう映画ではありませんでした。
この監督は、物語に対していつも誠実なのです。
ひたすら、主人公の少年の目線に立ち、
彼の生き様を追いかけた、ただそれだけだったと思います。

それだけでも、オレには十分すぎるほどでした…。

折りしも、一年前の今日、イラク戦争が開戦されたんですよね。
イラクにも、ジャマールと同じ境遇(またはそれ以下)のもとに
暮らしている人が大勢、ほんとに大勢いるんだと思います。

「平和」の意義を、
そして、今の日本にある「平和」の価値を考えたいと思います。
posted on 2004.03.20
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マスター・アンド・コマンダー
Master and Commander : The Far Side of the World
監督: ピーター・ウィアー
原作: パトリック・オブライアン
脚本: ピーター・ウィアー
ジョン・コーリー
音楽: アイヴァ・デイヴィス
クリストファー・ゴードン
リチャード・トグネッティ
出演: ラッセル・クロウ
ポール・ベタニー
ビリー・ボイド
ジェームズ・ダーシー
マックス・パーキス
公式サイト(英語)
公式サイト(日本語)
第76回アカデミー賞撮影賞など受賞
スケールがデカいし、懐も深い映画だなぁ〜。 ★★★★☆
時は19世紀。
南アメリカ大陸付近を航行中の
イギリス海軍のデカい船(フリゲート艦)が
「敵国フランスの船(ただし装備は最新鋭)をとっ捕まえよ!」
という任務を帯び、百戦錬磨の船長のもと、悪戦苦闘するお話。

と、こう書くと『パイレーツ・オブ・カリビアン』を
ちょっとだけマジメにした映画のように聞こえたりします?

決してそうじゃありませんよ。
だって、この映画には「規律」があるんだから!
海賊映画でもなければ、
ただの海洋アドベンチャー映画でもありません。
だって、この映画には「気品」があるんだから!

-----
今の時代、
(日本では)20歳で成人、
いちおう「大人の仲間入り」をするわけです。
それまでは、親のお金で学校に行かせてもらって、
就職するときも、ある程度は自分で選ぶことができて、
もし働くのがイヤなら"まぁ、フリーターでもいいっか!"
と言えるほどの気楽さがあったりするかもしれません。
親を尊敬する気持ちも、そんなに絶大でもないじゃないかなぁ?
(オレがそうだから…。)

でも、この映画の中では、そんな気楽な「自由」は一切ない!
あるのは、上官への「尊敬」と「服従」だから。
12歳(!)のガキでも
尊敬する上官のために喜んで戦うわけです。
強制的に徴兵されたオッサンたちが
いろいろなグチを言いつつも
船のデッキをただひたすらに磨くわけです。
上官たちは、お気楽に歌ったり、ワインを飲んだり
ヴァイオリンを奏でたりしながらも、
持てる頭脳をフル回転させながら
全乗組員の命を全力で預かっているわけです。

それが、それだけが、彼らの唯一の生きる道だったから。

これが、古き良き時代っていうのかもしれないなぁ。
人が人として、
精いっぱい生きて、死ぬことができた場所なのかもなぁ。

なんか、映画の本筋とは離れてるんだけど、
そんなことを考えてしまいました。

-----
この映画の監督、ピーター・ウィアーは
ぼくの大好きな映画監督のひとりです。
この人の映画は、いつもどこか温かい。
熱くなく、冷たくもなく、ほのかに温かいんですね。
まるで、この映画のオーブリー船長のように
すべてを包み込んでくれるような懐の深さが感じられるんです。
観ているうちに、グイグイと引き込まれていくんです。

有意義な2時間19分の航海でした!
また、あなたの映画が観られることを楽しみにしています。
posted on 2004.03.13
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