The New Indian Express 2024年12月3日
ボパールガス事故から 40年、生存者は
他の健康問題に対して何倍も脆弱

ガス事故の生存者は糖尿病に対して5倍、高血圧のリスクは3倍脆弱
ガスに暴露した女性の早期閉経および早発閉経は2.6倍高い

情報源:The New Indian Express 03 Dec 2024
40 years after Bhopal gas tragedy, survivors many times
more vulnerable to other health problems

Gas tragedy survivors five times more vulnerable to diabetes and
three times more at risk of hypertension; early and premature
menopause 2.6 times higher among gas-exposed women

https://www.newindianexpress.com/nation/2024/Dec/02/40-years-after-bhopal-
gas-tragedy-survivors-many-times-more-vulnerable-to-other-health-problems/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
https://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2024年12月24日
このページへのリンク:
https://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_24/241203_
New_Indian_Express_40_years_after_Bhopal_gas_tragedy.html


ユニオンカーバイド社のガス漏れ事故で両親がガス漏れにさらされたことが原因と考えられる先天性障害を持って生まれた子どもたちが、親戚や支援者とともに、1984年のボパールガス事故で亡くなった人々に敬意を表すろうそくを灯す集会に参加した。この集会は事故発生から40年を迎えた。写真 | PTI
 ボパール:ボパールのユニオンカーバイド・インディア・リミテッド社 (UCIL) 農薬工場で発生した致命的なガス漏れ事故で数千人が亡くなってから40年が経ったが、1984年12月2日〜3日の事故で被害を受けた同市の住民は、ガスへの暴露によって引き起こされる病気にかかりやすいだけでなく、糖尿病、高血圧、うつ病など生活習慣に起因する疾患にも何倍もかかりやすい。

 登録NGOであるのサンバヴナ(Sambhavna 希望)財団が運営する診療所は、過去28年間にわたり、ガス漏れの生存者数千人に長期にわたる無償医療を提供するために患者に関するデータを収集してきた。データによると、悲劇の生存者の間では、ガス暴露によって引き起こされるいくつかの疾患の発生率が依然として高いままであるが、ガス暴露を受けた人々の間では、暴露を受けていない人々に比べてはるかに高い割合で発症している新しい疾患がいくつかある。

 過去16年間にこの診療所で治療を受けたガス暴露患者 16,305人と非暴露患者8,106人の臨床データを分析したところ、呼吸器疾患や精神疾患など、ガス暴露を受けた人々に不釣り合いな影響を与えることが知られている疾患の発生率は、過去16年間を通じて大幅に高いままであった。

 ”閉塞性(obstructive)および拘束性(restrictive)の呼吸器疾患は、ガスに暴露したグループでは暴露していないグループに比べて 1.7〜2倍高かった。同様に、うつ病は、ガスに暴露したグループでは暴露していないグループに比べて 2.7倍多く見られた。糖尿病や高血圧など、これまでガス暴露と関連がなかった疾患は、興味深いことに、過去16年間にわたって一貫して有意に増加していることがわかった。糖尿病は、ガスに暴露した患者では暴露していない患者に比べて 5倍高かったことがわかった。 同様に、高血圧も3倍以上高いことがわかった”と、同クリニックの医師であるウシャ・アーリヤ医師は月曜日に述べた。



 ガス漏れが起こったときまだ5歳だった中年の自動車運転手マヘシュ・ティワリさんは、度重なる病気で職を失った。”健康上の問題が仕事に定期的に影響を及ぼし、この 3か月間は失業中だ。糖尿病がコントロールされていないことが、私が職を失うことになった最近の問題だ”と、マディヤ・プラデーシュ州の州都チョーラ・マンディール地区近くのナブジーバン・コロニー出身のティワリさんは語った。

 同クリニックの婦人科医、ソナリ・ミッタル医師によると、”ガスに暴露した女性では、いくつかの診断がより多くみられた。早期閉経や早発閉経などのホルモン異常は、暴露していない女性に比べて、暴露した女性では 2.6倍も発生した。」

 ガス漏れの生存者の中年女性の一人、シリン・カーンは、2年前に夫のジャミル・カーン(同じくガス漏れの患者)を複数の問題で亡くしました。彼女自身も現在、婦人科疾患を含む複数の問題に悩まされていいる。

 サンバヴナ・クリニックの医師、B・ラグラム医師は、災害の生存者の臨床像が明らかになっていることに懸念を示し、”メチルイソシアネート(MIC)ガス漏れ暴露による最初の傷害によって引き起こされたと思われる腎臓関連の疾患は、暴露群で7倍も高くなっている。心筋梗塞や虚血性心疾患などの急性疾患は、ガスに暴露した集団で4.5倍も発生していることが判明した”と述べた。

 ガスに暴露した患者に多く見られる神経疾患について、サンバブナクリニックの別の医師である PK アスワティ博士は、”ガスに暴露したグループでは、片麻痺と神経痛がほぼ4倍多く発生していることがわかったと述べた。神経障害は糖尿病などの要因の影響を受けている可能性が高いが、被災者集団では 7倍も発生率が高いことがわかった。また、代謝障害である甲状腺機能低下症は過去 7年間、両集団で増加傾向にあるが、ガス被災者集団では1.7倍も高いことがわかった。”

 臨床データの調査結果をまとめ、サンバブナ財団の創立者理事兼コンサルタントであるサティナス・サランギ博士は、”当スタッフが考案した効率的な医療情報システムによって可能になった臨床情報の生成と分析により、災害から 40年が経過した現在でも、ガス被害者の既知および新規の病状の両方で一貫して高い罹患率のパターンが明らかになった。これらの観察結果は、ボパール生存者に対する専門的な医療が引き続き極めて重要であることを浮き彫りにしている”と述べた。


訳注:当研究会が紹介したボパール関連情報
化学物質問題市民研究会
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