国際 POPs 廃絶ネットワーク(IPEN)プレスリリース 2009年12月2日
これが レスポンシブル・ケアか?
化学産業はボパールの悲劇が続いているのに浄化を拒絶


情報源:International POPs Elimination Network
For Immediate Release: 2 December, 2009
Responsible Care?
Chemical industry refuses to clean up while Bhopal tragedy continues
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_09/09_12/Press_Release_091202_Bhopal.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2009年12月3日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_09/09_12/091202_IPEN_Bhopal.html

 世界で最悪の産業災害として広く知られている大惨事を引き起こした有毒ガスの漏洩事故発生から25年経過した今日でも、インドのボパールの汚染と人々の中毒はまだ続いている。

 1984年12月3日にインドのボパールのユニオン・カーバイド農薬工場から噴出した有毒ガスは推定8,000人の人々を殺し、その後数年でその死者の数はは20,000人に達し、その他数千人の人々に慢性的な衰弱と深刻な病気をもたらした。50万人の人々がこの致命的なガスに暴露して影響を受けたと推定されている。

 25年後の今日、我々はインドのボパールの人々がいまだに苦しんでいることを知っている。呼吸困難、視力障害、生殖系障害、がん発症率の増大などを含む重大な障害をもたらす病気を経験している。影響を受けた地域社会の幼児は先天的な障害や脳性まひをもって生まれくる数が多い。

 ”ボパールの人々は直ちに公正な扱いを受けるに値し、責任ある団体は環境を浄化し、この恐ろしい悲劇によって影響を受けた人々が失ったものと長年の苦痛と無視に対して、適切に保障されることを確実にするための最終的な措置をとらなくてはならない。世界の共同体はこの人権災害を無視することは出来ず、ボパールの人々の正当な要求が最終的に受け入れられることを確実にしなくてはならない”と IPEN 共同議長でオーストラリアの全国有毒物質ネットワーク(National Toxics Network)の上席顧問であるマリアン・ロイド−スミス博士は述べた。

 1989年、ユニオン・カーバイドはインド政府と金銭的調停に同意したが、ほとんどの被害者らは彼らの医療費をまかなう十分な補償金すら得ておらず、調停は死亡者と当初の漏洩からの被災者だけしか対象とせず、現状の水や土壌の汚染も対象としなかった。2001年、ダウ・ケミカル社がユニオン・カーバイド社とその資産/債務を買収したが、彼らは現場を浄化せず、汚染した地下水は今日にいたるまで住民を汚染している。
 2004年、個人の被害者と団体によりユニオン・カーバイドに対してアメリカで訴訟が起こされた。米連邦裁判所は会社はインド政府の同意の下に現場を浄化することが出来たはずであると判決を下した。しかしユニオン・カーバイドは上告し、この訴訟は2005年に却下された。もうひとつの訴訟は2007年と22008年−惨事から4年後にアメリカで起こされ、被害者らはアメリカで自分達の被害の状況を聞いてもらうことが許された。

 ”ボパールはいまだに苦しんでいるのに、企業の社会的責任 (CSR)やレスポンシブル・ケアなどと語るのは恥ずかしくないのか? 人々の苦しみと現地の汚染が続いていることを認めるべき企業責任問題は延々と続いている。惨事が起きてから25年経過しているが、直ちに必要な措置をとることによってのみ、この悲劇の幕を閉じることが出来る”とインドのトクシック・リンクのエグゼクティブ・ディレクターであるラビ S. アガワルは述べた。

 IPENは、ボパールの人々が20年以上の間経験したこの重大な不正義を認め、生存者の環境、水、家の浄化と修復の要求を支援しつつ、彼らと連帯する。

 国際 POPs 廃絶ネットワーク(IPEN)は、700以上の公益団体や非政府組織と共に有害物質のない将来を求めて活動している世界のネットワークである。IPEN は全ての化学物質は人の健康と環境への有意な有害影響を廃絶する方法で製造され使用される世界、残留性有機汚染物質及び同等な懸念を持つ化学物質がもはや我々の地域や地球を汚染せず、もはや我々の共同体、我々の食物、我々の体、又は我々の子どもと将来の世代の体を汚染しない世界にすることを約束する。

 IPENは、ボパール正義の行動25周年記念日を支援することを誇りとする。
更なる情報: www.studentsforbhopal.org

Contact:
Mr. Ravi S. Agarwal, Executive Director, Toxics Link, India + 91 9810037355
Dr. Mariann Lloyd-Smith, IPEN Co-chair, National Toxics Network, Australia +61 413-621557



化学物質問題市民研究会
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