TB53 春風 
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2匹目のカジキ 
2004年7月18日正午ごろ、「春風」は2年ぶりに2匹目のカジキを釣りました。
釣り人はFair Windチームの有志と筒井さん。場所は三重県大王崎南東8マイルあたり。
2時間がかりで全長3.3m、体重200kg(推定)のクロカジキを釣りました。 
ルアーのヘッドにはいろいろ種類があって、手前右端のヘッドは白蝶貝、右から2つ目は牛角、手前左の2つは黒蝶貝。
右端のルアーは志摩町の釣具店の「山和」製。山和の主人自ら、毎年カジキを釣っていて、仕掛けや、カジキに関する情報を教えてくれる。
牛角は筒井さんからもらったもの。見かけは光沢がないが、意外によく喰う。
黒蝶貝は、今は亡き新勝丸の船頭に作ってもらったもの。このルアーも実績がある。「海松」と呼ばれるサンゴの化石を使ったヘッドもあるが、非常に高価。
春風(右)  船の両舷から竿(約10m)を出します。
収納するときは竿をロープで吊り上げながら船の前方に振ります。
カツオのトローリング(ケンケン釣り)では、竿の中央部からも仕掛けを2本出します。
船の後部中央にも縦竿があり、通常は左右とあわせて3本のカジキの仕掛けを出します。曳航速度は8ノット前後。 
ロープ仕掛け(漁師仕掛け)。
02年8月に、80ポンドリールではじめて100kg程度のカジキを釣ったが、魚が深く潜り、釣上げるのに4時間もかかった。
これでは一人でカジキを釣るのは無理なので道具を漁師仕掛けに変更しました。
600m〜1,000mのロープ(5mm径)を籠の中にコイルしてあります。
このロープは竿と舷側2箇所に、トバシと呼ばれる糸で結ばれている。トバシは竿が折れない程度の強度。
魚が掛かるとトバシが切れ、ロープが出る仕組み。
漁師仕掛けはトーナメントなどでは使用不可。
しかし、とりあえずカジキを釣りたいという場合はリールよりもはるかに安価で合理的(但し体に絡ますと危険)。
ロープの先端には太目のライン(30〜60m)が結ばれ、その後にヒコーキと呼ばれる海面を滑走する道具がつく。ヒコーキの後には上記ルアーがつく。
ヒコーキは水しぶきを上げて、カジキの注意を引くため(らしい)。
右の写真は3つのヒコーキを曳航しているところ。手前の赤い玉はチョロと呼ばれるカツオ用の道具。
この日はソーダガツオも2匹釣れた。
パソコン用の海底地形図
海底地形図は(財)日本水路協会から販売されている。
上の画像は「M7002 遠州灘」(266MB)に含まれるデータで、大王崎東約8マイルにある通称「堀」と呼ばれている海溝を50m間隔の等深線で表示したもの(等深線は1m間隔でも表示可能)。
海底地形図にも表示ソフトが同梱されているが、パソコンにGPSアンテナを接続して、海底地形図上に自船位置や航跡を表示させる場合はChart Viewerなどが必要。
Chart Viewerは海底地形図以外にも、S57フォーマットの電子海図やC-MAPも表示できるグローバルな航海用ソフト。但しPECなどに比べるとやや高価で、コピープロテクトもかかっている。
起伏の大きな海底からは栄養分の多い深層水が上昇して、食物連鎖が起こるというのが定説?で、地元の漁師も「堀」の周囲で曳き釣りをしていることが多い。
海底地形図は、鯛釣りなどのかかり釣りのポイントを探るときにも使える。
道具を出した後は、カジキ、カジキ・・・と念じながら一日中、仕掛けを曳航するだけ。
左から、缶ビールホルダー、GPS魚探、無線機、レーダーなど。パソコンは下のブリッジにある。
手に持っているのはエンジンリモコン。舵とエンジンを遠隔操作できる。
これでも水温、水色、潮目、鳥、他船の交信、他船の動き、自船位置などを気にしている。
2〜3時間もすれば眠くなるが、魚が掛かるとトバシが大きな音をたてるから、半分眠っていても大丈夫。
 
午前10時ごろ、突然ドカン!という音がして右舷の仕掛けのトバシが切れた。
ほぼ同時に、「掛かった!」という筒井さんの声。カジキが釣を喰う瞬間を見たらしい。
船は黒煙を噴いて全速前進(ロープを伸ばしてカジキのショックを吸収するため)
丁寧にコイルしてあったカゴの中のロープがシュルルル・・って感じで出ていき、600m全てが出る手前で停船。 
カジキが掛かってから2時間近いやりとりがあった。
ラインを手に巻くのは危険だから200kgのカジキをたぐり寄せるのはそれなりに重い。ロープは次回のために丁寧にコイルする。
この間、無線からは「ヒコーキまでつかんどるのに、まだあがらんのケ〜?」、「手伝いに行ったろか〜」と、様々なヤジが入る。
しかし、いよいよ銛をかまえるこの船の建造者の筒井さん。
銛のロープで確保されたカジキ。
この後、カジキは腹を向こう側に向けた。
魚の動きを止めるために金属バットでカジキの頭を10回ぐらい叩く。
が、渾身の力でバットを振り回しても水しぶきばかり上がって、うまく叩けない。
「アゴを叩かんと、頭を叩かな・・・」
「それやったら、カジキをひっくり返してくれッ!」・・ 
ヒットしてから約2時間後に漸く魚体を引き上げる。
左舷側の電動アンカー・ウィンチが良い仕事をした。
そう・・・実はこの日のために、ここにウィンチを取り付けたのだ。 
撤収。
筒井ボート(造船所)に船を横付けして、クレーンで荷降ろし。 「沖ですぐ腹ワタを抜いとかんかい!」と漁師。
「はい、・・・」(腹ワタは痛みやすい)。
「氷も持っとらんかったんか?」。
「はぁ〜、釣れるとは思ってなかったもんで・・・」。
「それではいかん!釣れた魚が煮えるやろが」。
「・・・すいません」。 
漁師がすぐに腹ワタを出してくれた。
胃の中から南蛮漬け状態のソーダカツオが4匹出てきた(手前)。
カジキの臓物は味噌鍋などにすると旨いらしい。 
結局、カジキを釣上げるのに2時間、カジキの解体や後始末、集まってくれた人へのおすそわけに4時間を費やした。
前回カジキを釣ったときはトーナメントの前日で、会場に魚を持ち込むと業者らしき人があっと言う間に処理をして引き取ってくれた。
そうでない場合は、釣上げたカジキの後処理が結構大変だということを体験する機会になった。
次は氷を持っていこう。写真写りは無視して、釣れたら沖で腹ワタも抜こう。
    付録
04年8月22日、息子と2人で出船したら、約1.6mのオキザワラが釣れました。 
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