トカラの畜産は、残された数少ない原野の土地資源と温暖な気候を利用した周年放牧を中心とした低コストによる肉用子牛の生産である。
共販体制の確立により公正な市場での適正評価による販売が可能になったことで生産者の意欲が向上し、優良な子牛が出荷されている。
120戸ほどの農家が肉用子牛の生産に従事し、年間焼く500頭の子牛が生まれ、350頭ほどが鹿児島県中央家畜市場に出荷され、年間売上1億円を超える産業となっている。
トカラで飼育されている牛種は黒毛和牛である。生後半年ほどの雄牛は1ヶ月に1度のセリに合わせて鹿児島県中央家畜市場へ出荷される。
南の島の温暖な気候と豊かな緑の中で育った黒毛和牛は、全国屈指の畜産県鹿児島産蓄肉の一翼を担って、全国の消費者の元へ送られている。 その肉質は柔らかく、無駄な脂肪がないため、ステーキ、すきやき、しゃぶしゃぶ等多彩な料理に使え、プロの料理人も絶賛するほどである。
飼育頭数は別表からも分かる通り、着実に増加している。年2ケテの増加率である。
トカラのある十島村では、畜産が将来ともに重要な産業であるという認識のもと、全島挙げて新技術の導入に努め、よりよい肉牛の生産を目指 している。
狂牛病騒ぎで肉牛生産者には厳しい環境下であるが、トカラでは優良な素牛の導入による子牛の資質の向上に努め、生産技術の向上や衛生管理の徹底、放牧場などの生産基盤整備を行い、可能な限りの自然放牧による安全で、高品質の肉牛生産を目指している。
また、沖縄などでの山羊料理用としての山羊の飼育も忘れてはならない畜産のもう一方の柱である。 |