墨の種類(原料)
油煙墨
菜種油、ごま油、大豆油などの植物油を土器に入れ、灯芯に火をつけて上に離して皿をかぶせるように設置しておき、それに付着した煤(すす)を採取して膠(にかわ)と、膠は動物の骨や皮を煮詰めて作るので臭いので、香料も混ぜ込みます。
品質の良否は灯芯の太細によって決まります。太い灯芯は煤がたくさん出ますが粗煙になり、細い灯芯は時間はかかりますが炭素粒子が微細で良質になります。
松煙墨
倒れて朽ち果てた松の木の樹脂(やに)だけ残っている部分を燃やした煤から作ります。障子紙張りの枠の中で松の樹脂を燃やして障子紙に付着した煤を採取して作ります。炭素粒子が油煙より大きく墨色が複雑です。製造後年数を経ると青墨化してきます。これが青墨といわれる超高級品です。
工業煙
軽油、重油、廃油などの安価な工業用油を燃やした煤に、膠の代わりに科学糊を混ぜて作られます。安物の墨がそれです。
顔料を混ぜて青墨、茶墨等と称して市販されているものもあります。
左の写真は奈良墨運堂の玉品。力強い楷書を書くときに濃墨にして使っています。