ジャンダルム周辺岩壁 |
はじめて奥穂に登った時、ガスの切れ間から一瞬現れて消えたジャンダルムの姿が忘れられない。 その第一印象は「妖怪」だった。 ジャンダルムとはフランス語で衛兵を意味し、主峰を護衛するように聳える岩峰を指すそうだが、 この岩峰はまさにジャンダルムの名にふさわしく奥穂の前衛峰としてそそり立っている。 この山頂から白出谷オオザコに延びている飛騨尾根(下左図・C尾根)は、その上半部が岩登りの 初級ゲレンデとして親しまれているが、その側壁である T1フランケ、T2フェース、T2北壁 は高度の 登攀技術を要求される切り立った岩壁である。(下右図参照 ) 一方、白出谷(しらだしだに)は、古くから穂高小屋のボッカ道として利用されてきたわりには訪れる 人が少なく、特に白出本谷の中間にある白出大滝の下流に左岸から落ち込んでくる急峻な谷に ついては、オオザコと言われてはいたが、その地形については記録もなく、全く知られていなかった。 私たちの山岳部は、’63〜’65 にかけて部員が交替で入山してこの地域を踏査し、特に’64夏には 分担して、この谷の未登の各尾根 各沢を完登して、この谷の地形の全貌を明らかにすることができた。 この踏査結果については、山岳雑誌「岳人」に投稿し、岳人・212号(’65/10月号)p114〜p120 に 掲載されている。 私自身も、’64/5 に白出谷オオザコ出合にBCを設営、残雪期のオオザコ上部を踏査すると共に、 翌日後輩2人と D尾根を登り→γ 沢上部をC尾根(飛騨尾根)にトラバース→ジャンダルム→奥穂 →穂高小屋→白出本谷→BC をトレースした。 また、’64/7下旬に後輩のS君と、B尾根上半部を登攀し、翌日飛騨側天狗沢を経て、シュルンド と スノーブリッジに悩まされながら白出谷を下降した。(下左図参照 ) T1フランケ登攀、B尾根上半部登攀、飛騨側天狗沢下降時の写真、および後輩たちがT2・北壁、 T2フェースを登攀した時撮影した写真を当時の思い出と共に載せました。 |
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快晴の滝谷第四尾根を登った日の夜から台風接近で雨、翌日は停滞。そして本隊下山のこの日、 後輩のI君(滝谷クラック尾根、第一尾根のパートナーの一人)と一日下山を延ばして、T1フランケに 向かった。 仲間たちに見送られて涸沢BC発、穂高小屋経由で奥穂高山頂にたつと、ジャンダルム飛騨尾根の 側壁が朝日を真正面から受けて城壁のように立ちはだかっていた。 馬の背とロバの耳のコルで縦走路をはずれ、セマ谷上部の草付きの踏み跡をたどって、下降気味に トラバースしていくと岩壁の取り付き点に到達する。 岩壁基部より北壁、T2フェースのルートを偵察しながら写真撮影。 T1フランケは、T1の突端から落ち込んでいるカンテ状の真下から取り付き、右側(北面)の壁の中の ルートをたどる。この登攀については細かい記録がとってなく、特別な困難にもあっていないので印象 が薄いが、中間でかなり微妙なバランスを要するトラバースがあったような記憶がある。 そして初歩的ミスの記憶。小テラスでセカンドを確保するため、丁度目の前にあった残置ハーケンを 利用してセルフビレーした。セカンドが到着してセルフビレーのカラビナを外そうとしたがどうしても外れ ない。安全確認のために、カラビナをかけてからハーケンの頭をたたいたらしく、ほんの微妙なところ で、周りの岩に邪魔されて外れなくなってしまったらしい。やむを得ずそのまま放置してきたが、あの時 の悔しい気持ちが思い出として残っている。 大テラス(飛騨尾根T2とほぼ同高度)に出て休憩中に急にガスが発生し、あたりをミルク色に包んで しまった。ルートは左右2つあるが、先の見えないガスの中では右側の易しい方を選び、1ピッチで T1のやや下の飛騨尾根上に攀じ登って登攀を終わった。 BC発;5.10、穂高小屋;6.35、奥穂山頂;7.05、岩壁下;7.35、登攀開始;8.45、小テラス;10.45、 大テラス;11.05〜11.45、登攀終了;12.10、ロバの耳発;13.50、奥穂山頂;14.20、BC帰着;15.50 |
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奥穂山頂より | ジャンダルム | T2フェース | T1フランケ | 大テラスにて | 大テラスより | 登攀終了 |
私たちの山岳部は、当時踏み込む者もなく、詳しい地形が明らかになっていなかった、白出谷・オオザコの 地形を明らかにする目標をたて、’63/8、/9、’64/5、/6 に偵察のためこの地域に入山し、また地図作成用 の立体航空写真での机上の調査によって、概略の状況をつかむことができた。この調査結果に基づいて、 ’64の夏、この谷の各沢各尾根を分担して登攀することとなった。 私とS君は勤務の都合で本隊より1週間前に入山し、B尾根上半部登攀、飛騨側天狗沢下降を担当した。 この時の状況を、当時の山岳部報の一部をを転載して思い出してみたい。 昭和39年7月24日。天狗のコルの避難小屋で一夜を明かす。同宿人なし。シュラフなしではさすがに寒く、 ガタガタ震えながら朝を待った。昨夜のラジオで「今日から梅雨が明けました」と放送していたのに、起きて みると一面のガスで、飛騨側から冷たい風が吹き上げていた。明るくなるのを待って出発。コルよりすぐに A尾根派生点を目指して這松を漕ぎ、更にα沢上部、B尾根支稜をトラバースしてゆく。視界10m、全身 びしょ濡れだ。 B尾根主稜は、一番β沢よりだと思い込んでいたので、小さな支尾根とルンゼを二つ三つ越していくと急に 目に前の手が届きそうなところに垂直に切り立った壁が現れ、その壁と我々の立っている尾根の間に深さ 10m程の切れ落ちたルンゼの底が見えた。壁はC尾根側壁、ルンゼはβ沢と判断した。自分の立っている 場所の見当はついたが、上部は灰色のガスに蔽われB尾根主稜はどれなのかさっぱり判らない。 昨日、避難小屋についてから取り付き点だけでも確認しておこうと偵察に出たのだが、ついでにα沢の大滝 を覗いてみようと欲を出し、そのついでの方が面白くなってつい時間を費やし、気がついたら一面のガス。 α沢大滝の登攀ルートの見当はついたけれど、肝心のB尾根の偵察は全然出来なかった。やっぱり先に B尾根を見ておくべきだったと後悔したが、あとの祭りである。 登攀の準備をしながら考えると、どうもさっき越した一つ手前の尾根のほうが大きいように思えたので引き 返し、来週下半部をアタックする本隊への目印に小さなケルンを積んでペナントを結びつけた。相変わらず ガスが濃くルートは見えないが、岩は堅そうだしホールドも多そうだ。相棒のS君は、未だ本番の数は踏ん でいないが、毎週ゲレンデに通い続けている新鋭のクライマー、するするとガスの中に消えていった。しかし ザイルが半分くらい延びたところで止まってしまった。姿は見えず、大声で呼んでみても返事はなく、不審に 思い始めた頃ザイルで合図があり、「登ってきてください。」とかすかに返事が返ってきた。飛騨側から吹き 上げてくる風でこちらの声はよく届いても、トップからの声は返ってこない。彼もこういう天気での登攀は経験 がなく、不安があったのだろう、「40m一杯伸ばしたんでは声も届かないし、ピッチを短くしましょう。」と言うこ とで、以後20m〜30mずつ忠実にリッジ通し8ピッチ、途中ハーケンを1本使い大テラスに着く。 大テラスから見上げると、すぐ目の前に大オーバーハングを持った岩峰が頭上にのしかかるように立ちはだ かっていて、その上部はガスの中に隠されている。この岩峰は縦走路からも、ジャンダルム飛騨尾根からも はっきり認められる。ハングは上下二つあり、上部はガスでよく見えないが、下部だけでもつるつるの壁の上 に、大ハングがかぶさり、正面からは全く手がつけられそうもない。しばらく休憩の後、右側に回りこんで、 上部のチムニーを目標に、凹角より取り付く。約5m直上し、アブミを利用して左上方にトラバースし、入り口 のハング気味のチムニーに強引にずり上がる。トップはしばらく足をばたつかせていたが、そのうちにチムニー に消え、更にザイルを延ばして25m、岩峰の上に出たらしい。続いて彼のあとを追ったが、なるほど彼が苦労 したのも当然で、ザックが引っかかってなかなか身体が持ち上がらない。ようやくのことに這い上がったが 次はアブミの回収が出来ない。やむなくそのままにして直上し、S君と交替。彼は再び下降してチムニーの中 にハーケンを打ち込み、アブミを2つ繋いだ急造の縄梯子に乗って回収した。このピッチ、ハーケン3本使用、 短かったがアブミの回収に苦労して大分時間を費やした。 これより上はすばらしいナイフリッジの連続。縦走路から見ると鋸歯状にスカイラインを描いているが、その 鋸歯の上に馬乗りになり、あるいはナイフの刃をホールドにα沢側をトラバースしながら忠実にリッジを辿る。 途中3ヶ所小ギャップがあり、上部の3〜4mのギャップは懸垂下降した。ナイフリッジを登攀している頃より 次第にガスが薄れ、時々青空が覗きだす。α沢、β沢に垂直に切れ落ちているリッジに跨っていると、天馬 に乗って空を駆けている感じで、爽快そのものである。岩峰上からは4ピッチ、さして困難なところはなく、 最後のホールドの大きなリッジを登りきると縦走路にとびだし、登攀終了の握手を交わした。 天狗のコル発;5.10、B尾根上ケルン作成、登攀開始;6.00、ハング下のテラス;8.45〜9.15 岩峰上;10.15〜10.25、登攀終了;11.40 (赤堀 記) |
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天狗沢を行く | α沢下降 | α沢大滝 | 山の花 | 霧中の登攀 | ナイフリッジ |
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B尾根上部・1 | B尾根上部・2 | 終了点より | B尾根上部・3 | 晴天下の登攀 |
B尾根上半部を登攀した翌日、飛騨側天狗沢を下降した。五月のオオザコ側からの調査によっても、天狗沢 出合付近には何本もの滝が落ち込んでいて、どれが天狗沢の本流か確認できず、上流から下降して確かめ ることとなって、私たちが担当したわけである。未知の谷の下降に備え荷物は出来るだけ少なくしようと寝袋 なしで来たので、3000m稜線上の無人の避難小屋では寒さで夜半以後は殆ど眠れなかった。寝袋を省いた といっても荷物は大キスリング、谷の中は雪渓がズタズタに切れていて、その下を潜ったり、滝を降ったりの 苦闘を強いられた。 山岳部報中の同行者S君の報告を転載します。 もうこの下降を始めてから2時間近くなろうとしている。天狗のコルを出たのは6時過ぎだった。昨日の登攀 の疲れが残っていて膝の辺りが不規則なガレのくだりに悲鳴をあげはじめている。踏み出す毎にガラガラ動き 出す大小さまざまな岩角が神経をいらだたせる。今朝天狗のコルから見下ろした上高地の平らな場所が恋し く思われてきて、早くこの谷間の圧迫感から逃げ出したい気持ちだけが足を前に出している。 天狗沢も飛騨側は、上高地から見える信州側のあの明るい緩やかなガレとはいささか趣を異にしていた。 8時少し前に略奪点に到着した。天狗沢はここで二つに分かれて(略奪点)、それぞれ滝となっている。左側 が本流、右側は増水したときだけ落ちる滝のように見えた。中間の草付きのリッジを下降する。アプザイレン (懸垂下降)を2回、左へぐっと寄って草付きを更に下り、本流の中間の合流点に降り立った。再び右へ緩傾 斜の足場を辿ってリッジ直下に出る。 岩としてはさして難しくはないがザイルで荷物を別に降ろすこととした。トップが下り、ラストがキスリング2つを ザイルにからませてゆっくり降ろす。天狗沢がオオザコ本谷と合流する狭い滝の上に出たときは、本谷を遡行 したことがあるだけに安堵感と共に懐かしさが感じられた。13時丁度である。 合流点付近は大きく雪渓に覆われているが、ここからは大きなシュルンドが口をあけていて雪の上に出ること ができない。右岸の壁をトラバースして本谷の方から雪の上に立とうと試みたが、これも不可能であった。 スノーブリッジの下は夕立のように大粒の雪解け水が音を立てて降っていたが、この中をくぐることとした。 足元の岩は雪崩に磨かれて安定しているが、頭の上の雪渓がいつ崩壊するか気が気でない。やっとの思い で雪のトンネルを抜けたらこの先が滝になっており、滝つぼのところに又厚い雪渓がスノーブリッジとなって 大きな口をあけていた。五月に何の気なしに通過したこのあたりも、七月末の今頃こんな目にあうとは思いも よらなかったが、こうなればやぶれかぶれである。水の中にハーケンを打って全身冷水をかぶりながら アプザイレンを続ける。 びっしょり濡れたザイルは思うように動かず、キスリングを降ろす操作に意外な時間を要した。5m離れると 水の音にかき消されて何一つ言葉が通じないのだから始末が悪い。三つ目のスノーブリッジに入る手前で、 わずかに陽の射す場所を見つけて休憩した。ザラザラの斜面でお互いのずぶ濡れのみすぼらしい格好を笑 いながらパンを食べたが、上部の雪渓の上から午後の陽を受けて石が滑り出しては頭上めがけて落ちてくる ので、早々に腰を上げねばならなかった。頭から爪先までぐっしょりになって、白出本谷のボッカ道に辿りつい た時にはすでに16時になっていた。5月には15分ほどで降りてきたところを3時間もかかったわけである。 ビバーク地に着くや、すぐに残り少ない陽光で少しでも乾かそうと、持ち物一切を広げたが、赤堀さんがすごく 丁寧に一枚ずつ拡げては石の上に貼り付けていたのは、何枚もの聖徳太子であった。 (菅浦 記) |
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早朝の天狗のコル | 天狗沢・雪渓 | 天狗沢・略奪点 | 天狗大滝 | 谷の下降 | 懸垂下降 |
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スノーブリッジ・1 | スノーブリッジ・2 | スノーブリッジ・3 | 登山道 | 白出大滝 | 帰路 |
上高地・河童橋から見上げると、奥穂のピークのすぐ手前の岩峰から急峻な尾根が岳沢に切れ落ちて いるのが望まれる。登攀記録は見当たらないし、スケールは小さいもののどんな岩場か気になる対象で はあった。 後輩4人がジャンダルム周辺の岩壁を狙って入山するというので、私は登攀中の彼らを写真撮影しようと 仲間に加わり、ついでにこの尾根も試登してみることになった。 仕事の都合で本隊に一日遅れて出発。今回は天狗のコルの避難小屋(無人)をベースハウスとすることと したがここには水場がなく、天狗沢の雪渓に頼るしかない。この時期雪渓はずっと後退して、水汲みに行く には時間がかかりすぎる。後発の私は共同装備が少ないので水の補給を担当し、空の10L・キュービテナー をキスリングにくくりつけて、天狗沢のガレを登っていった。 何処で水を汲むかは大問題。下のほうでは担ぐ距離が長くなるし、水場がなくなってしまっては戻らなけれ ばならない。何回かまよった挙句、ザックをおろしたのは、雪解け水がほんのチョロチョロと流れ出している 雪渓の下端。食器に受けてはキュービテナーに汲みこんで、10L貯めるのに大分時間をついやした。ぐんと 重くなった荷物が肩に食い込み、夜行列車の疲れで足取りも重くなったが、水場から1時間近くかかって、 丁度昼時避難小屋に到着した。 小屋で一休みした後、仲間たちがいるであろうジャンダルムへ向かった。セマ谷上部の踏み跡を辿って行 くと、北壁下でルートを偵察していた彼らと合流し、翌日以後の狙いをきめて小屋に戻った。 翌朝明るくなるのを待って、ジャンダルムへ急いだ。今日は先ずロバの耳・信州尾根に取り付いてみること。 登攀の結果によって時間があれば、ジャンダルム北壁にも挑戦することとした。 ジャンダルムを越し、ロバの耳の先、奥穂側の急なルンゼの、今にも崩れ落ちそうなガレを一歩一歩足元を 確かめながらくだる。ここは扇沢のつめのルンゼで、もう少し早い時期は急峻な雪渓が残っていて下降は 一寸躊躇しそうなところだ。適当なところで右側の尾根に取り付き、2パーティーに別れて登攀開始。 尾根は広いし岩は堅く、ルートはかなり自由に選べる。先行する I・Sパーティーをモデルにして写真を撮っ たり野次を飛ばしたりしながら、初秋の陽を一杯に浴びての登攀は爽快そのもの。快適なペースでロバの 耳の頂上にたったのは昼に未だ間のある時間だった。 (この時の山行記録を紛失してしまい、かすかな記憶と写真にに頼って書きました。) |
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天狗沢 | 山の花 | F尾根 | T2周辺岩壁 | ジャンと奥穂 | 登攀準備 |
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ルンゼを降る | 登攀前 | 登攀中 | 登攀中 | 岩棚で一休み | ジャンと笠 |
午前中にロバの耳・信州尾根を登り、高揚した気分で、前日偵察済みのジャンダルムT2北壁に挑むこと になった。 私は今回は写真撮影に徹することとし、登攀メンバーは、I (滝谷クラック尾根、第一尾根、ジャンT1フランケ のザイルパートナー)、S(B尾根、飛騨側天狗沢のパートナー)、Ar(滝谷第四尾根のパートナー)の3名。 もう一人の新人Ty君は、まだ奥穂の山頂に立っていないとのことで、一人で往復させることとした。 2 ピッチ目と3 ピッチ目は、アブミを使っての高度の技術を要する高度感満点の壁の登攀で、見上げ続ける カメラマンは首が痛くなるのを我慢しなければならなかった。 |
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ルート確認 | 登攀開始 | 登攀中・1 | 北壁全景、登攀中・2 | 登攀中・3 |
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登攀中・4 | T2より | 登攀中・5 | 終了 |
前日2つのルートを完登して、すっかり気分をよくした我々は、今日はジャン周辺で最難関のT2フェースに 挑戦することとした。今日のアタックメンバーは、I &S の2名。私はカメラマン、借りてきた8ミリシネと、 標準、望遠、広角のレンズを、トッカエ、ヒッカエの忙しい撮影となった。ArとTyの二人はサポートと言えば 聞こえはよいが、実際は野次馬。 最初のピッチは微妙なバランスのトラバース。その後はほぼ垂直の壁をアブミをかけかえ、かけかえしなが ら直上し、ジッヘルするのもアブミの上。時々野次を飛ばしている見物席のほうが内心はヒヤヒヤ・ドキドキ の連続だった。 記録を紛失し、正確な時間は判らないが、ほぼ4時間くらいかかって正午頃登攀終了。二人の握手を見て、 野次馬一同安堵の胸をなでおろした。 天候にも恵まれ目標を100%達成したが、喜びに浸るまもなく急ぎ小屋に戻り、荷物をまとめて天狗沢、 岳沢を駆け下り、最終バスに滑り込んだ。 |
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出発 | ジャンダルムと槍ヶ岳 | 登攀開始 | 登攀中・1 | 登攀中・2 | 登攀中・3 |
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登攀中・4 | T2フェース全景 | 登攀中・5 | 終了間際 | 無事完登 |
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