研究会の概要

 TAMEとは、時制 (tense)、アスペクト (aspect)、モダリティ (modality)、証拠性 (evidentiality) という、動詞論の4つの重要分野の名を連ねた用語です。当研究会は、さまざまな言語の事例に即して、4つの分野を相互に関連づけながら、包括的に探求することを目的とします。
 TAMEが密接に関連づけて探求されるようになったのは最近のことで、なお比較的未開拓の研究領域です。当研究会では、ゲルマン諸語、ロマンス諸語、スラヴ諸語、そして日本語におけるTAMEの発現を、相互に情報交換しながら研究することにより、当該分野での研究の進展を目ざします。
 当研究会コアメンバーは2006年以来の長きにわたって定期的に共同研究会や講演会を開催し、論文集を刊行するなどの活動をおこない、協力関係を築いてまいりました。
 現存の良好な協力関係をさらに増進することにより、研究上の相乗効果を得たいと考え、筑波大学人文社会系の「リサーチグループ」制度に申請したところ、2016年4月27日に公認されました。
 それ以来3年間活動してきましたが、代表者が筑波大学から東京大学に移籍するため、「リサーチグループ」としては廃止し、任意団体として存続させることとしました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

研究会の意義

(1) 対照言語学へのあらたな寄与:従来、類型論的な研究では、個々の言語の相違を十分に考慮に入れることなく、理論的な先験性に回収する形でTAMEが論じられてきたきらいがある。本研究会では、各言語の相違をつまびらかに記述することから出発し、差異を前提とした研究を推進する。
(2) 言語教育への還元:この研究によって得られた知見は、ただちに外国語教育に還元できるものである。日本語と諸外国語のあいだでのTAMEの発現の差異のみならず、外国語相互での差異をも教育のなかで提示することは、教育・学習を飛躍的に進める効果が期待できる。
(3) 認知科学への貢献:諸言語におけるTAMEの発現を探求することは、言語によってえがき出される諸事象を、主体がどのように認知しているかを間接的に知ることにつながる。諸言語にあらわれる認知の態様を比較することにより、人間の認知の共通性と多様性を明らかにできる。

連絡先など

〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1
東京大学総合文化研究科 言語情報科学専攻 渡邊淳也研究室

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